ソーセージ編/Ueber die Wuerste
ドイツから世界へ発信する、偉大な食文化

概論

「ドイツ人ってジャガイモとソーセージしか食べないの?」
と僕に聞いてくる人は結構いるが、日本人が毎日寿司を食べないのと同様に、もちろんそんなことは無い。

しかし、ソーセージが安く気軽に食べれる環境が整っているというのは間違いの無い事実で、その気になれば寿司と違って毎日ソーセージを食べることだって、もちろん可能。

日本農業規格JASでは、ソーセージの直径により、直径20mm未満を「ウィンナーソーセージ」、20mm以上36mm未満を「フランクフルト・ソーセージ」、そして36mm以上を「ボロニア・ソーセージ」と定義しているが、ドイツにおけるソーセージの総称は「Wuerst(ヴュルスト)」。
そして、それぞれ種類の名前は、その発祥となった都市や地方の名前で呼ばれる事が多い
Tueringer(チューリンガー),Nuernberger(ニュルンベルガー),Muenchener(ミュンヒナー),Frankfurter(フランクフルター)といったところが一般的で、これらはおおよそドイツ全土で買うことができる。

Tueringer(チューリンガー)<焼>

ドイツソーセージの基本中の基本。
どこの街に行ってどこのソーセージ屋へ行ってもほぼ存在するソーセージの王様である。
チューリンガー地方は、Erfurt(エアフルト)やJena(イエナ)などを中心とした旧東ドイツの地域で、ドイツのほぼ中心に位置する。
この地域のソーセージがなぜここまで普及したのかは不明だが、当研究所としては、15世紀にその製法が確立されていたことと、ドイツの「ど真ん中」という地理的な環境が原因だろうと仮説を立てている。

基本的には焼いた物をパンに挟んで食べる。
右の写真はサッカー場のソーセージ売り場。片手で食べられるソーセージは、サッカー観戦には欠かせない。焼いても焼いても次から次へと売れていくが、もちろん試合が始まれば誰も買わなくなるので、店員さん達はその調整に注意が必要。

ちなみに、もう片方の手には、プラスティック製ではあるがビールジョッキを持つのが一般的である。

店で食べると、これとは違ってちょっと洒落ている。
しっかりと皿に盛られて出てくると、何だか落ち着かない。

Frankfurter(フランクフルター)<茹>

フランクフルト生まれのソーセージ。
日本語だと直径20mmから36mmのソーセージは全て「フランクフルト」とされてしまうが、ドイツでは長い茹でソーセージの事を指す。

駅の売店や街で見かけるソーセージスタンドにある鉄板の上に、ズラリと並んで焼かれているのはおおよそチューリンガーであるが、よく見るとその近くに縦長の保温ケースが置かれていることがある。
この中に入れられているのがフランクフルターである可能性が高い。

マスタードを付けて、パリッとした皮とジュワーと出てくる肉汁を楽しみながら食べる、「茹でソーセージの王様」。

Nuernberger(ニュルンベルガー)<焼>

フランケン地方の中心都市のひとつニュルンベルク発祥のソーセージ。
中指ほどの大きさで、店で食べる場合は基本的に6〜12本で注文する。

ただしこれはしっかりと着席して食べる店で注文するときの話で、駅構内の売店や、軽食屋(インビス)で買うと、2〜3本がパンに挟まって出されることが多い。
なお、友人達とバーベキューをやる時など、チューリンガーばかりだと飽きてくるので、これを持ってくる人がいると非常に喜ばれる。

ニュルンベルガーは基本的に「焼き」だが、実は変形もある。
それが「Sauer Zipfel(ザウアー・ツィップフェル)」と呼ばれる物。
これは茹でたニュルンベルガーにタマネギとビネガーを掛けた物で、サッパリとしており美味い。

フランケン地方の郷土料理のひとつであり、結構あちこちの村で見かけた。
こういった料理を食べるとインパクトがあり面白い。
ただし、この名称については、色々な呼び方があるので、どこでも通じる訳ではないので、ご注意を!

Muenchener(ミュンヒナー)<茹>

Weissweurst(ヴァイスヴルスト=白ソーセージ)とも呼ばれるように、真っ白なソーセージ。

一応、ミュンヘン名物なのでミュンヒナーと呼ばれる事もある。

このソーセージは製造過程で「燻製」をしていないためか、「足が速い」とされており、基本的には午前中のうちでしか出さないことが多い。

右写真の様に湯に入って出てくるので、これ皿に出し皮を剥き、甘いマスタードを付けて食べるのが一般的。
皮の端っこが切れているので、そこにナイフを当てて縦に動かせば、綺麗に向ける。

なお、最近では真空パック入りの商品が多く出回っているので、午前中でなくても出している店も多い。

Coburger(コーブルガー)<焼>

バンベルクから少し北へ行った所にある街、Coburg(コーブルク)で食べられているソーセージ。
長い「焼きソーセージ」で、炭火で焼いて食べる。

街の中央広場にある屋台がその本場で、ここでは昔ながらの「蛇腹式送風機」が未だに活躍しており、そのパフォーマンスさえもが観光名物になっているほど。

あまり知られていないローカール・ソーセージの一種。

Wiener(ヴィエナー/ウインナー)<茹>

オーストリアの首都ウィーンを名乗るソーセージ。

元をただせばハプスブルクの系列であるし、地理的にも近いのでオーストリアと南ドイツは様々な文化交流がある。

店で注文をすると、写真右上にあるようなパンが付いてくることが多い。人によってはマスタードをパンに付けて食べる人もいる。

一見するとフランクフルトとの違いがよく解らない。
誰か知っていたら、こっそり教えてください。

Curry Wuerst(クリー・ヴルスト=カレー・ソーセージ)

カレーにソーセージが入っている訳でも、ソーセージがカレー味をしている訳でもなく、焼いたソーセージを輪切りにして、その上にケチャップを掛け、さらにカレー粉をまぶした物。
ベルリン名物とされているが、今や全国のソーセージスタンドなどで食べることが出来る。
写真は一般的なタイプのカレー・ヴルスト。
紙皿に載せられてパンが添えられる。

変形タイプがこれ。
僕が住んでいたドルトムントの「Der Tueringer」という店の物。
カレーソーセージにフレンチポテト(「ポメスフリット」と言う)、そしてマヨネーズを添えるスタイル。
注文するときは
「ein Currywuerst und Pommes mit Mayo,Bitte!」
と言うのだが、観光客が少ない場所柄か、注文のオバチャンは発音にかなりシビアで
「Bitte??(え?何??)」
と真顔で聞き返されること数回。
小心者の僕は思わず「え〜と、ポメス一個!(フレンチポテト1個)」
と注文を変更したこともあるのは良い思い出だ(笑)。

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