諏訪の海苔商人 2005年2月
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| 寿司屋で海苔の話になり、海苔には等級が1000くらいあると聞きました。そのときは「うっそ〜!」と思ったのですが、確かにかなり細かい等級分けがされるようです。 また、海苔の品質を鑑定して等級を決める「海苔検査員」という仕事があることを知りました。この海苔検査員は諏訪地方に多く、夏は畑仕事、冬になると海苔生産地へ出向いて海苔の検査をするのだそうです。 どうして山にいる人が海苔を検査するの? そんな疑問がわいて調べてみると、「諏訪乾海苔商団御湯花講」が関わっていることがわかりました。 ところが、この怪しげな名前の集団のことは詳しくわかりません。もしかして知りすぎるとヤバイのかな? |
「海苔の等級」![]()
| 東京湾の海苔漁師であるきんのり丸さんに等級について聞きました。 海苔の等級は各地域漁連共販検査により相違があるそうですが、色、艶、形、手触りで等級がつきます。 その他に重量規定と水分規定があります。 思いつくだけで・・・千葉県の場合は大きくは黒・飛・混・青に分けられ、その各大分類の中で特・上1等級〜6等級・外・外2、その中でA(赤芽)B(曇り)C(汚れ)D(小穴)E(珪藻)、別(曇りのひどいもの)○(穴の大きいもの)ヤ(破れ)、ヤワ(水分の多いもの)、軽・軽軽(規定より軽い)・重(規定より重い)、新(一番摘み)等々。 たとえば黒・D3等は「アオノリが入っていなく色艶ほどほど小穴が開いている」と言う見方です。びっくりするほどに分類されますが、検査等級に対して腑に落ちないことは多々あります。味と香りは等級には反映されていません。上1でもぜんぜん美味しくない海苔もありD2等でも非常に美味しい海苔があります。 確かに等級は細かく分かれていて1000くらいありそうですね。等級が値段に反映するのでしょうが、高い海苔が必ず美味しいとは限らないということですね。 |
| 浦安郷土博物館の企画展「のり、ちば海苔いまむかし」を見てきました。企画展は写真とともに諏訪の検査員の様子が展示されていました。短い時間でしたが、学芸員の方にお話も聞いてきました。 諏訪の検査員は普段は農業、冬になると依頼(漁協から?)のあった各地に出向き海苔の等級決めをします。「この地区から何人来てくれ」というように依頼されるそうです。 検査員はスポーツでいう審判のような存在で、等級決めには権限を持っています。それゆえ海苔の目利きはかなり神経を使う仕事のようですね。一人前の仕事ができるようになるまでには、目利きを試されたり、脅されたり?の苦労があったそうです。 千葉県では今年も各漁協に検査員の方が泊り込みで仕事をされていますが、高齢の検査員にはきつい仕事だということでした。県内でも検査員を育てようと数人の若物が修行中だそうです。 |
「諏訪乾海苔商団御湯花講」
| 宮下章氏の著書「海苔の歴史」(昭和45年11月16日発行:全国海苔問屋協同組合連合会-非売品)を読んで「御湯花講」のことがわかりました。私なりにまとめてみます。 江戸時代、農閑期に信州からは多くの農民が江戸へ出稼ぎに行きました。諏訪地方(中でも今の原村あたり)からは特に海苔問屋に奉公するものが多かったそうです。海苔屋は冬期が稼ぎ時で、産地から海苔を運び売り歩く荷運び人が必要だったのです。諏訪人は寒さに強く、過酷な労働をこなし、真面目に働くので重宝な働き手だったようです。 そのうち諏訪人の中には、海苔の商売を覚え、独立して海苔商売を始める者があらわれました。江戸で商売をするものは「江戸師」、地方へ売り歩くものは「旅師」と呼ばれたそうです。 それでも、諏訪人達は本拠地を諏訪におき、半期は農業、半期は海苔商売をする人がほとんどで、江戸で仕事をする際に同郷同士の交流や組合的なつながりはなかったのです。 諏訪の海苔業者をつなげたのは、諏訪明神信仰でした。出稼ぎに出るときに、人々は諏訪大社(上社)に道中の無事と商売繁盛を祈願しました。その後、海苔商売が発展していき、これもみな諏訪明神のおかげと感謝の気持から、諏訪海苔商人が一致団結してお神楽を奉納することにしたのです。1852年に諏訪大社上社において最初のお神楽を奉納をしました。そして、御湯花講を結成して毎年お神楽を奉納することにしたのです。また、祭礼を行うための資金作りのため、出し合った親金をもとに「無尽(民間金融)」を始めました。御湯花講は盛衰を繰り返しながら現在まで続いており、年1回のお神楽奉納も行われているそうです。 御湯花講の名前の由来ですが、「諏訪明神が故郷の各地に霊湯を湧かせたように、各地の海でのりの花を咲かせて下さった。御湯花こそはのりの種であり、我々の生活を実らせてくれるものだ」との思いからふさわしい名前だということになったようです。 海苔生産者と諏訪人の関係についても信仰のつながりがありました。出稼ぎの際持って出た、諏訪大社の境内にわき出た「御天井の水(霊水)」と「お砂」は海苔生産地にご利益をもたらしたそうです。その水は海苔が不作のヒビに注ぐと良い海苔ができ、砂は荒れる海にまくと波がおさまったというのです。海苔産地では霊水やお砂を持ってくる御湯花講を歓迎したそうです。また、諏訪明神が海の神、産業の神だったこともあり海苔産地にも諏訪明神信仰が行き渡りました。 |
今後の予定
「海苔の売買」
「諏訪海苔商人の活躍」