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ムルティストラーダ620 運用記録
第3回 1000DSとの比較(スペック篇)。
いくら「620が素晴らしい!」と言ったところで、所詮はバイク。
スペックガン無視で語れるモノでもないし、また、スペック面から見た620の良さを改めて考察してみようと思う。
そんな訳で、まず性能諸元表を、1000DSと620で比較できるようにした。
前回、色々オーナーズマニュアルから数値をひっぱり出して乗せているので、今回比較しない項目もある、っつーか多いのは、事前におことわりしておく。

●排気量
まずは、バイクに限らずエンジンがついているモノなら必ず聞かれる排気量。
1000DS:992cc
620:618cc
1000DS基準にすると、620は37.7%少ない。
まあ、排気量の大小はバイクの面白さとは関係ない(大きければ面白くて、小さければつまらない、では絶対にない)ので、あくまで1000DSと620を比較する上でのひとつの基準値と考えてもらえれば良いだろう。 つまり、40%弱、小さなバイクである。 ということ。

●最高出力(馬力)
スペック大好き人間には欠かせない、馬力である。
ちなみに国産リッタースポーツだと、静態で170HP以上、動態(つまり走行風によるラム圧過給が加わると)200HP以上という数字になる。 本来は国際基準に従って、kW表記にすべきだろうが、ぶっちゃけイメージわかないので、ここではHP(PSと同じ)で表記する。
1000DS:84HP
620:61HP
1000DS基準にすると、620は27.4%少ない。
排気量が4割近く減ってる?のに、馬力は3割弱なので、1cc当たりの馬力は620の方が高い、ということになる。
実際、1000DSは最高出力回転数が8000rpmなのに対し、620は8500rpmと500回転(6.3%)高くなっている。
次の項目で、この馬力の差がどこから出てくるのかも、検証してみよう。

●ボアストローク
ピストン径×π×ストローク量×気筒数が、排気量になる。
同じ排気量でも、ピストン径が大きくてストローク量が短くなるほど、高回転馬力型エンジンと言われており、逆にストローク量が長いほどトルク重視であまり回らないエンジンと言われている。 ちなみに、F1やレーシングエンジンは、ボア÷ストロークが2を超える超ショートストロークエンジンだ。
1000DS:94×71.5
620:80×61.5
ボアもストロークも大体15%減となっている。 等しく15%減ということは、エンジンの基本的な特性はそのままに排気量を小さくしていると言える。 前述のボア÷ストロークも両者、1.3とまあ似たり寄ったりだ。
なので、基本的な性格は同じモノと考えられる。
しかし、ここで前述の出力で「620の方が高回転型エンジンである」と記したのと矛盾が生じる。
ここからは憶測でしかないのだが、おそらく、620が高回転型エンジンである最大の理由は「ピストンが軽い」からだと思う。
エンジンが回っている時、ピストンは往復運動を繰り返している(回転運動ではない)。 よってエンジン回転数が一定でも、ピストンの速度は0〜ある値で常に変動しているわけだ(上下死点では0)。 1/2×重量×速度^2=エネルギだから、同じ速度(回転数)でもピストンが軽ければ、動かすのに少ないエネルギですむ=高回転まで回ると言ってよいだろう。 つまり、620のエンジンが高回転まで回る理由は、エンジンのプロフィールではなく、単純に「ピストン(とその周辺部品)の重さが軽いから」と言ってしまって過言ではない。 それは次に比較する、トルクでも現れている。
ちなみに最新電子制御インジェクションで調教された1000DSが9000rpmでレブリミットになるのに対し、10年前以上に作られた小排気量バージョン(当時はまだキャブだ)400ccエンジンが11000rpmまで綺麗に吹け上がるのも、この辺の要素が絡んでいると思っている。

●最大トルク
スペック大好き人間は全く興味を持たないが、実際に頻繁に利用する中低速での出力や出足の速さはトルクに依存する、と言われている。
1000DS:84kW
620:55kW
1000DS基準にすると、620は35%少ない。
これはそのまま排気量の差が如実に現れていると言って良いだろう。

●重量
これもスペック大好き人間には欠かせない要素である。 国産リッタースポーツだと170kgを切るくらいで、ツアラーだと220〜230kgくらいが相場になる(のかな?)
1000DS:200kg
620:183kg
1000DS基準にすると、620は9%軽い。
排気量が4割も減ってて、出力も軒並み3割かそれ以上減ってるのに、重量が10%も軽くなってなくて本当に気持ちよく走るのか?という疑問はもっともだと思う。
だが、実際、良く走るのだ、これが。
ちなみに、1000DSもカテゴリ中では十分に軽い部類に入る。 なんっつったって、DOHCカムとか給排気バルブとか水冷システムとかカウルとか、本来、ツーリングバイクが持ってるべきモノをごっそり削ぎ落としているのだ。 まあ、1000DSの時点で既にトチ狂った用に軽量化されているので、排気量を減らしたところであんまり重量は変わらないのだろう。 そうは言っても、17kgも違うと実際の取り回しは、車格が1回りも2回りも小さく感じられるくらい違うのだ。 っつーか、バイクを降りて押し引きすればその差は歴然、である。
ちなみに、マグホイールだの、軽量マフラーだのを奢ればさらに10kg以上軽くなるのだが、ぶっちゃけ50万以上のコストが掛かるのとサスセッティングを一からやり直しになってしまうので、やる気はない。 今のところは。 50万かけて150kgになるのだったら、真剣に考えるけど。

●総論
そんな訳で、620のキャラクタは1000DSと相似だが、若干高回転なエンジンを積んでいて、そこそこ軽いということになる。
べるが1番惹かれたのは、軽いというところ。
スペック的には、一昔前の400ccスポーツと同じくらいだろう。
厳密には、向こうの方が軽いが、まあツアラーとしてみれば上出来な範囲だと思う。
あとの細かい内容は、実際に乗ってみないと判らない事も多いと思われる。

何度でも言おう。 軽いのは正義である!と。