精神科治療においては、精神科医のみならず、看護師、そのほか作業療法士、精神保健福祉士、臨床心理技術者などのコメディカルスタッフを含む治療者が、チームとして対応必要があります。そのさい、メンバーがそれぞれの役割を分担しながら、治療目標に向かって、協力することになります。
作業療法士
作業療法士 Occupational Therapist (OT) とは、社会復帰の途上にある心精神障害者、身障害者の作業療法を指導・援助する専門的技術者をいう。作業療法、レクリエーション療法の実施に関して計画・立案、指導・援助の役割を担っている。わが国では1965年理学療法士・作業療法士法が成立し、四年制大学、高校卒業後3年間(夜間は4年間)の厚生労働省指定の養成施設を卒業すると国家試験受験資格が与えられます。精神保健福祉士も国家資格でですけど、名称独占資格であるのに対し、作業療法士は業務独占資格となっています。
現在のところ、資格を有する作業療法士の数は多くなり、精神科医療施設や老人福祉施設など様々なフィールドで活躍しています。精神障害者の社会生活機能回復を目的に、陶芸、パソコン、皮細工、手工芸、園芸、木工等の作業を行わせることにより、自発性や、意欲を高める療法です。また、医師の指導ではなく、指示のもとで行われます。集団での作業と、個別訓練の作業もあり、それぞれプログラムが違います。
精神障害の作業療法は精神疾患により生活に障害をもった方々に対し,個別あるいは他の人たちとの関わりや、具体的・現実的な作業活動(遊び、創作的なものから日常生活に関連するものまで)を利用し、精神機能の向上、対人関係能力の改善、作業能力の改善などをはかり、その人にとってのより良い生活が送れるように指導、援助を行います。
作業療法の目的
1.症状安定に向けての援助
活動を通じて気分転換、欲求充足を行い、情動の不安定さや思考、行動のまとまりのなさを調整するとともに、健康な機能を促進します。
2.対人関係の改善
患者の心の葛藤を理解し、治療者との関係をもとに、他者とより良く交流していけるような体験の場を作ります。
3.基本的な日常生活への援助
病気のために不規則になった生活の修正をはかり、必要な生活技術の獲得をめざします。
4.社会生活への援助
主体的な生活をめざし、より良い社会生活が営めるよう援助を行います。作業療法の実際
・馴染みのある、または興味のある簡単な活動を通し、自分の気持ちを表現したり、気分の発散などをはかります。
・道具や材料を扱い、活動したり、作品を作ったりすることで、自分の能力や限界を知ったり、自信をつけたりします。
・治療者個人との関係や共同活動を通した集団での他者との関係において、他者に認められたり、他者を支えたりすることで、集団における所属感を育成したり、自分の存在を確認したりします。
・自分の気持ちの伝え方など、他者との対応の仕方を練習します。
・金銭管理、家事、健康管理などの指導、相談を行います。
・活動を通し、身体を動かしたり、時間を使うことで、生活の維持、改善を行います。
・趣味や余暇活動を育成することで社会性を養います。
・仕事的な作業を通し、作業の遂行能力を評価し、作業習慣、作業耐性を高めます。
・就労に向けての相談、指導を行います。
・家族などに対し、相談、助言、協力依頼などの調整を行います。心理療法技術者や精神保健福祉士が行う、集団精神療法とはことなり(OTRの配置が必要ですが)、独自に作業療法と名称されています。
引用元:現代の精神医学及び精神保健福祉の資料
日本作業療法士協会ホームページより