南アメリカ-South America
【アンアンガ】
平原の動物の女主人。狩人に殺された動物を幽霊に変える。その幽霊は狩人を荒野に誘い込み、そこで飢えて死なせるようにするという。
【カーバンクル】 carbuncle
ラテン語で carbunculus すなわち「小さな石炭」を意味する言葉から来ているが、実際には紅玉、あるいは柘榴石といった赤い色の宝石に対して使われた。その後、コンキスタドール達が16世紀になって、南米でみかけた不思議なものにこの名を与えたと言われる。すなわちそれは燃える石炭のように見えるものを頭に乗せた小さな動物で、その形や性質を見極めた者はないらしい。ヨーロッパの伝説にいう、蟾蜍が自分の冠に隠している宝石や、オリエントの伝承にいう、蛇の女王が額に持つ宝石を連想させるが、関係があるかどうかはわからない。この生き物が頭に乗せているものも宝石であると考えられ、それを手に入れれば富と幸運がもたらされると伝えられる。
【カイポラ】
アマゾン地域の森の動物の女主人。サルサの小枝を手にし、パイプをくゆらせながら猪の背に乗って森を駆けめぐる。カイポラは狩人に殺された獣を蘇生させ、彼女を崇めぬ者には不運を送りつける。甲高い口笛のような音をたてる。
【クルピラ】
森の精霊。緑の歯をした小柄で活動的なインディオの姿をしている。また、後ろ向きに歩くという。森の樹を守る存在であり、人里離れた森の小川の畔に棲むという。漁師や天然ゴム採取者を悩ます存在でもあった。
【チョンチョン】 chonchon
非常に大きな耳をして、赤い肉髯のある人間の頭で、耳を翼のように動かして夜空を飛ぶ。犬のような腹をしているともいう。大きさはおおむね七面鳥くらい。妖術師にしか見えず、妖術師にしかこの怪物を地に落とす事はできない。但し、正しく六芒星を描けばこれを落とす事ができるともいう。チュイ、チュイという不吉な鳴き声は妖術師でなくても聞く事ができる……聞きたい者はいないであろうが。死んだばかりの人間の頭がチョンチョンになるという話もある。という事はアンデッドの一種なのかもしれない。
【ブトリク】 (ブラジル・ボロロ族)
巨大な蛇に似ており、洞窟に棲む。ブトリクの血が女の体につくと、妊娠してしまう。アトゥルアロドという女性がまさしくそのようにして妊娠し、ジュレ(アナコンダ)の形をした息子を産んだ。この息子は、母親に何も悪い事をしなかったのに、アナコンダであったために、殺されて体は焼かれてしまった。然し、その灰から、たばこ、綿などさまざまな役に立つ木の苗がたくさん生えてきた。
【フルパリ】
キリスト教が入ってくると悪魔と同一視されたが、本来、アマゾン地域で崇められていた神聖な存在で、部族の慣習や徳性を擁護する精霊であった。
【ボイウナ】
アマゾン河の蛇女神。支流を含め、アマゾン地域を流れる全ての大河を支配する。冷酷で破壊的、獰猛で、飽く事を知らない。暗がりではその目は燈火のように輝き、夜の河で獲物を探す。獲物は生きたままで貪り食われるようである。女達の側にいるだけで、妊娠状態に追い込む。
【ロビスオーメン】
おそらくはヨーロッパ源流と思われる狼人間。単独で旅する者を襲い、殺害したり、狼人間に変えたりする。