ドイツ-German

アインヘ−ア】 Einheer

  その名前は「一軍団」を意味する。カール大帝に仕えた巨人で、敵の人間を一度に8人も串刺しにする事ができた。

荒女】 Wild Frau

  野の精の一種で、山に住む女の精。羊飼いの子供にパンをふるまったり、畑で働く農夫を手伝ったりする事がある。また、子供をさらっていくが、さらわれた子供は、緑の服を着せられ、幸せに暮らす事ができるようだ。

アルプ】 Alp

  トゥルートとも。チュートンの伝承に登場する妖精。その名は「悪夢」を意味する。正常ではない資質を持つ人間の形をした何か。おそらくは苦悩をもたらすもの。死霊、あるいは悪霊が実体化したものであるとみなされている。中世には猫、豚、鳥などの動物の姿で現れると考えられていた。また、霧や蛇に変身して犠牲者の口から侵入すると思われていた。いずれの姿をとる時も、一種の帽子を身に着けていて、それはアルプに姿を見えなくする能力と怪力を授けるとされている。帽子をなくしたアルプは、もし人間がそれを取り戻してくれれば、気前よく報いると云われる。
  通常は男であるとされており、アルプの犠牲者は女が最も多い。女や牛の乳を吸うのが、アルプの好む行動である。但し、男や子供が犠牲となる事もある。乳は出ないので、乳首から血を吸う。また、アルプの目は睡眠中の人を苦しめる力があると云う。また、アルプはしばしば、馬を苦しめるが、馬の頭を見せると退散するとも云う。
  アルプは、両眉が一つに繋がっている。また、このような眉毛を持つ者は、心に念じるだけでアルプを敵のところへ送り込む事ができるという。その時、アルプは眉毛の中から白い蝶のような姿で飛び出し、目指す相手が眠っている時、その胸に降り立つと云う。

アルラウネ】 Alraune

  ドイツ語でマンドラゴラの事。別名、ガルゲンメンライン(絞首台の小人)。古くはアルルーナ Alruna すなわち秘密をあらわす rune と同根の言葉であらわされた。
  アルラウネは、茎の上の方に、幅の広い葉と、黄色い花をつけており、掘り取ろうとするともの凄い声をあげるので、掘ろうとした人はたちまち死んでしまう。
  アルラウネを手に入れるためには、金曜日の日の出前に耳に、綿や蝋、瀝青などを詰めて音が聞こえないようにし、アルラウネの上で三回十字を切ってからまわりの土を掘り、根がかろうじて土とつながっているくらいにまでする。その後、根を紐で漆黒の犬の尾に縛り付け、犬を自分の方へおびき寄せる。
  入手したアルラウネを赤葡萄酒で洗い、紅白の絹に包んで小箱におさめ、金曜ごとに入浴させ新月の日に必ず新しい白い肌着を着せておくと、未来の事や秘密の事をいろいろ話してくれるようになる。このため、貧乏から免れ、子宝にも恵まれる。また、夜、貨幣を一枚添えておくと、翌朝には二枚になっている。但し、あまりに過大な要求をすると、アルラウネは弱って死んでしまうという。
  アルラウネの所有者が死んだ時は、必ず棺にパンと貨幣を入れておかなくてはいけない。アルラウネは、所有者の末子(末子が先に死んだ場合は長男)に受け継がれる。
  なお、アルラウネは、このような条件で生じるという。すなわち、犯罪者の家系か身ごもっている時に盗みを働いたか働こうとした女から生まれた者、または無実であっても拷問によって盗みを認めた者が童貞の若者であった時、縛り首にされて、尿あるいは精液を地面に零すと、そこからアルラウネがはえてくる。
〔参照〕ハングドマン

ヴァッサーマン】 Wassermann

  川などに住む水の精。人間とほとんど変わるところはない。ただ、その歯は緑色をしている。また、緑の帽子をかぶっている。人間の娘を誘惑し、めとる事があるが、妻との間に生まれた子供を三日後に食べてしまうとも言う。水底に豪華な宮殿を持っている。時々、人間の産婆や医者が、ヴァッサーマンの人間の妻のお産を手伝うために水底へ呼ばれる事があるが、その時、どんなにたくさんの金貨を積まれてもいつも以上の報酬を取ると、命取りになる。または、人間の妻が与えるものしか取ってはいけない。ヴァッサーマンは、新しい壺の中に、溺死者の魂を閉じこめておく。〔参照〕メロウ

ウィリー】 Wilis

  ウィリ。夜、舞踏に耽る白く半透明な若い娘の死霊。その踊りは荘重で物静かであり、ウィリの足は花々のうてなを僅かにかすめるばかりで、野山や森、湖水の上を彷徨っていく。それは狐火に見えない事もない。また、若者がウィリに出会うと、魅入られてとり殺されてしまう事もある。結婚の約束をかわした娘が結婚前に死ぬと、もしもそれが踊りの好きな娘なら、ウィリになる。
  ウィリの存在は、バレエ『ジゼル』の物語でよく知られている。

エーカーケン】 Ekerken

  クレーフェ公国、エルテン村近辺に住む妖精。名前は「栗鼠」を意味する。街道沿いで、人間をからかったり苦しめたりした。エーカーケンの姿は目に見えず、人間の手に似たものが、いたずらされた者に見えるだけだという。

音無族

  ヘッセン地方(ブレッセ山)の岩の狭間や泉、緯度、深い淵、洞穴に住む小人族。寡黙であるためにこのように呼ばれる。気に入った人間には色々な親切をしてくれる穏やかな種族で、もし人間から危害を被った時は、その人間自身にではなく、家畜を苦しめる事で鬱憤を晴らす。彼らの体は血肉で作られているが、自分を透明にする事ができ、岩の中に住んでいる。当然、岩や石を通り抜ける事ができる。だが、昼間は地上を出歩く事ができない。金銀財宝をたくさん所有している。

グノーメ】 Gnome

  知識を表すギリシア語の語幹から派生した言葉で、地下に棲む小人を指す。これらの小人は鉱脈や、それらから作り出した様々な宝物を所有し、それを隠している。彼らは、それらに関する「知識」を持つものと考えられている。

苔族】 Moosleute

  荒野や雑木林、地中の穴の中に住む、背丈の小さい精霊。緑の苔の上に眠り、全身に緑の苔の衣をまとっている。おおむね、人間には友好的のようだ。大変力が強い。苔族の女は、揺さぶり女(Ruttleweiber)とも呼ばれる。この一族は、狩りをする魔王(夜の狩人)の獲物でもある。

コボルト】 Kobold

  ギリシャ語で意地の悪い精を指す kobalos から発した名前。また、ウォーカーによれば、ギリシャ語の kaballoi(騎乗者たち)から発した名前。家の精であるが、以前は鉱山に棲む意地の悪い霊をこの名で呼んだ。すなわち地霊の一種といえる。アルベリッヒという名の王を戴いている。叩くもの、とも言われる。鉱山の奥で何か叩くような音や、銀鉱に混じった役に立たない鉱石は彼らのせいだった。
  家の精としてのコボルトは、どんな家事でも片づけてくれ、その家は家畜が殖え、なんでもめでたく運ぶ。コボルトがある家に居着こうとする時は、まず、鉋屑を家の中にばらまき、ミルク壺にさまざまな家畜の糞を投げ込む。この時、家の主が鉋屑を散らばらないようにし、糞が入ったまま、ミルク壺からみんなが飲むように気をつければ、コボルトはその家に居着くようになり、そこの住人が生きている限り、家を離れる事はなくなる。
  料理人や女中がコボルトの助けを借りる場合は、家の中の一定の場所に、美味しい料理を出しておき、コボルトがそれを食べに来るのを、自分を含め、誰も見ないようにしなければならない。もし、これが破られると、コボルトは手伝いをしてくれなくなるばかりか、料理人や女中を不器用にしてしまう。料理人や女中が代替わりをしても、コボルトの世話をきちんと言い送れば、問題はない。
  一説によると、コボルトはその家で殺された人の霊魂だともいう。
  コボルトの大きさは、子供くらいで、派手な色の模様がついた上着を着ている。背中に包丁を突き立てたり、殺された時に使われた凶器をそのまま身につけている怖ろしい姿のものもいるという。

ジークフリート】 Siegfried

  竜殺しの英雄。生まれ育ちには幾つかの異説があるが、いずれにせよ、嬰児の頃に(あるいは母親の出産時)に父親とすでに別離しており、人外の生き物である鍛冶屋か、雌狼によって育てられる。財宝を守る竜ファーフニルを殺し、その血を浴びた事によって不死の躯を得るが、残念ながら背中に貼り付いた一枚の木の葉のためにその不死は完全なものにはならなかった。ワルキューレの長であるブリュンヒルド(もしくは男まさりの女王/王女であるブリュンヒルド)を娶ります。ジークフリートを主題にした最も有名な叙事詩はおそらく『ニーベルンゲンの歌』であり、最も有名な近代の作品はヴァーグナーの楽劇でしょう。

シュトレゲレ】 Straeggele

  ルツェルン地方。降誕祭の前の水曜の夜に姿を現す魔女。その日の仕事分、糸を紡がなかった娘を、いろいろな方法で苦しめる。

白夫人】 Weisse Frau

  森や牧草地に現れる精。火のついた蝋燭を手に、厩へやってくる事もある。そのような時は、白夫人は馬の毛を梳いたり、背を磨いたりするが、馬の鬣には、蝋がしたたり落ちる。
  白夫人は、外を出歩く時は目が見えるが、自分の住処では盲目である。

ドッペルゲンガー】 Doppelganger  ※ a はウムラウト有

  二重身。二重の存在。霊魂、もしくは影、あるいは生まれなかった双生児であるとも言われた。いずれにせよ、自分とは瓜二つの存在で、これに出会うと死の前兆であるという。

テュルスト】 Turst

  ルツェルン地方の魔物。夜、森で嵐が吹き荒れる時に、狩りをする。

ドワーフ】 Dwarf

  小さいが、大抵はがっしりとした体つきで、怪力を誇る事もある。いわゆる小人。

ニックス】 Nix

  水の精。不用意に人間がニックスの領域に踏み込むと、つねり殺されたり溺死させられる事がある。特に、ニックスの住む川で、金を賭けて泳ぐと、命取りになるようだ。ニックスの女は、長い金髪を持っていて、川岸や、水辺の木の枝に座って、それを櫛で梳いている事がある。また、人間と変わらぬ姿で市場で買物をしたりするが、その場合、必ず、スカートやペチコートの裾が両手の幅くらい、濡れている。ニックスは、オレガノとマルビウムを嫌うので、ニックスから身を守るためにはこの2種類の薬草を握りしめていると良い。
  ときに、人間がニックスに召使いとして奉公する事もあるという。待遇は良いようだが、食べるものには塩が一切入っていない。

野の精】 Die wilden Geister

  12月半ば〜1月半ばまでは野の精の季節なので、人も家畜も森には杯穴井。また、女達は野の精の女の心を和らげるため、糸巻き棒に髪の毛をひとつかみ巻きつけて火に投げ入れる。
  野の精は素晴らしい鍛冶屋である事もある。

ピコリュス】 Picollus

  古代プロシアで信仰された神。コラン・ド・プランシーによれば、要人の晩年に出現し、適切に鎮めてなければ、三度目には流血によってしか鎮められなくなってしまうという。また、普段は宮殿に住み、機嫌が良ければその笑い声が隅々まで響きわたるという。

ヒンツェルマン】 Hinzelmann

  ボヘミアの森(山)からリューネブルクに移ってきた家の精。1584〜88年まで、フーデミューレン城に住む。種族名ではなく、個人名で、ヒンツェルマンの妻は、ヒレ。ビンゲルスという。ヒンツェルマン自身によれば、コボルトでもポルターガイストでもない。厨房や厩舎の仕事をよくこなし、馬をよく殖やした。料理番は、ヒンツェルマンのための部屋(ここには寝台が3つあった)の小卓に、甘い乳や白パンなどを一日に一度、用意しておく事になっていた。よく、人間をからかう。また、美しい高く細い声で、歌うのを好む。
  4歳児くらいの大きさで、黄色い縮れ毛をしており、紅い服を着ている。だが、せいぜい15歳くらいまでの子供にしか見る事ができない。手で触れても冷たく、骨のように固い。

プッツ

  オーストリアの森林に出没する精霊。人間に富を与える事もあるようだが、大抵、プッツにもらった宝は、家に帰ってみると木の実などに変わってしまっている。

ヘマーリング

  ヘマーリング親方、山法師。黒の僧衣をまとった大男の姿で、鉱山の底に現れる、鉱山の精。首の長い馬という姿を取る事もある。鉱夫達の守り神のような役割を果たす事もあるが、大抵は荒々しいふるまいをし、ヘマーリングの邪魔をすると、殺されてしまう事が多いようだ。

ヘルタ】 Hertha

  ゲルマンの地母神。大海の真中に島があり、そこに神聖な森がある。森の中には、幌をかけた女神の車が置いてある。二頭の雌牛が、この車を牽く。女神は時折この車に乗って人間の世界を訪れるが、その時は戦はやみ、婚礼などの祝い事が起こる。女神は人の世界に飽きると森へ帰るが、その前に、人里離れた湖で車も幌も女神自身も身を清める。この時手助けをする者たちは用が済むと湖の中に帰ってしまう。また、この光景を見た者は死んでしまうため、この時、湖には秘密の帷がかけられている。

ベルタ】 Berta

  野の精の一種。ビルダベルタ、ヒルダベルタ、鉄のベルタ、ペルヒタ、プレヒタなどとも呼ばれる。もじゃもじゃの毛をした女の精で、年の最後の日には、自分の亜麻を最後まで紡がなかった娘の糸巻き竿を汚してしまう。また、大晦日には団子とニシンを食べないと、ベルタに腹を切り裂かれ、食べたものを取り出されて藁を詰め込まれてしまう。しかも、針の代わりに梳きべらで、糸のかわりに鉄鎖で縫い合わされてしまう。

ホルダ】 Holda,Holde,Hulda

  空の女神。また、炉の女神。美しく威厳に溢れ、糸つむぎや亜麻の栽培を司る。キリスト教化されてからは、洗礼を受けないまま死んだ人の魂を率いて、夜空を駆けめぐり、空の狩猟を行ったが、ホルダの狩猟隊が飛び越えた土地は、収穫が二倍になると言われた。中世には、鋭い牙と鉤鼻と糸のように長い髪をした鬼婆の姿に貶められ、一種の怪物に零落してしまった。

ホレおばさん】 Frau Holle,Frau Holla

  ホッラおばさん、とも。井戸や泉の底の仙境、あるいはドイツ各地の山に住んでいる、大きな歯と白い髪をした老婆。但し、時には色白の美しい女となる事もある。この老婆と握手をすると、手が真っ黒になるという。また、老婆が寝具や、その白いだぶだぶの服を振るったり、鵞鳥の羽をむしったりすると、地上では雪が降ると云われている。健康と子宝を恵み、心がけの良い子供や働き者の糸紡ぎ娘には恩恵を与え、怠け者には罰を与える存在。ホレおばさんのすみかである池や泉、井戸に子供が引きずり込まれた場合、良い子なら幸運児に、悪い子なら取り替え子になってしまう。
  ホレおばさんの澄んでいる場所は、美しい庭園で、きれいな花や美味しい果物がたわわに実っていたりする。それらは、ホレおばさんが気に入った人間に、くれる事がある。
  ホレおばさんは、年に一度、たいていは降誕祭の時に国中を歩き回って畑に実りの力を与えると言われている。また、荒れ狂う軍団の先頭にたって森を駆け抜ける事もある。
  ホレおばさんが住む水の底からは、鐘の音が聞こえる事がある。

山小人】 Bergmaennlein

  背丈は代替40〜50cm。長い鬚をはやした老人の姿で、鉱夫のような身なりをしており、シャツに白い頭巾がつながった服を着て、尻の所に革をつけている。手にはカンテラと金槌、つるはしをたずさえる。鉱山の精でもあり、鉱石のある坑道に姿を見せる。鉱夫達に悪さをする事はほとんどない。但し、他愛のないいたずらはしかけるようだ。
  また、死が迫っている鉱夫には、トン、トン、トンと3つ音を出して知らせるという話もある。
  山小人は次のようにして呼び出す事ができる。新しい、小さな卓を据え、その上に白い布を敷き、牛乳を注いだ小鉢2つと蜂蜜の入った小鉢2つ、小皿2枚、ナイフ9本を並べる。黒い雌鳥を、キャベツを煮ている鍋の上で裂き、中に血を滴らせる。裂いた鶏の片方は東に、片方は西に投げる。小人が出てくる迄は姿を隠していなければならない。
  なお、この方法で呼び出された山小人は、僕として出てくるわけではなく、単にその場へ遊びに来るだけだという事をわきまえていなければならない。

夜の狩人】 Nachtjaeger

  手下を率いて空を翔ける狩人の王。

夜の精】 Nachtgeist

  ケルン近くの沼地に住む。尼さんの姿をしていて、夕方この沼近くを通る者がいると、その背中に飛び乗る。飛び乗られた者は、一晩中、気を失って倒れるまで、せき立てられたり駆り立てられたりしながら、この精を背負って歩かなくてはならない。

ライ麦伯母】 Roggenmuhme

  麦女(コルンヴューフ)、畑の妖女(エルトヴァイプ)とも呼ばれる。麦畑、特に、緑に茂った畑の中にはこの精がひそんでいて、子供をさらう。

リントヴルム】 Lindwurm

  中高地ドイツ語では、 lintwurm 。複合語であり、lintとwurmのいずれもが本来は虫とか蛇を意味する。毒のある竜の一種。その血を浴びただけで、体に毒が染みこんで死んでしまう。

ローレライ】 Lorelei

  ライン川の有名な岩。河の女神。おそらく、この岩が本来は女神の聖所であったのだろう。セイレーンと同じように、ローレライは歌を歌って水上を行く者を惑わせ、溺死させた。