バビロニア-Babilonia
【イシュタル】 Ishtar
愛と豊饒の女神。また、アッシリアでは特に戦女神として崇拝を集めていた。その好戦的な事は、顎髭を与えられる事で強調されていたほどです。女神なのに〜。
イシュタルにまつわる最も有名な伝説は冥界下りの物語でしょう。喪われた恋人を取り戻すため、イシュタルは冥府へ赴くのですが、各層の門番を買収するために、ひとつひとつ衣服や飾りを脱ぎ捨てていかなければならず、ついに冥府の女神アラールの前に立った時は何一つまとわぬ姿になっていたのでした。けれども、望みを果たして地上に戻る時、脱ぎ捨てたのとは逆の順番で、飾りや衣服を次々に身にまとっていきます。イシュタルが衣服を脱ぎ捨てる過程は、植物が枯れる事、衣服を身に着けながら地上へ登る過程は、豊饒の回復を意味しているとされます。
【ウトゥク】 Utukku
特定の目的を持つ死霊。吸血鬼あるいは食屍鬼のように人間を襲う事もあるらしい。
【タムズ】 Tammuz
タンムーズ。その名は「現れ、出ていく息子」あるいは「忠実なる息子」を意味する。イシュタルの兄であり、夫。死んでは再生する植物神。彼が死んだために、イシュタルは冥界へ降りてゆかねばならなくなった。
天の羊(星)の群を飼う羊飼い、すなわち月であり、そのために羊飼いの神としてのオリオンと同一視される事がある。また、灌漑の神としても崇められる。狼星(シリウス)との関係が深く、この星が夏、天頂に来る時、タムズは死に、二日あるいは三日後に降雨とともに復活する事になっていた。
【ティアマット】 Tiamat
苦い水(塩水)、すなわち海の女神。原初から存在する三柱の神の一人。大いなる雌竜。一部は獣であり、一部は蛇であり、一部は鳥である怪物としても描かれるようです。淡水の神アプスーと結婚して最初の神々を生みだした。と〜こ〜ろ〜が〜、これらの若い神々があんまり騒々しいので、夫と相談して彼らを滅ぼそうとしたのでした。このため、ティアマットはたくさんの怪物を生み出すのです。彼女から生まれ、彼女に敵対した神々がバビロニアの守護神たちですから、ここで当然ティアマットは邪悪な存在に貶められてしまうのですけど……これってもしかすると家庭内暴力とか親子喧嘩っていうのではなかろうか
(ーー;。
初期の伝説ではティアマットこそが万物の源であるとされ、異説にアプスーが万物の源とする事もあり、興味深い。いずれにせよ、後代、ティアマットは混沌の象徴として残るのですが。
【ネルガル】 Nergal
疫病と太陽の破壊的な側面を体現する神。冥界の王。王冠を戴き、14人の不気味な疫神を従えた姿で描かれます。但し、最初からそうであったわけではなく、彼が疫病の神となった発端は、死の女王であったエレシュキガルの召喚に応じなかった事でした。これは不遜だ、というので神々の法廷で裁かれ、14人の疫神を護衛に与えられて追放を宣告されます。ところが、逆恨みといいますか(^^;。その疫神を引きつれてエレシュキガルの領界たる地下世界を襲撃し、彼女を妻にしてそこの主権を手にしてしまうのです。尤も、神々の集会に出かけたネルガルを早く呼び戻そうと、エレシュキガルが手管をつくしたという話もあるそうですから、裁判前に二神がどういう関係であったのかは……。いえ、証拠はないんですけど。
【パズズ】 Pazuzu
蛇である女神ラマシュトゥの夫神。
【ハンババ】 Humbaba
フンババ。得体の知れぬ巨大な複合獣です。禿鷹の爪と獅子の前足、野牛の角のある頭部を持ち、全身が硬い鱗に覆われ、尾と男根の先は蛇になっています。