オーボエの構造


1 円錐管
オーボエの基本構造は円錐形の管(円錐でも管と呼べるか!?)です。この空気柱が 振動します。よく間違うのが、円柱の「開管振動」と勘違いされることで、円錐の振動は その頂点では開管ではありません。

 よって、木管とよばれる楽器をリードと管の形状で分類すると次のようになると思います。


リード管の形 楽器comment
1ダブルリード円錐オーボエ、コーラングレ
ファゴット、コントラファゴット
シャウム、ドルシアン
アジア、中近東方面の多くのダブルリード楽器

2シングルリードサキソフォンのなかま
*1

3ダブルリード円柱クルムホルン、コルナムーゼ
ランケット

4シングルリードクラリネット
シャリュモー

5エアリード
(リード無し)
フルート、ルネサンスフルート
日本の笛(龍笛、篠笛など)

6ダブルリード逆円錐
*2
篳篥(ひちりき)円錐の振動していない?
7エアリード
(リード無し)
トラベルソ
リコーダー
円錐の振動していない

*1 浜松の楽器博物館で、確か円錐形のクラリネット(正式名称不覚)をみました。きっと サックスのような音がするのでしょう。これは2の分類。
*2 トラベルソ、リコーダー、篳篥などは吹く端から先に向って逆に徐々に細くなっているので、 ここでは逆円錐とよびます。円錐の振動モードを使っていないと思われます。

・著者の知識で不明なもの
 シャルマイ

2 構造のデータ
 私の楽器は当ページ開設から1年強の間、ドイツの Moennig(ミョェーニヒ、メーニヒなどと読む?)製のEichentopfモデルのみでしたが、 99年12月にMoeck(メック)製のDenner(デンナー)モデルを入手しました (この年に同社のホームページが出来たのでそこへメールして 直接購入っしたら結構安かったんですよ。現代楽器より身近な楽器っていう感じです)。
[NEW 2000.3.15]
2x Oboe の写真 ここに写真を載せます(JPG 59KB)。茶色がEichentopfモデル、白っぽいのがDennerモデルです。 物差しは裏返しになってしまいました。もしもこの写真から測りたい方はよく見て 計算してくださいね。

それぞれ、リードを製作するためにはボアの計測が役に立ちます。
 内径は、
  図A: Moennig製
  図B: Moeck製
です。だいぶ測定誤差があると思いますが、傾向としては、管の両端でテーパーが異なって おり、正確は円錐でないことがわかります。円錐よりもリード側で余計に細くなっています。 この傾き(テーパー)を表にしますと以下のようになります。
ここでは、テーパーを(直径の変化[mm])/(長さ[cm])と定義して表示しております。

Moennig のテーパ Moeck(Denner) のテーパ
リード側 0.330.41
太い側 0.270.21
このボアがリードのチューブ(ステープル)においても連続していることが必要と思われ ますが、種々実験していると必ずしもそうでないことがわかりました。Moeck製に付属している リードはテーパーが0.3程度でテーパーの変化が連続していません。一方、私の使用している チューブは0.45-0.5程度で連続に近いものですが、故意にテーパーを大きな値に設定しています。

 ところで、オーボエの基本的な構造としては単なる円錐管なので子供の工作レベルの楽器なら 素人にも簡単に製作できます。フルートの次にやさしいと思います。でもリード製作と演奏は 難しい。

3 物理学との対比
 円錐管の振動について、その頂点は理論上特異点となり、その頂点からの長さが所謂管長と なるそうです。 頂点はチューブを細い側に伸ばした先ですから、現実の楽器の場合これは口の中または 喉あたりにくるのでしょう。実際には振動してませんよね。 理論上の頂点の状況は想像も難しくありません。波が一点に集中するのですから粒子速度も 圧力も最大(特異点ならおそらく無限大?)になりますね。

 次に、よく物理的な説明ではリードとボア(楽器本体の内部で空気が振動しているところ) のみが取り上げられますね。現実はもっと細かい部分があるとすると空気柱はリードから逆 側にもつながっています。演奏者の肺-気管支-喉-口腔+鼻腔とつづく空気柱も共鳴しないん でしょうか。 オーボエを吹いていると、口腔の大きさや形で音色がずいぶん変わる気がします。きっと、 筋肉の緊張のみでなく、この部分の共鳴(?)の影響が音色などに微妙に影響を与えていると 思っています。

 本に戻って、円錐管の波面はフルート、クラリネットなど円柱管の場合は平面波ですが、 円錐の場合には頂点から出でくる球面波です。
 しかし、物理学どおりにいかないのが現実の楽器です。2で書いたとおり正確な円錐ではない 上にリードのチューブや接続部分などは円錐から大きく外れています。多くの楽器で 単純でない振動系が出てきますね。例えば有名なのが能管の「のど」ですが、この様に 単純なモデルと異なる点も心に響く音となっているんでしょうね。

 円錐管のため、遇数倍音がでます。だから、リコーダと似た指づかいになるのでしょう。
 円柱のクルムホルンはダブルリードですが偶数倍音がでません。音程と管長から計算すると 閉管振動 をしていることが分かります。そこで基音の次の振動モードは3倍音ということになるの ですが、これは ウィンドゥキャップを使用した楽器ではリードのコントロールが出来ないため非常に難しいこと です。人並み外れた力の持ち主で、12度上(第3倍音)が出せる人もいるそうですが・・・。
また、ランケット(これも円柱管)の場合はリードを直接くわえるため、その調節次第で 12度上の倍音が出せます。ドの指で高いソがでます。中にはバロックランケットといって 円錐らしき形をしたカタログを見たことがあります(Moeck社ホームページ参照)。

:::::reference:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

−吉川茂「ピアノの音色はタッチで変わるかーー楽器の中の物理学ーー」日経サイエンス
ネット上では http://www.nikkei.co.jp/pub/science/page/piano/piano-mokuji.htmlに紹介がある。

クルムホルンホームページ

 以上、楽器の上達に参考となる知識です。


前へ戻る     トップページへ