ベーゼンドルファー物語

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●ウインナートーン、ベーゼンドルファー

音楽の都、ウィーンを代表するピアノメーカーのベーゼンドルファー。ウインナートーンと 表現されるその音は多くのピアノ弾きを魅了しているのではないでしょうか。
決して派手ではありませんが、しっとりと心に問いかけてくるベーゼンドルファーは 内面的なものを大事にするピアニストには大切なパートナーになるような気がします。

bz ベーゼンドルファーの創始者はイグナス・ベーゼンドルファーという人です。 彼はヨーゼフ・ブロッドマンというピアノ職人の下で15年間研鑽を積んで、 1828年にウィーンで操業を開始しています。そして早くも1830年には オーストリア皇帝から「宮廷及び会議所ご用達のピアノ製造者」の称号を与えられています。 ig
当時のベーゼンドルファーは「ウィーン式アクション」でした。現代のピアノは、ほとんど全て突き上げ式といわれる 「イギリス式アクション」です。「ウィーン式アクション」は跳ね上げ式といわれ、その特徴は 軽快さと明るく澄んだ音、歌う音色にあったと言われています。(アクションについては いずれこのHPでも紹介したいな〜と思っています)。

一般にベーゼンドルファーの音はあまり立ち上がりは良くないと言われていますが、 軽快さを特徴としている「ウィーン式アクション」を備えた当時のベーゼンドルファーは どんな音がしたのでしょう。興味ありますね。

さてベーゼンドルファーも当時の一流メーカーと同様に リストへピアノを献呈しています。
1872年にブタペストで演奏しているリストの絵にはベーゼンドルファーの文字が はっきり読み取れます。(ちょっとこの写真ではわかりにくいですけど・・・)

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さて、ベーゼンドルファーは1859年に息子のルードヴィッヒが後を継ぎました。 彼は1900年初頭に生き残りをかけてかなりの変化をベーゼンドルファーに もたらしました。まず1つはアクションを「イギリス式アクション」に変えたことがあげられます。これによって素早い反復や 力強い音色をベーゼンドルファーの音色に加えることに成功したようです。
またスタインウエイの扇状交叉弦も取り入れました。やはりウィーンのメーカーでも こういった大きな世界的な流れを無視してはピアノ製造として生き残っていけなかったのでしょう。 その後1909年に息子のいなかったルードヴィッヒは友人のカール・フッテルストラッサーに 経営を譲ります。しかしどのピアノメーカーにも困難だった、あの2つの世界大戦が起こってしまいます。 ベーゼンドルファーは1946年から47年にかけて、なんと11台しか生産できていません。
戦後1966年にはキンボールグループに所属しながら現在にいたっています。

●ベーゼンドルファーシステム

ベーゼンドルファーには他のメーカーに見られない独特なシステムがいくつかあります。 その中の一部を紹介してみたいと思います。

まずピアノの側板です。普通ピアノの側板は弦の張力を一部ささえるために 強固な材料を使用しています。しかしベーゼンドルファーはピアノ全体を 鳴らすというコンセプトから側板にも響板を同じスプルースという材料を使用しています。
またベーゼンドルファー以外のメーカーは側板をつくるたときに薄いいくつかの板を重ねて それを強い圧力をかけて曲げて、ピアノの形にするという工程をとります。
ベーゼンドルファーは無垢のスプルース材を、切り込みをいれて ピアノの形に曲げていくという、非常に手間がかかる工程をとっています。これによって音色が どうかということは分かりませんが、おそらくベーゼンドルファーの しっとりとした音色に寄与しているのではないでしょうか。

また、側板にそれほど強固な材料を使用していないために、 ピアノの裏にある支柱は井桁状に組み、かなり強固につくってあります。 bz なんとこの支柱にも響板と同じスプルースが使用されています。
ベーゼンドルファーの楽器全体を鳴らそうとするこだわりを感じませんか?

またベーゼンドルファー独自のシステムとしてエクステンドベースが あげられます。これは普通のピアノの88の鍵盤の下に4〜9の弦がはられ、 それぞれ鍵盤があるというものです。これはイタリアのピアニスト兼作曲家である ブゾーニがバッハのオルガン曲を編曲するときに通常のピアノでは だせない低音があったためにルードヴィッヒ・ベーゼンドルファーに相談をもちかけたことに 由来しています。 ig エクステントベースがあるということは、単にその音がだせるというだけでは なく、追加した弦の分だけ響板が広くなり、また共鳴する弦も増えることによって、特に中低音に豊かな響きを もたらしたようです。
しかし中低音が豊かになるということは、バランスを考えないで弾くと 中低音ばかり目だってしまうということが起こります。なのでベーゼンドルファーを弾くときには かなりのバランス感覚が必要となるような気がします。このへんがベーゼンドルファーは難しい楽器だと 一部のピアノ弾きから敬遠される原因かもしれませんね。

ベーゼンドルファーは本当に手間をかけてつくられているため、生産台数が他のメーカーにくらべて 極端にすくないことが知られています。現在ベーゼンドルファーが生産したピアノは45000台ほど だそうです。これはスタインウエイの10分の1、ヤマハにいたっては100分の1ということです。 ベーゼンドルファーに出会う確率が低いわけですね。

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