マヤ-Maya
「トウモロコシの豊饒を七度もたらす神」。大地を豊かにするため、天地創造の時、地の七層目から地上に現れた。
「七の百足の殿」。星の神の一柱。おそらくは銀河を指す。
北極星の神。
【アハウカン】
「蛇の殿」。昴の神。
【アー・プチ】 Ah Puch
または「黄色いひたたき」を意味するイシュ・カン・タカイ。人祖の一人であり、また、九層からなる冥界の神でもある。
【イシュキック】
冥府の小神であるクチュマキクの娘。掌にフンフン・アプの唾を受けたために身ごもった。私生児を身ごもったとして父に殺されそうになるが、その手先である梟に見逃してもらってシュムカネのもとへやってくる。この時、シュムカネにこの事を信じさせるため、何もない野原を手で打って玉蜀黍を生やさせ、その実をたくさんとってみせた。冥府に関わりのある者がしばしばそうであるように、シュキクも植物霊なのかもしれない。フン・アプ、イシュバランケーという双生児を産んだ。また、この二人の子供が父を救出するため冥府に赴いた時にも、自分たちの形代として玉蜀黍を家の真中に突き刺している。
女の顔と鷲の体を持つ女神あるいは女の精霊たち。
【イシュバランケー】
フン・アプの双子の兄弟。ほぼ同じ力を持つと思われる。
「地の鰐」。鰐のような形をした巨大な魚で、顎の間からイツァムナーの顔を覗かせている。大地の怪物であり、その肉から大地が創られた。
【イツァムナー】 Itzamna
創造神フナムの息子。天界及び昼と夜の支配者。太陽とも同一視される。歯がなく、頬のこけた、堂々とした鼻の優しそうな老人として描かれる。文字や書物を発明し、宗教儀礼を確立し、土地を区画した文化英雄。完全なる善意の存在で、いかなる邪悪とも関係しない。
「七つの心臓を持つシプ神」。鹿の守護神。天地創造の時、全世界が成立した事を宣言し、最初に天地を治めた。
【エク・アハウ】
「黒い王」。赤い唇をした色の黒い神。商人の神。また、戦争の神という一面もあるらしい。
【エクチュワ】 Ek Chuuah
「黒い蠍」。またはワク・チュワーナル(六匹の蠍)。旅人の神。カカオの商人たちの神。色が黒く口が引っ込んだ老人。なお、カカオは一種の通貨としても用いられた。
十三層の天界の神々。通常は、一柱の神として扱われた。
【オムシュック】
卵から孵った小さく賢い男の子。生まれた時から、絹のように細い金色の髪を持っていた。ある老夫婦に発見されて育てられる事になったが、子供が不思議な力を持っている事を知った夫婦は、オムシュックを殺そうと企てた。だが、そのためにかえって老人は殺された。
養父母のもとを離れたオムシュックは海岸で大きな音の太鼓を叩き、フラカンの使いに対して直接の答を与えなかった為に、悪霊と勘違いをされる。そこで、蛇の室、虎の室、絶えず矢が飛んでくる室に順次入れられたが、それでもオムシュックを傷つける事ができず、ついにフラカンはオムシュックを石投げに誘い出して殺そうとした。フラカンの与える数々の試練にオムシュックがうち勝った為、オムシュックが発生させるトウモロコシに、常に水を与える事で、争いは決着し、人々の間に食物としてトウモロコシがもたらされるようになった。
【ガナン】
またはユム・カアシュ。トウモロコシの神。収穫の神。面長の美男。
【カブラカン】
ブクブ・カキシュの第二子。「山を壊す者」。父同様巨人であり、山を根こぎにしてはそれを大空に投げ上げていた。フン・アプの策略によって毒殺される。
【カマソッツ】
冥府にある「蝙蝠の家」の首領。石のナイフのような鼻と、人の頭も一撃で切り落とせるほどの大きく鋭い爪を持つ。吸血蝙蝠。
【カンヘル】 Canhel
蛇竜。銀河をあらわすもの。また、風の精霊。後にキリスト教の影響を受けてからは、マヤの天使を指す言葉としても用いられるようになった。
【キト・チャク・コー】 Cit Chac Coh
「赤いピューマの父」。おそらく、戦いの神。
【キニチ・アハウ】 Kinich Ahau
火の鳥。太陽の一面を表すもの。イツァムナーと同一視される。芸術や絵文字を生み出した神。
【キニチ・カクモ】 Kinich Kakumo
「太陽の顔をした火の金剛インコ」。冷酷無惨で、命を与えたり奪ったりする太陽の神。祈祷と生贄、労働がこの神に捧げられた。
【グクマッツ】
原初から存在していた神の一柱。創世神。トルテカのケツァルコアトルに相当する。蛇、鷲、虎(オセロット)、その他の下等動物に変身する事ができる。
【ククルカン】 Kukulcan
「羽毛の蛇の神」。天狗のような鼻と双つの牙を持ち、松明または火を象徴とする。また、四大を表す、芽吹くトウモロコシ(大地)、魚(水)、蜥蜴または山椒魚(火)、禿鷹(風)をも象徴とし、方位の中心である十字形の木の上に座っている。蛇と敵対し、蛇を食い、また、蛇に食われる。このサイクルは永遠に続く。ケツァルコアトルに相当する。
【シパクナ】
ブクブ・カキシュの息子。やはり巨人であったらしく、日々、山の上に山の上を積み重ねていたという。当然力自慢であった。魚や蟹が好物らしい。フン・アプらに送り込まれた四百人の若者をはね飛ばして天空の星にしてしまう。最後は、フン・アプとシュバランケによって石に変えられた。
【シュバキヤロ】
フンフン・アプの妻となった女神。フンバツ、フンチョウエンの二柱を産んだ。しかしながら、この二人は後に異母兄弟であるフン・アプとシュパランケに強く嫉妬したむくいで、醜い猿に変えられてしまい、人猿の祖となった。
【シュピヤコシュ】
原初から存在していた神の一柱。創世神。
【シュシュ・エク】
「雀蜂星」。星の神の一柱。
【シュムカネ】
原初から存在していた女神。創世神。シュピヤコシュとの間にフンフン・アプ、ブクブ・フナプという二人の男児をもうけた。
【シュラブ】
肉食蟻。大群をなして井戸や洞窟を襲う。
【スフイ・シプ】
狩猟の神。
「大悪霊の鮫」。海の怪物。
【チャック】 Chac
「水を注ぐ者」。雨の神。トラロックに相当する。
【トヒル】
「ぶらつく者」。人間が暗く寒いところで震えながら冷たい食べ物を食べているのを見て可愛そうに思い、脚を激しく擦り合わせて火を創り出した。しかも、ある時大雨で大切にされていた火種がすっかり失われてしまった時も、再び同じようにして人間に火を与えたと言われる。
また、まだ太陽がない頃、人間の始祖である八人の男女の間で言葉が乱れ、通じなくなった時、彼らを導いて太陽のある場所まで連れていった。
【ナグワル】
動物や鳥の形をした人間の守護精霊。森の中に入って、特別な夢を見る事により、その人独自のナグワルを授からなければならないとされており、生まれた時から誰もが持っているものというわけではないようだ。ナグワルは姿を消し、素早く移動する事ができ、人間の運命を司る。
新生児の道を最初に横切る生物が、その人のナグワルになると言われるが、ナグワルに祈って願いをかなえてもらうには、特別の方法を知らなくてはならない。あるいは、これが、「独自のナグワルを授かる」という事かもしれない。いずれにせよ、人間個人個人と深い関わりを結ぶ精霊であるが、ナグワルの力を利用するためには、ある種の条件が必要となるわけである。なお、自転車のように、生物とみなされる物も、ナグワルとなり得る。
但し、ナグワルはその人と不可分の関係にあたり、ナグワルの持つ性質は、いわば第二の魂のように、その人に影響を与える。たとえば、ナグワルが凶暴な獣であれば、その人も、どこかに凶暴な性質を秘めている事になる。また、その人が死ねばナグワルは滅び、ナグワルが滅びれば、その人も死んでしまう。
【ノヒンカブ】 nohyncab
全ての蜂を支配するもの。大きな蜂の姿をしている。
【バカブ】 Bacab
養蜂の神。また、四方で天を支える神。
【ハパイ・カン】 Hapay Can
「人を呑む蛇」。人間を一気に飲み込んでしまう、水中の怪物。
【ピルテック】
子供の姿をした太陽の神。
【ブクブ・カキシュ】
最初の人間達を滅ぼした大洪水が引ききらぬ頃にいた怪物。巨大な体中が黄金と白銀に輝き、歯はエメラルドでできていた男。非常に傲慢で、常に神々を嘲り笑っていた。妻であるチマルマトとの間にシパクナとカブラカンの父。香りの高い黄色い果実のなる木を持っている。フン・アプ、シュパランケと戦い、フン・アプの片腕をもぎとったが、自分も口の中に毒を塗った吹矢を受けてしまう。シュピヤコシュとシュムカネが医者に変身して近づき、治療すると偽って眼と歯を刳り抜いたので、ようやく死んだ。
【ブクブ・カメ】
冥府の神の一柱。フン・カメと一緒にフンフン・アプらをだまし討ちにした報いで、死ぬ事になる。
【ブクブ・フナプ】
シュピヤコシュとシュムカネの間に生まれた。フンフン・アプの兄弟。
【フラカン】
原初から存在していた神の一柱。木を刻んで創られた最初の人間が出来が悪かったため、増水を起こし、さらに何日も続く大雨を降らせて、大洪水を起こした。次に黄色と白の玉蜀黍の粉を練って四人の男を創りだしたが、あまり出来が良すぎて神とほとんど等しい者であったため、他の神と相談して彼らの目を曇らせ、大地の一部しか見えないようにして(神々は大地をくまなく見通す事ができる)、その後四人の女を創って妻として与えた。これが現在の人間(キチェ族)の祖先となったという。
四人の男の名は次の通りである。バラム・キツェ(美しい歯を持つ虎)、バラム・アカプ(夜の虎)、マハクター(著しい名)、イキ・バラム(月の虎)。この男達はついに年老いて最期の時を迎えると、姿が見えなくなり、大きな巻束を残した。これは「包まれたる巌の宝」と呼ばれて決して開かれずに保管された。
四人の女の名は次の通りである。カハ・パルマ(落ちる水)、チョイマ(美しい水)、ツヌニハ(水の家)、カキシャ(輝く水)。
【フン・アプ】
フンフン・アプとイシュキックの子。悪戯好きで乱暴でもあったようで、祖母のシュムカネをさんざん悩ませた。畑をひとりでに耕す魔法の道具を持つ。また、他のものを獣などに変身させる魔力を持つ。また、頭を切り落とされても他の生物を頭に変え、前身を焼かれても骨の粉を魚に変え、六日をおいて完全に復活する事ができた。
【フンハウ】
または、アフプチ。人間の体と梟の頭を持つ。死の国ミトナルを支配する。また、電光の運び手としての犬とも関係がある。
【フンフン・アプ】
シュピヤコシュとシュムカネの間に生まれた神。ブクブ・フナプの兄弟。シュバキヤロを娶って二人の子供をもうけた。兄弟ともども冥府の神の罠にかけられ、頭を切り落とされて瓢箪のなっている木に吊されてしまう。この時、瓢箪と間違えて手をのばした冥府の娘イシュキックの掌に唾を吐き、みごもらせた。後にフン・アプによって冥府から兄弟ともども救出される。
【フン・カメ】
冥府の神の一柱。フンフン・アプとブクブ・フナプをだまし討ちにした報いで、後にフン・アプらの計略にかかって死んだ。
【ペック】
電光の犬。死・埋葬と関係のある犬の姿の神。
【ボロン・ツァカブ】 Bolon Dzacab
「九の世代(永遠)の神。チャックと関係のあるカンの年の守護神。冥界の神でもある。
【ボロン・ティク】 Bolon Tiku
「九の神」。九層の冥界の神々。通常一柱の神として扱われる。ボロン・ティクの治世は暴政にあけくれた。
【ムケンカプ】 mucencab
あるいは、アー・ムケンカブ。全ての蜂を支配する大きな蜂の姿をした神。野蜂の神。
【ラフン・チャン】 Lahun Chan
「十の強者」。天界第十層の神。醜い歯をむき出した姿。