スコットランド-Scotland

エルフ】 Elf

  エルフは北欧神話に発し、スコットランドからイングランドにまで分布していますが、彼女らの姿から、おそらくスコットランドのエルフではないかと推察されます。彼女らは灰色の衣服と白いヴェールを着けた大変美しい娘達です。しかしながら、一つだけ欠点があります。それは長い牛の尾がついている事なんですね。もし、それを見つけてしまっても、あからさまに言い立てたりしてはいけません。紳士的かつ婉曲に教えてあげましょう。そうすれば、エルフはあなたに感謝して、一生涯幸福にしてくれるかもしれませんから。

カーシー】 Cu Sith

  原語の発音に近く表記するとすれば、クー・シーの方が良さそうです。妖精犬の一種ですが、他の妖精犬と違うところは、クー・シーが暗緑色をしている点です(他の妖精犬は大抵、白と赤か、黒い色をしています)。二歳の雄牛くらいの大きさがあり、毛むくじゃらで、長い尻尾を背中の上でくるりと巻いているか、あるいは平たく編んで垂らしています。自分で編めるわけはないですから、妖精にしてもらったのかもしれません。つまり、野生ではないのでしょう。足幅は人間と同じくらい広いのですが、音もなく滑るようにまっすぐ歩きます。また、獲物を追う時には三度、もの凄い声をあげます。

ケットシー】 Cait Sith

  カット・シーとも発音する。犬のように大きく、黒く、胸に白い斑点がある猫。とはいえ、普段は普通の猫のふりをして人間に飼われていたりもする。スコットランド以外にも、妖精猫の仲間は存在する。たとえば、フランスの長靴を履いた猫とか( ・・)/

ケルピー】 Kelpie

  普段は若駒の姿をとり、「水の馬」とも呼ばれる水精。イギリス諸島の水棲馬のうち、最もよく知られたもの。大抵は川に出没する。人間に悪戯をしかけて、自分の背に乗るようにしむけるのですが、もしケルピーに跨るなら、そのまま深みに駆け込み、一閃の光となって消えてしまうでしょう。どうやら地上に現れる時は馬具を着けているらしく、もしもこの馬具を奪う事ができれば、魔法をかけるのに利用する事ができます。また逆に、人間界の馬具を着けさせる事ができれば、ケルピーを思うがままに使役する事ができるという事です。とはいえ、あまり情け容赦ない事をすれば、恨まれるのは当然です。注意しましょう。何しろ、ケルピーは背に乗せたものを水中に引きずり込む事ができれば、引き裂いて喰うとも云われているからです。その場合、何故か肝臓だけは喰われないので、水面に浮かび上がります。慰めにもなりませんが。また、溺死を予言する場合もあります。
  粗野な毛むくじゃらの人間の男の姿をとる事もありますが、その場合は一人で馬に乗っている者の後ろに飛び乗り、乗り手をしっかり抱きかかえて恐ろしい目にあわせるといいます。

シルキー】 Silky

ダークエルフ】 Dark Elf

  エルフの中でも邪悪で、人間に非好意的な者どもです。姿形はエルフとそれほど変わりないのですが、一説にはより色黒であるともいいます。

タム・リン】 Tam Lin

  カーターホフと呼ばれる(おそらくは架空の、あるいは隠された名の)森に棲む若者の姿をした灰色の妖精で、そこを訪れる乙女の操を例外なく奪い取ってしまいます。タム・リンを確実に呼び出すためには、森に咲く薔薇を手折れば事たります。けれども、それを折る機会は通常一度しか与えられません。伝承歌によれば、生まれながらの妖精ではなく、ロックスバラ公の孫として生まれた騎士だったのですが、猟の帰りに落馬して妖精の女王に捕らえられ、七年の後に生贄にされる事となっていました。このくだりは、女神または女王と結婚し、一定の年限がすぎると生贄にされた聖王を連想させますね。けれども、タム・リンの子を身ごもり、それゆえに再度森を訪れて薔薇を手折った王女ジャネットの尽力により、タム・リンは生贄となる運命を免れ、人間の身に戻ることができます。そのためには妖精のめくらましに惑わされず、怖れない、強い意志が必要でした。

ピアレイ】 Peallaidh

  高地の水精。原義は「もじゃもじゃなもの」。大抵は川や湖、あるいはその岸辺に棲んでいます。邪悪で危険な妖精です。

ファハン】 Fachan

  胸からごつごつした毛むくじゃらで痩せた手が一本はえ、尻から、血管の浮き出た脚が一本はえ、分厚い足の裏をしています。色黒の顔の真ん中には隻眼があり、頭頂にはおそろしく堅い剛毛が一房。全身がねじれた剛毛のような黒い羽で覆われ、その上に鹿皮を巻きつけています。手には二十本の鎖がついた殻竿を握っているのですが、その鎖にはそれぞれ五十の大きな玉がついていて、玉の一つ一つには呪いが込められていると云います。

ブラウニー】 Brownie

  この名で呼ばれるのは低地地方のもの。イギリス北部にも棲んでいます。また、高地ではボダッハと呼ばれます。だいたい身長は1メートルたらずで褐色の襤褸服を着ています。それどころか体の色も褐色なのです。髪の毛はくしゃくしゃです。典型的な家つき妖精で、夜、人が寝静まっている時に現れてはその家の仕事を助けます。しばしばその家の誰か(大抵は主婦、あるいは娘)と個人的に関係を持つようになりますが、その人間はカップ一杯のクリームかミルク、そして上等のパンを一つ毎日ブラウニーにあげなくてはなりません。この場合、直接渡すのではなくて、ブラウニーにわかるところにそっと置いておかなければならないのです。というのは、ブラウニーの姿を見る事は禁忌だからです。また、ブラウニーの奉仕に対してこれ以外のお礼をする事も禁物です。特に服をプレゼントすると、ブラウニーはその家から去ってしまいます。また、家族の一員として洗礼を受けさせようなどと考えてもいけません。どれほど良い妖精でも、キリスト教には耐えられないからです。家の守護神でもあるようで、ブラウニーがもしその家から去ってしまうと、幸運も一緒に去ってしまいます。勿論、ブラウニーを正しい方法で大切にしていれば、その家はずっと幸運なのです。
  何らかの形でブラウニーを怒らせてしまうと、去るどころか、悪い妖精に変身してしまう事もあります。日々の贈物の質を落としたり、ブラウニーに頼りすぎてはいけないという事ですね。
  また、ブラウニーとの関係を結んでいる女が出産しようとする時は、しばしば産婆を連れてくるか、家人に産婆を連れてこさせます。

ホッグブーン】 Hogboon

  オークニー諸島のブラウニー。ノルウェーのハウグボンドと同じく、もともとは子孫を守護する祖先の霊でしたが、後にブラウニーとほとんど同様の妖精となりました。