チューブの不思議(2000.2.14)

 チューブというものは不思議ですね、楽器のようでありリードのようであり、どちらでも 無いようでもあり、・・・ということで、昔の絵から当時のチューブを想像してみましょう。
 その絵とは、ドイツの画家 Johann Joseph Zoffany(Johannes Josephus Zauffaly)(c.1733-1810) による「オーボエ奏者(Oboe Player)」(1780(1770?)年頃)です。これはとてもリアルに描かれた 絵で、顔や手のしわ、衣服の質感など含めて全体が写真のようです。 ネット上ではモノクロの汚い画像がIDRSのBruce Haynesによる記事にでています。 http://www.idrs.org/www.idrs/publications2/journal2/jnl12/j12p18.jpgで見られます。
オーボエの形も非常に正確に描かれていると思います。そこでこのリードを分析してみましょう。 私はCDの表紙(Harmonia Mundi France, HMU307220、Mozart他 Oboe Quartets)を使用しました。 まず、"とても"気になる点を以下にかき出してみました。

(1)ケーンは小さい
 1700年代も後半の絵ですのでバロック時代の楽器より近代に近いとはいえ、非常に小さいケーン のようです。どの位小さいか、サイズを求めてみましょう。
オーボエの指穴の間隔はどの楽器も似た数値(3.0cm)と仮定します。比率からケーンのサイズを 求めてみます。なお、楽器は約30度捻じれた位置で持っているとしました。
推定:長さ1.5cm、先端の幅6mm!!、チューブの長さ23mm
となります。と、すると、チューブの先端はどれほど細いのでしょう。2mm程度かもしれません。 現代のオーボエ程と考えてもよいのではないでしょうか。

(2)チューブは糸が巻かれたまんまではない
 ケーンを縛るために糸の巻かれた部分はそのスジが描かれています。しかしそれと楽器本体との間についても通常は糸が巻かれている資料が多いです。でもこれは樹脂のような状態に見えます。そして暗い青(緑)っぽい色になっています。
これは何でしょう。混ぜ物のある蜜蝋か何かによって、ケーンを取り付けた後からコーティングしてあるようです。
 さて、この目的は何でしょう。空気漏れ対策?、音色向上?、または装飾でしょうか。また、材料は蜜蝋以外に考えられるものは何でしょうか。

(3)チューブの断面は円形に見えない
 樹脂によるコーティングとはいっても通常なら円錐型になるはずです。ところがこのリアルな絵なのに何か平たく見えます。まるで三角錐であるかのようです。

ということで、不思議なチューブの想像をまとめると以下のとおりです。
1 "チューブは円錐ではない。"
 この正確な絵から正直に想像すると、チューブは円錐に見えません。角錐(三角錐か?)であり、またチューブの途中がやや膨れたようにみえます。とても複雑な形ですね。
 とすれば、実験してみる価値がありそうです。そのうちにやってみよう。

2 考えられる反論 "チューブは円錐である。"
 チューブの形が違うなど、常識的ではありません。円錐チューブを正当化するための理由を あげてみました。

以上、1枚の絵を本にした様々な想像でした。如何ですか。誤り等お気づきの方は ご指摘頂ければ幸いです。



前回: オーボエの色(1999.9.25)



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