「何を言うて、はりまや橋!」わが上司Yの口癖である。彼の口癖は他にもいろいろある。
彼の話を聞いてうなづいていると「宇奈月温泉」と言う。他に「解決、解決、怪傑ライオン
丸!」、「オッケリーノ!(←「OK」の意味)」。これらはいわゆるオヤジギャグである。
しかもかなり程度の低いものだ。
はじめのうちは、このような言葉を発する者が身のまわりにいることに驚き、その対処に困
ったものだった。しかし恐ろしいもので、時間が経つとそれにも慣れてしまった。
そして最近ではけっこう笑ってしまうのである。いや、僕の名誉のために言うが、もちろん
そのオヤジギャグが面白くて笑うのではない。そんなことはあり得ないではないか! 僕が
笑うのは、そのような言葉を平気で発するYを嘲り、呆れて笑うのである。
僕が初めて観た黒沢明監督の映画は「夢」であった。それは高校の授業で観(させられ)た。
日本映画界の巨匠の作品ということで、”ものすごくよいもの”を期待して観た。しかしそ
れは(当時の僕にとって)”ものすごくくだらないもの”だった。あまりのくだらなさに、
途中で椅子から転げ落ちて笑ってしまった。
とてもまわりくどい言い方だが、Yのギャグに対する僕の笑いは、この「夢」に対する笑い
と同質のものだと思う。
ところで「夢」を観てから10年近く経ってしまったが、それをいま観るとスバラシイと思
うのだろうか? そして僕がすっかりオヤジになったら、「何を言うて、はりまや橋!」と
言うようになるのだろうか?
仕事をしていると、今夜も背中越しにYの無意味な大声が聞こえてくる。「中国はヒロシー
マ(←「中国は広い」と「中国地方に位置する広島」をかけているらしい)」。
あっ、新ギャグや・・・。
(2001.1.19)