秘法-Arcana
【アイン】 Ayin
無。生命の樹の王冠(Keter)にあたり、白で表される。
【インプ】 Imp
瓶や指輪の中に封じ込められる小さな悪霊を指す。その性質は善悪様々である。魔術師は儀式魔術によってインプを招霊し、呪文と力ある名(普通は、そのインプの真の名)によって呪縛する。呪縛が続く限り、魔術師はインプに様々な仕事をさせる事ができるとされている。
【ウロボロス】 Ouraboros
自らの尾を噛む蛇。時の流れ、その破壊的な性質、そして永遠を象徴するもの。さらに発展して再生又は転生の象徴でもある。
【ウンディーネ】 Undine
四大元素の一としての、水の精。
【エレメント】 Elements
世界を構成する四つの元素、すなわち火、地、気、水。これらは太女神によって創られたと言われる。これにちなんで四は聖数であり、四大をそれぞれ象徴する様々な組み合わせがいたるところに見られる。例えば、タロットでは棒または笏(火)、剣(気)、杯(水)、円盤または五芒星(地)であり、中国やバビロニア、ユダヤ/キリスト教では四聖獣である。
【キャンサー】 Cancer
英語で巨蟹宮を指す。古代の占星術ではこの世の終末の到来を予言するもの。すなわち、カレドニア人を初めとする多くの古代人は、巨蟹宮に全ての惑星が並んだ時にこの世が崩壊すると信じていた。また、この星座宮に関連する水と月は、いずれも破壊者たる太女神の標である。更に、英語では通常
cancer は、癌を意味する。
巨蟹宮の蟹は、かのヘラクレスがヒュドラを退治した折、ヘラに命じられてその踵を鋏で攻撃した蟹だと言われている。次の瞬間ヘラクレスに踏みつぶされはしたものの、ヘラによって太女神の象徴たるべく黄道に飾られる事となった。
民間伝承では、スコットランドで、魔女が水辺でサバトを開く時、蟹がその場で踊ると伝えられている。
章題の《秘法》とは関連が薄くなるが、日本には武士が蟹と化した伝説が二つある。一つは名高い平家蟹であり、壇ノ浦で海に沈んだ平家の武士が蟹に姿を変えたというもの。また、室町時代には尼崎の合戦で二人の敵を両脇に抱え、海に沈んだ島村某という武士がやはり蟹と化し、これを島村蟹と呼ぶという。
【ゴーレム】 Golem
そもそもは、神がアダムを作るために用いた形のない粘土を指したが、後に魔術の実践に際して、聖文字を記した紙片を口や首に貼る事によってある種の生命がそそぎ込まれる土人形を指すようになった。文字通りには「胎児」を意味する。放っておくと日増しに強く、危険になっていく。けれども生命力を媒介する文字を取り去れば、またもとの土に戻ってしまうと言われる。ゲーム中ではマシンとして登場したが、むしろこの意味では造魔のもととなるドリー・カドモンの方がゴーレムと呼ぶにふさわしいかもしれない。
ヴォルムスのエレアザールによれば、ゴーレムを作るためにはおよそ二十三の二つ折り本の円柱を網羅し、二百二十一の門のアルファベットに精通していなければならず、ゴーレムを形成する器官のひとつひとつの上で秘法を完全に繰り返さなければならない。最後に、額に「真理」を意味する
emet なる言葉を記せば、ゴーレムは動き出す事を得る。また、これを滅ぼすには最初の文字
e を消すだけで事足りる。すなわち metは「死」を意味する。但し、カバラではヘブライ語のアルファベットにそれぞれ多様な秘教的意味をもたせている事に注意しなければなるまい。ゴーレムを造り上げたとして、額にローマ字その他の、ヘブライ文字でないものを記しても、おそらく意味がない。また、見知らぬゴーレムを滅ぼそうとする時には、ヘブライ語が右から左へ文字を書く事を知っておいた方がいいかもしれない。
なお、作成されたゴーレムは、日ごとに力を増していくと言われている。手遅れにならないうちに額の文字を消し、無害な土に戻すのが賢明であろう。
【サラマンダー】 Saramander
現実の動物にもサラマンダーと名づけられたものがいる。山椒魚だが、本来のサラマンダーは火の中に棲むと言われる爬虫類で、プリニウスによれば体温が非常に低いため、火を消す事ができるという。性別がない。ギリシア人は蛇の変種とみなし、その冷たさゆえか、冬の象徴として用いた。また、パラケルススにより四大元素のうち火をあらわすものとされた。
中世になると、火の王であるキリストを象徴するようになり、また、善なる火を燃やし続け、悪なる火を消すと考えられるようになった。
四大元素の一として、火の精を表す。
【シルフ】 Sylph
ギリシアでは蝶にかわる虫の事。
中世になると、物質と非物質の中間的存在の名として用いられ、特にパラケルススにより、四大元素のうち気をあらわすものとされた。
【タトゥーマン】 Tatoo Man
刺青をした人です。咄嗟に日本ではヤクザやテキヤといった職業の人が思い浮かびますし、ゲームに登場するタトゥーマンもヤクザらしいのですが、古代社会では成人の儀式やある種の団体(巫術師など)への加入の印として、しばしば体に刺青する事が行われました。また、呪術的な意味を持つ場合もあり、例えば古代中国では目尻に刺青した「媚」と呼ばれる巫女たちが陣頭にあって鼓を打ち、自軍に呪力を与えたといいます。また、琉球にも同様に手の甲へ刺青した巫女がいて、かつては戦いに寄与したとか。勿論、特定の保護を得るために守護神や守護精霊にちなむものを彫りつける事や、対抗魔術として刺青する事も世界中で行われています。刺青されるものは、おおむね単純な図形から呪力を持つ禽獣や水族、神の象徴まで様々でした。
【ノーム】 Gnome
地精。とはいえ、各地に固有の地精とは異なり、世界を構成する四大元素の一としての地の力にパラケルススが与えた名前である。オクスフォード英語大辞典では、語源をギリシャ語のゲノムス genomus(地に棲むもの)に求めている。地中を自在に動き回る事ができ、地中の宝を守っているとも云われる。
【ハングドマン】 Hangedman
古来、聖なる樹に吊り下げられる事は(その苦行を生きのびることができれば)霊妙な力を手に入れる方法でした。オーディンはユグドラシルに吊り下げられる事でルーンの知識を手に入れ、イエスは磔にされて後、復活して神または神の一部となりました。また、メソポタミアからヨーロッパ一帯で、たくさんの聖王が犠牲として聖樹にかけられてきました。彼らの目的は簡単に言えば肉体を犠牲にして豊饒をもたらし、自らは神霊となる事だったのです。それゆえ、彼らの肉体やその体がまとっていたもの、その吊り下げに用いられた全てものもは強い霊力を帯びていると考えられました。
従って、ハングドマン、吊られた男とは、何かを代償にして大いなる力を手に入れようとしている者を意味します。タロットの大アルカナにも用いられており、十二番目のカードにあたります。
この信仰はキリスト教に異教が駆逐された後も生きのび、絞首刑にされた者(ハングドマン、これもまた樹から吊り下げられた者には違いありません)にまつわるいろいろな俗信を生み出しました。例えば絞首刑に使われた縄や吊られた男の着ていた衣服は呪術に用いられ、吊られた男から零れた精液からはマンドラゴラが生え、あるいは絞首台の下にはアルラウネが咲き、吊られた男の右手を干し固めて蝋燭にした「栄光の手」は、盗人の姿を見えなくしたり、家宅に忍び入る時、家人を眠らせて侵入を気取らせないようにする力を備えているとされました。〔参照〕 アゴニー
【メイガス】 Magus
これは単数形であって、複数形はマギ Magi となる。また、英語読みであり、ラテン語的発音ではマグスである。意味するところは「魔術師」。とはいえ、いわゆる魔女(ウィッチ)ではなく、神秘学に通じた賢者を指す。例えば、幼子イエスを訪ねた東方の三博士がこれにあたる。1世紀頃のローマ帝国にはミトラ教の聖職者や占星術師、治療師などを指した。
【Y.H.W.H.】 Tetragramaton
神の秘密の名を表す四つの文字。頭文字ではないので本当は「.」は用いられない。YHWHと表記したいものです。勿論本来はヘブライ文字で書く方がいいでしょう。この四つの文字はヘブライ文字のそれぞれ、yod,he,vau,he
にあたります。また、「四つの文字」という意味でテトラグラマトンとも呼ばれます。
より古くはHWH he,vau,he
であり、これは「生命」「存在」「女」を意味します。これらは古代の中東では、三つでありながら合一されるものでした。また、この三文字に相当するラテン語の文字はEVE、すなわち最初の女であったイヴでした。つまり、万物の母−太女神を表したものが後に父権的な神に移って改変され、YHWHの四文字となったようなのです。
後代には、神の秘密の名で召喚された霊の統御に用いるもの、あるいは魔女を守護する悪魔であるとすら言われるようになりました。
カバラを用いる神秘主義者にとって、これはHWH(母なるイヴ)と
I(イェホヴァ jEHOVAH を表すjod )の二つに分けることができる名前であり、神がシェキーナーすなわち太母を喪った状態を指し示していました。