刑具−Torture
【アイアンメイデン】 iron maden
「鉄の処女」。ニュルンベルクで作られ、使用されたと云われる拷問具あるいは刑具です。鉄で作られた棺桶のような形をしていて、内側にはたくさんの釘が取り付けられ、外側から操作して飛びだしている部分の長さを変えられるようになっています。つまり、この容器に入れられた人の任意の部分を好きな順序で(あるいは同時に)指し貫く事ができるわけです。
棺桶に閉じこめられるばかりか、犠牲者はどこをどのような速度でどれくらい深く刺し貫かれるか予測する事ができず、しかもこの容器は立てられているので、中で宙吊りにされているという恐怖をも味わわなければなりません。
かように恐るべき装置であるにも関わらず、その表面には清純な少女の顔が彫られていたため、この容器は「鉄の処女」と呼ばれるようになったわけです。
実物は第二次大戦の時、空襲で破壊されたそうですが、今ではその複製が展示されています。但し、実際に使われたものかどうかには疑問が残り、僅かに1515年、昔の出来事として、この装置に贋金作りが入れられて処刑されたという記録があるだけだとか。
なお、似たような装置が処刑に使われたお話として、ドイツには、継子の幸せを妨害しようとした悪い継母が、最後に釘をたくさん刺した樽(当然、釘の先端は樽の内部に突きだしている事でしょう)に入れられ、丘から河へ向かって転がり落とされたという民話がある事を書き添えておきます。
【アゴニー】 agony
字義通りには、精神的あるいは肉体的な激しい苦痛の事を意味します。画像としては十字架を負う人の姿をしていますね。すなわち磔刑にされた人という事で、刑具としての十字架について。
本来これは、生贄(聖王)を捧げる聖木であたと考えられます。この生贄によって大地の豊饒が保証され、その受難を生きのびた者は特別な智慧や力を手に入れるか、神化されました。また、十字架を運ぶ儀式そのものが宗教的に重要である場合もあります。これはディオニュソスの秘儀に見られる他、キリストの磔刑に関係する伝説にも影響があるようです。〔参照〕 ハングドマン
しかしながら、古代において既にエジプト、ヘブライ、カルタゴ、フェニキア、ペルシア、マケドニア、ギリシア、ローマ帝国などの国々において、磔刑は重罪人に対して用いられるものでした。標準的な手順としてはまず受刑者は鞭打たれ、自らが架けられる事になる十字架を刑場まで運ばされます。実際の磔は縄でくくりつけるか、釘で打ち付けるかですが、縄の場合は十字架の柱を地面に立ててから、横木に両腕を縛りつけられ、滑車で横木ごと釣り上げられます。釘付けされる場合は同様に横木に両手を釘付けしてから柱に釣り上げ、その後両足を柱に釘付けする他、あらかじめ地上ですっかり十字に釘付けしておき、前もって掘っておいた穴に十字架全体を差し込んで立てる方法もあります。なお、手に打つ釘は正確には手首に打たれるもので、これは掌に釘を打つと、腕の重みで手が裂け、腕が自由になるのを防ぐためだそうです。足の場合は、重ねて釘打つ事も、並べての場合もあります。
受刑者は当然激しい苦痛を感じる上、筋肉が極度に収縮し、ことに腕が胸よりも高く固定されるため、呼吸困難となり、ついには窒息死します。
【ガロット】 garrotte
腰掛け式の首締め具です。柱に取り付けられた台に犠牲者が座ると、その首にロープまたは首環が取り付けられ、ねじでこれがだんだん締め付けられて窒息死させられます。鉄の首環が用いられている場合は、窒息させる上に首の骨を折ります。また、鉄の楔や釘のようなものを後ろからだんだんと打ち込んで殺すものもあります。特に後者はスペイン及びその植民地で今世紀まで用いられていたようです。この器具の特徴として、絞首刑や断頭台のようにほとんど一瞬で死に至らしめる事なく、処刑する側の思うがままに苦痛を長引かせる事ができるという点があげられるでしょう。しかも、絞首刑では稀にあるように、縄が切れるなどして受刑者の命が助かる可能性が全くありません。