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| 2004年9/10月選 |
V.A. - San Antonio Blues 1937 (Document DOCD-5232) (1) BIG BOY KNOX: Blue Man Blues (2) Poor Man Blues (3) Eleven Light City Blues (4) Texas Blues (5) TED MAYS & HIS BAND (CLAYTIE POLK, vo): Gee, It Must Be Love (6) Married Man Blues (7) Take It Home To Grandma (8) I Want Some (9) My Cabin Of Dreams (10) You Don't Mean Me No Good (11) SON BECKY: Sourise Blues (12) Sweet Woman Blues (13) Black Heart Blues (14) Midnight Trouble Blues (15) Mistreated Washboad Bleus (16) Cryin' Shame Blues (17) PINETOP BURKS: Shake The Shack (18) Mountain Jack Blues (19) Aggravatin' Mama Blues (20) Jack Of All Trades Blues (21) Fannie Mae Blues (22) Sun Down Blues
ブルース・ファンにとって、圧倒的に「ギターの地」のイメージが強いと思われるテキサスだが、セントルイスと並んで多くの優れたブルース・ピアニストを輩出した地でもある。そして同地のブルース・ピアノを知る上で最適なCDが、2004年1月選で土山氏が挙げた"Texas Piano Vol.2"と同Vol.1である。2枚とも押しも押されもせぬ名盤である。
本CDは、「1937年にテキサス、サン・アントニオで録音されたもの」を集めたコンピというわけで、そのタイトルからは分かりづらいかもしれないが、前述のテキサス・ピアノのコンピを補完する、ピアノ・ファンには重要かつ必携のCDといえる。ここに収録されている4人のうち3人、すなわちテッド・メイズを除くビッグ・ボーイ・ノックス、サン・ベッキー、パイントップ・バークスは、いわゆる「サンタ・フェ・グループ」と言われるテキサス・ピアノの一派を成すピアニストなのである。
ビッグ・ボーイ・ノックスはしわがれた声でつぶやくがごとき歌うスロー・ブルースがしみじみとよい。(1)は滋味あふれる1曲。必聴である。ちなみにリトル・ブラザー・モンゴメリーが"Keep Drinkin'"のタイトルでJOBに録音している。当然ながらそちらも素晴らしい出来。
「サンタ・フェ・グループ」にはラグタイムの影響を強く受け、繊細という形容で言い表されるロバート・クーパー、アンディ・ボーイといったピアニストも含まれるが、ここに収録されているサン・ベッキーとパイントップ・バークスは左手で力強く刻まれるウォーキング・ベースと、同じく力のこもったヴォーカルが特徴で、クーパー、ボーイとは異なる世界を形成している。
さて、本CDの中で異彩を放っているのがテッド・メイズ&ヒズ・バンドで、本盤収録の他の3人がピアノの弾き語りという中、なぜか彼らだけはほとんどジャイヴといっていい内容の演奏となっている。リード・ヴォーカルをとっているクレイティ・ポークという女性以外、メンバーは不明となっているが、その後出たオックスフォードの『BLUES RECORDS』ではすべてのメンバーが明かされている。とは言ってもリーダーでトランペットのテッド・メイズも含めて、聞いたことのない名前ばかりであるが。ただはっきりしたことは、ピアノを弾いていたのがヴォーカルのクレイティ嬢で、なるほど、つまりこれら収録曲は彼女をメインとした「女性ピアノ弾き語り系ジャイヴ」にカテゴライズできる、ということである。彼らの演奏だが、戦前のワイザツさを感じさせるアンサンブルにクレイティ嬢のちょっとガラッパチな歌声がいい具合にからみ、楽しく愉快な雰囲気を作り出している。
というわけで、ジャイヴ・ファンは「ピアノもののコンピか」と敬遠せずに要チェックの1枚である。もちろんピアノ・フリークなら本盤と冒頭の"Texas Piano"の2枚、それにブラック・ボーイ・シャイン(DOCD-5278)を揃えれば、戦前テキサス・ピアノはほぼ完璧となる。もっともフリークなら当然持ってるか。2004.10.31 (山崎正志)
Polyjesters - Ka-Chunk ! (Chateau Valleau Productions CVCD003) (1) Jackson (2) Lookin' For Company (3) Too Much Inc. (4) Thomas Builder (5) Don Of A Family (6) Home Again (7) Fast (8) Queen Of The Honeybees (9) Jeep Song (10) Be What It May (11) I'm Nuts (12) Carnival
9月にも本欄で取り上げたばかりのポリジェスターズだが、個人的にまだその興奮冷めやらぬといった中、何と新譜が出た。現在リニューアル中の彼らのHPから、聞き覚えのある曲だけれど、再録とおぼしきものが流れてくるので、ひょっとして新譜が出るのかなあと思っていたら、そのとおりだった。となれば、これを取り上げるのは私の責務。ということで、早速。
前作はCD-Rでいかにも自家製といった感じの作りだったが、今回は正真正銘CD、デジパック仕様となっている。まず触れなくてはならないのがメンバーに関してで、どうやらグループの核となるベースとウクレレ担当のValleau兄弟を除いてメンバー総入れ替え、新生ポリジェスターズとしての録音となっているようだ。新たに加わったのはフィドルとパーカッションで、曲によっては元メンバー(?)だったテナー・サックスが参加している。しかしスネア・ドラム担当の女性が抜けたのは個人的にはとてもイタい! だが、メンバーは変わっても基本的なサウンド指向に変更はない。いや、より方向性がはっきりしてきたと言うべきか。
彼らの音楽の魅力はジャイヴィなサウンドの中にセンチメンタルな味付けが施されている点にあるが、今作ではその好ましい部分を全面に押し出しており、頼もしささえ感じさせてくれるのである。つまり前作は『コンプリート・コレクション』ということで全作品が収録されていたわけだが、散漫な印象は仕方ないにしても、正直ちょっとキビシイなぁというものもあった。それで今後どの部分が淘汰されていくのかが気になるところであったが、嬉しいことに「キビシイ」と思っていた部分を潔く捨て去っているのである(と思うんだけど)。
冒頭でも触れたとおり収録曲中、(1)(3)(4)(6)(7)(8)(10)の7曲が再演ものとなるのだが、これらすべてが自作中、彼らの個性/魅力を表現するに最もふさわしい曲である、と勝手ながら断定したい。また新曲もすべてこの路線を継承する、これぞ「ポリサウンド」といったもので統一されている。これでジャイヴでジャズでカントリー&フォークというバンド・カラー(笑)がより明確になったということで、実にメデタイ。
今、彼らに迷いというものがない。ますます私はゾッコン状態なのである。難を言えば……、というのは今はあえてやめておこう。2004.10.26 (山崎正志)
Lawrence Brown - Slide Trombone (Verve POJJ-1506) [LP] [Side A] (1) Rose Of The Rio Grande (2) Caravan (3) Down The Street, 'Round The Corner Blues (4) Where Or When (5) Just One Of Those Things [Side B] (1) Ill Wind (2) You Took Advantage Of Me (3) Blues For Duke (4) Just As Though You Were Here (5) Autumn In New York
エリントン・オーケストラの黄金時代を支えたトロンボーン奏者として、トリッキー・サム・ナントンと主席の座を分け合ったローレンス・ブラウンだが、控えめな性格(?)が災いしてかエリントン時代にフィーチュアされたソロというと数えるぐらいしか思い浮かばないのである。しかしながらその数少ないソロ、「リオ・グランデのばら」「アラビアの曹長」「ダッキー・ワッキー」(まだ他にもあるとは思うけど)は、どれも地味ながらウォームなトーンとスウィング感に溢れた、永く記憶に残る名演といえるものだった。ついでに書いておくと、ヴァーヴのデューク・エリントン&ジョニー・ホッジス『サイド・バイ・サイド』の中の"Let's Fall In Love"でもなかなか良いソロをとっているが、いずれにしても彼のソロは「貴重」と言えるほどの少なさである。
で、これがリーダー作となると、さらに心許ない状況となる。かろうじて思い出されるのがインパルス盤『インスパイアード・アヴァンダン』だが、しかしこれがどうにも印象薄い好盤といった感じで、かすみがかかったように善し悪しのはっきりしない盤だった。
そこで今回のヴァーヴ盤(オリジナルはクレフ)の登場となる。この盤に収録された至高のバラード、3曲。A-(4), B-(4)(5)、この3曲にローレンス・ブラウンの神髄がある。ちょっとオーバーか。3曲ともただメロディーをなぞっているだけのソロなのだが、実に泣ける。ブラウンという人は、テクニックよりも歌心勝負の人なのである。
A-(4)のじわじわと押し寄せる感動。たまらんな。途中からサム・テイラーのテナーが「おお、やるじゃないか!」といった感じでからんでくるが、これがまたハマりにハマっている。まあ、サム・テイラー以外の何者でもないといったテイラー節ではあるが。B-(4)はもう涙なくしては聴けない。溢れる哀愁。涙腺の弱い方はハンカチの準備を。B-(5)はご存じ、「ディア・オールド・ストックホルム」と並び、日本人であれば必ず好きという名曲である。しかし、それにしてもB-(4)(5)のこの流れ。も〜泣ける泣ける。「いい歳したおっさんが何だ」と言われようが、泣くぞ!今夜も(笑)。
さて、本盤は以前CD化され一時は出回っていたのだが、現在は廃盤状態のようだ。よって中古盤を探すしかないが、お馴染みデヴィッド・ストーン・マーチンのジャケットといい、、苦労して探すに値する盤だと思う。もちろん、オリジナル盤はそれ相応の値段が付いている。2004.10.8 (山崎正志)
V.A. - Mellow Cats 'N' Kittens (Ace CDCHD-1022) (1) LITTLE WILLIE LITTLEFIELD: Mello Kats (2) BUBBER CYPHERS & HIS ORCHESTRA: Walkin' Boogie (3) THREE BITS OF RHYTHM: Shadrack (4) BUTCH STONE & HIS ORCHESTRA: I Got News For You (5) WILD BILL MOORE: Rock'N'Roll (6) THREE BITS OF RHYTHM: Root Beer Sizzle Sazzle Sizzle (7) JAKE PORTER & HIS ORCHESTRA: Jake's Boogie In D Flat (8) PETER RABBIT TRIO: Hootie Blues (9) JIMMY "T-99" NELSON: Bad Habit Blues (10) HELEN HUMES: Hey Hey Baby (11) DICK LEWIS & HIS ORCHESTRA: Good, Good Wine (12) GENE PHILLIPS: Women, Women, Women (13) JIMMY WITHERSPOON: Don't Ever Move A Woman Into Your House (14) TINY WEBB: What's The Use, Baby (15) BUTCH STONE & HIS ORCHESTRA: Ooh, Look-A-There, Ain't She Pretty (16) BARDU ALI & HIS ORCHESTRA: Boogie Rebob (17) PETER RABBIT TRIO: They Raided The Joint (18) EFFIE SMITH: I Live The Life I Love (19) JAKE PORTER & HIS ORCHESTRA: Safronia (20) THE ROBINS: That's What The Good Book Says (21) SCATMAN: Exactly Like You (22) BUTCH STONE & HIS ORCHESTRA: Baby I Need You (23) HERT FISHER TRIO: People Who Have Money Are Funny (24) BARDU ALI & HIS ORCHESTRA: That Gal Safronia
サブ・タイトルに"Hot R&B And Cool Blues 1946-52"とあるように、モダン・レーベルに残された音源の中から、レアな未発表音源を中心にジャンプ、ジャイヴ、ブルース、R&Bを集めたもの。タイトルだけではその内容が伝わりにくいが、なかなか内容の濃いコンピレイションとなっている。
おなじみといえばリトル・ウィリー・リトルフィールド、ジミー・"T-99"・ネルスン、ヘレン・ヒュームズ、ジーン・フィリップス、ジミー・ウィザースプーン、ロビンズくらいで、あとは単独アルバムを組むほどの吹込みのない一流半から二流どころのマイナー・アーティストを収録。
まずリトル・ウィリー・リトルフィールドの(1)はもろエイモス・ミルバーンの『チキン・シャック・ブギ』をパクッたような乗りのいいジャンプ・ナンバーで、ピアノとサックスの応酬がとてもスリリング。これは『チキン・シャック・ブギ』に似過ぎてるために発売が見送られたとのこと。そんなこと気にせずに発売すりゃよかったのにと無責任にも思ってしまうほど出来は良い。同ナンバーのテイク4が以前、同じエイスから発売された2枚の10インチLPの1枚に収録されていたとのことであるが、そんなこと覚えちゃおりません。久々にKCレーベルのLPとエイスの10インチを聴きなおしてみたくなった。横山剣じゃないけど、ほんと、いいねッ! ジャイヴ系のスリー・ビッツ・オブ・リズムの2曲が、またいいんだな! ナット・コール・トリオ風のジャイヴ・ナンバーでスキャット、コーラスともに決まっている。この2曲は以前ご紹介したコンピ"GREAT JIVE UNITS"(BIG-Q)とは重複していない。スキャットマンはもちろんあのスキャットマン・クローザースのことで、(21)はレオ・ワトスンのシグネイチャー録音を彷彿とさせるような雰囲気もあるにはあるが、ワトスンほどの味わい深さはない。とはいえ、ワトスンのヴォーカルをヤスリで削って少々大味にしたようなワイルドなスキャット・ヴォーカルは体臭むんむんの雰囲気で、これはこれでとても魅力的ではある。ジーン・フィリップスの(12)は、「女、女、女、いつも女、おいらにゃ女がイッパイいるのさ。ダラスにも、テネシーにもおいらの女が...」と自慢たらしく歌う威勢のいいジャンプ・ナンバー。嬉しいのは何と言っても、ギタリスト、タイニー・ウェッブの(14)だ。当然、インストだと思っていたらヴォーカル入りのブルース! Tボーン調のスロー・ブルースで、ウェッブのギターをたっぷり味わうことができる。この人はモダンに少なくともあと2曲は録音があるので、ぜひともCD化してほしいものだ。なお、先頃クラシックスから出されたポーラ・ワトスンのCDでもタイニー・ウェッブのギターを聴くことが出来る。ヘレン・ヒュームズは相変わらず快調なところを聴かせてくれる。バックのピアノとギターはいったい誰なんだろう? ジミー・ウィザースプーンの(13)も歌、バックともに乗りに乗った素晴らしいジャンプ・ナンバー。名前も歌もお初のピーター・ラビット・トリオ、ブッチ・ストーン、バーブ・フィッシャー・トリオ、バッバー・サイファーズといったところも思わぬ収穫であった。
英エイスが作ったこの種のコンピの中でも非常に出来の良いものとなっているが、残念なのは、このレーベルの常で録音データが掲載されていないことだ。やはり、出来る限り録音データは掲載してほしいものである。海賊盤じゃないんだからさ!2004.9.18 (土山和敏)
Tiny Parham's South Side Jazz (RCA "X" LVA-3039) [10"LP] [Side 1] (1) Snake Eyes (2) Head Hunter's Dream (3) Clarice (4) Stuttering Blues
[Side 2] (1) Jogo Rhythm (2) Cuckoo Bleus (3) Sompin' on Down (4) Skag-a-Lag
タイニー・パーハムの名前は現在ではほとんど忘れ去られているけれど、20年代に活況を呈したシカゴ・サウス・サイドのジャズ・シーンにおいては重要なピアニスト、アレンジャー、コンポーザーのひとりであった。彼は自己のバンドも率いて活躍していたが、当時の有能なピアニスト達の例に漏れず、アイダ・コックス、マ・レイニーをはじめ多くのクラシック・ブルース・シンガーのバックも付けている。またジョニー・ドッズとのパラマウント録音はセッションマンとしての重要なキャリアの一つとして数えられるであろう。自己名義の録音はパラマウントを皮切りに、ヴィクター、デッカに残している。中でも充実の録音群はヴィクターで、この時期のバンドメンバーにパンチ・ミラーがいた。熱心な戦前ブルース・ファンにはビッグ・ビル・ブルーンジーのバックを務めたことで知られるコルネット奏者である。
個人的想いで書くと、パーハムはA面3曲目の「クラリス」1曲のみにおいて私の中に存在する。メランコリックなメロディーをパンチ・ミラーのミュート・コルネットが切なげに、やむことなく鳴り響くという曲想。本曲が私にとってのパーハムのすべてなのである。別に他のがダメというわけではない。「クラリス」への想いが強すぎるだけのことである。当時聴いていたのは仏RCAの"Black & White"シリーズのLPだが、この"X"盤は最近たまたま手に入れたところ、ポール・ベイコンのジャケット・デザインが素晴らしかったので、今回取り上げることにした。
パーハムの資質はピアニストとしてよりも、アレンジャー/コンポーザーとしての部分にある。彼のオーケストレーションはエリントンを彷彿とさせるところもあるのだが、今ひとつポピュラリティを得られなかったのはやはり優れたソリストを集められなかったところにあり、そこにパーハムの限界があったのだと思う。それにしても、久しぶりに聴く「クラリス」は当時のまま実にしみじみと響いた。
Tiny Parham's CD
(1) 1926-1929 (Classics 661)
(2) 1929-1940 (Classics 691)
(3) 1928-1930 (Timeless CBC1022)
(4) Tiny Parham & The Blues Singers 1926-1928 (Document DOCD-5341)2004.9.5 (山崎正志)
Polyjesters - Complete Collection (Self-released) (1) King Of The Swingers (2) Boil Them Cabbages Down (3) Jackson (4) Be What It May (5) Fast (6) Queen Of The Honeybees (7) Burger and Fries (8) Home Again (9) Thomas Builder (10) You Should Know (11) Sweet Georgia Brown (12) Somewhere Over The Rainbow (13) Don't Love Nobody (14) Out Of Nowhere (15) It Don't Mean A Thing (16) Indifference (17) I'm Gonna Sit Right Down (18) Dark Eyes "Ochi Tchorni" (19) Fantomen Swing (20) Saint James Infirmary (21) The Log Driver's Waltz (22) After You've Gone (23) I Feel Good (24) Orange Blossom Special (25) Energy Groove
実に嬉しく驚かされた。最初たまたまネットで耳にしたときは、かなり洗練されてはいるもののスピリッツ・オブ・リズム直系とも言えるサウンドに小躍りしてしまった。いるんだなぁ、こういうバンド。それにしても音楽を聴いていてこんなにいい気分になったのは久しぶりだな。
ポリジェスターズはカナダ人のジェイスンとシェルドンのValleau(ヴァリー?)兄弟を中心としたバンドで、ジェイスンがベース&ヴォーカル、シェルドンがバリトン・ウクレレ&ヴォーカル、他のメンバーは現在多少入れ替わっているようだが、スネア・ドラムを担当するオフェリー・ラロッシュ(キュートな女性!)に、テナーのDmitry Shapko、さらにはフィドルが二人という編成のようだ。彼らは今までに2枚のアルバムをリリースしている。いずれも現在入手難のようで、今回紹介する盤(CD-R)がそれら2枚のCDにプラス・アルファを詰め込んだ、タイトルどおりの彼らのコンプリート・コレクションとなっている。
まず(1)が現代によみがえるスピリッツ・オブ・リズムといったサウンド。何かこう激しいやる気を感じさせる曲である。そして軽快なフィドル・チューンの(2)(「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のお遊び入り!)を挟んで(3)(4)がこれまた痛快、しかも一方で柔和さをも併せ持ち、ジャイヴファンの琴線をイヤというほど刺激する。多少フォーク・フレイヴァーも含んでいるが、彼らの音楽すべてに通底するジャズ/ジャイヴ感覚といったものが曲に絶妙な味わいを加えている。続いてメランコリックなメロディーがホロッとさせる(5)、風変わりな雰囲気を持つ(7)、またフォーク色の強い(9)など、どれもがジャイヴ・イディオムに乗っ取ったアレンジ/メロディ展開にセンスを感じさせる。ここまで聴いて、彼らのユーモアと詩情とがうまく絡み合った音楽に「こういう新録を待っていたのだなぁ」と深く確信した次第。
さて彼らの音楽の根幹にはジャズがあるわけだが、(11)(15)(17)(20)(22)といった選曲にその辺りの趣向がよく表れている。(15)はエリントンの「スイングしなけりゃ意味ないね」、(17)はタイトルを省略してあるので分かりづらいかもしれないが「手紙でも書こう」で、いずれも彼ら流のスムースかつセンシティヴな味付けが施されている。また彼らのサウンドの要となるシェルドンのバリトン・ウクレレが、どの曲においても実にうまく効いている。
本盤は彼らの全キャリアということもあって、すべての曲を同じ調子で楽しむのが難しい部分もあれば、正直「これはちょっと」という曲もある。だが、それは彼らのキャリアのワンシーンということであろう。これを読んで興味を持たれた方は彼らのサイトをぜひのぞいてみてほしい。本CDの音がほとんど聴けるし、また音以上に素晴らしいのがTV出演時のビデオクリップで、ライヴならではの楽しさがひしひしと伝わってくる。今後彼らの音楽が十分期待できるものであることが予感できると思う。よし、彼らを日本で初めて紹介したぞ。これが一番嬉しいな。
http://www.polyjesters.com/
http://www.cdbaby.com/cd/polyjesters2004.9.2 (山崎正志)
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