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| 2004年11/12月選 |
Bill Samuels - 1945-1947 (Classics 5112) (1) I Cover The Water-Front (2) Jackey Blues (3) I'm Coming Home To Stay (4) My Bicycle Tillie (5) One Hundred Years From Today (6) Candy Store Jump (7) That Chick's Too Young To Fry (8) I Cover The Waterfront (9) Jockey Blues (10) Port Wine (11) Ghost Of A Chance (12) I'm Falling For You (13) I Surrender, Dear (14) Open The Door Richard! (15) For You (16) My Baby Didn't Even Say Goodbye (17) Lilacs In The Rain (18) I Know What You're Puttin' Down (19) When I Closed My Eyes (20) Where's My Baby (21) If I Had Another Chance (22) One For The Money (23) It's Love Time (24) That Someone Is You (25) Stompin' These Blues (26) Moonglow
ビル・サミュエルズは1911年ミシシッピに生まれ、シカゴで育ったというピアノ弾き語り歌手。解説によると2歳でピアノを始め、10代半ばにしてすでに15人編成のバンドを率いて中西部を回ったという。マーキュリーへの吹込は45年からで、ギターのアダム・ランバート、ベースのシルベスター・ヒックマン、ドラムスのヒラード・ブラウンというメンバーによるCats 'n' Jammer Threeというグループを率いて、47年までに26曲の録音を残した。
初リイシューとなるこのCDには、そのマーキュリー録音全曲が収録されている。スタンダードのバラード・ナンバー(1)は46年にビルボードの「レイス・レコード」チャートで3位まで上がり、ミリオン・セラー・ヒットとなった。マーキュリーから発売されたレコードは、どれも4万枚以上のセールスを上げたというから、同レーベルのドル箱スターのひとりであったようだ。その(1)や(15)のような端正なバラード・ナンバー(これがいちばん多い)から、スロー・ブルース調、そしてヴォーカル・ハーモニーにピアノとギターがスリリングに絡むジャイヴ〜ノヴェルティ調のナンバーまで、期待以上に楽しめる内容となっている。若干バラード調が多すぎる感がなきにしもあらずであるが。間奏のソロだけでなく、バッキングにおいても素晴らしいプレイを聴かせるアダム・ランバートのエレキ・ギターもこのCDの大きな魅力であると言えよう。ナット・コールやビリー・エクスタインのようなバラード歌手が好きな人も、ジャイヴ・ファンも、ギター・ファンも、共に聴いて損はない。なお、47年7月録音の3曲のみ、ラテン音楽ファンにはおなじみのピアニスト、ラム・ラミレス率いるバンドをハックに歌ったもので、トランペットがビル・コールマン、ギターがマンデル・ロウというメンバー。
歌詞の面でちょっと気になったのは、"One For The Money"の歌詞が、"One for the money, two for the show, three to get ready"と、エルヴィスでおなじみのカール・パーキンス作『ブルー・スエード・シューズ』とそっくり同じだということだ。わたしが浅学で知らないだけかもしれないが、この言い回しはというのは常套句なのだろうか?
サミュエルズは60年代にミネアポリスのマイナー・レーベルからLPを出しているそうで、これはぜひ聴いたみたいものだ。2004.12.22 (土山和敏)
Sarah McLawler - 1950-1953 (Classics 5111) (1) My Whole Life Through (2) It's The Truth, So Help Me (3) I Can't Stop Loving You (4) Loves Sweet Love (5) I Gotta Have You (6) I Need You Know (7) Please Try To Love Me (8) I'm Just Another One In Love With You (9) Ready, Willin' And Able (10) Romance In The Dark (11) Your Fool Again (12) I'm Tired Cryin' Over You (13) Foolin' Myself (14) Blues For Rex (15) Red Light (16) You're Gone (17) Yesterdays (18) Body And Soul (19) Somehow
サラ・マクロウラーとはまた渋いところをクラシックスは出してくれたもんだ。ヴォーカリスト、オルガン奏者として知る人ぞ知る存在であろうが、わたしはブランズウィックから出ていたLP"JAZZTIME U.S.A. VOL.2"(Brunswick BL-54001)を何年か前に手に入れて初めて知った。これがまた変なLPで、ジャズのテリー・ギブズ、トニー・スコット、ジョージ・オールド、スタッフ・スミスなどに混じってニューヨークのストリート・ミュージシャン、ムーンドッグの録音3曲が収められており、レコード店で見つけた時、思わず飛び上がりたいほと喜んだのを覚えている。ムーンドッグ目当てで入手したアルバムに運良くマクロウラーが付いて来たわけである。これも何かの縁かしらん。そのLPジャケットの写ったマクロウラーの写真はまるで少女かと思う若々しいものであった。
さて、サラ・マクロウラー初の単独リイシューとなるこのCDには、デビュー吹込となった50年のプレミアム録音からキング録音、そして53年のブランズウィック録音まで19曲が収録されている。(1)を除いてヴォーカルに専念してほとんどバラード調が占める前半も、ときとしてチャールズ・ブラウンの女性版という雰囲気(ひいき目に見て)もなきにしもあらずで悪くはないが、やはりオルガンを弾く後半のほうに軍杯が上がるのは明らかだろう。
オルガンを弾きつつ力一杯歌うジャンプ/ジャイヴ調の(12)、(15)などにわたしはより魅力を感じる。前者はバックのメンバーが不明だが、後者はテナーのジョージ・オールド、ギターのマンデル・ロウ、ドラムスのスペックス・パウエルという有名ジャズメンが伴奏を付けたアップ・テンポのごきげんなナンバー。先のブランズウィックのLPにも収めれていた。最後の4曲は夫でもあったリチャード・オットーのヴァイオリンを含むカルテットの演奏で、とりわけ、ヴァイオリンをフィーチャーしたインスト曲(17)、(18)は絶品と言えるほどに美しい。
ちなみに、彼女はブランズウィックのあと56年から60年までの間にVee Jayで約60曲を録音している。なかでも、ギターにレフティ・ベイツを加えた56年の録音はぜひ聴いてみたいものだ。
ところで(まったく余談であるが)、眉毛の太さが尋常じゃないが、それなりにエキゾティックな雰囲気を醸し出していて、何か妙に親近感を覚える。2004.12.17 (土山和敏)
Earl Hines - Have You Ever Felt That Way? (Frog DGF55) (1) Sweet Ella May -2 (2) Sweet Ella May -3 (3) Everybody Loves My Baby -1 (4) Everybody Loves My Baby -2 (5) Everybody Loves My Baby -3 (6) Good Little, Bad Little You -2 (7) Good Little, Bad Little You -3 (8) Have You Ever Felt That Way? (9) Beau-Koo Jack -1 (10) Beau-Koo Jack -2 (11) Sister Kate -1 (12) Sister Kate -2 (13) Chicago Rhythm -1 (14) Chicago Rhythm -2 (15) Grand Piano Blues (16) Blue Nights (17) Blue Nights -B (18) I Love You Because I Love You -B (19) I Love You Because I Love You -81 (20) Sensational Mood -B (21) Rosetta -C (22) Rosetta -D (23) Why Must We Part? -B (24) Maybe I'm To Blame -B (25) Cavernism -B
英フロッグのレーベル・オーナー、デヴィッド・フレンチ氏が今年10月24日に亡くなった。フロッグというと、以前『ブルース&ソウル・レコーズ』誌にジミー・オブライアントのディスク・レヴューを書いたときに同レーベルのことを「好事家を通り越して孤高という雰囲気すら漂う…」と書いたことがあるのだけれど、世評をまったく気にしていないかのようなそのリリース姿勢は、まさにコレクター・レーベルの鑑であった。とにかく私自身、次は一体何が出るのかと常に楽しみにしていたレーベルだったので、今後どうなるのかとても気に掛かるところである。一応、継続していく方向のようではあるが。
ところでフロッグをはじめタイムレス、ジャズ・オラクル、リトリーヴァル、ヘップ、その他多くのオールド・ジャズの復刻レーベルのリマスター作業にかかわってきたジョン・R・T・デイヴィスだが、彼もまた今年の5月に亡くなっている。R・T・デイヴィスはLP時代(それより前?)よりオールド・ジャズを中心とした多くの復刻作業に携わってきた人物で、自らもリスティックというマニア御用達のようなレーベルを起こし、10"LPがほとんどだと思うが、実にマニアックな盤を出していた。彼の死もまた我々オールド・ジャズ・ファンにとって大きな痛手である。
その両故人の名前がクレジットされているフロッグ最後のCDがアール・ハインズとなった。
ハーレム・ピアノと言われるジェイムス・P・ジョンスン、ウィリー・ザ・ライオン・スミス、ファッツ・ウォーラーらのスタイルは、あくまでもストライド・ピアノという枠の中で影響し合うにとどまったのに対し、アール“ファーザ”ハインズの右手によるシングル・トーンを駆使した「トランペット・スタイル」は、直接的、あるいは間接的にであるにせよ、その後のモダン・ピアニスト達に広く受け継がれている。「ファーザ」の敬称を持つとおり、彼がモダン・ピアノの父と言われるゆえんである。
本CDはハインズが率いていたビッグバンドによる録音集となる。彼は1928年から47年までの間ビッグ・バンドを率いていたが、バンドが頂点に達したのは30年代後半辺りというのが衆目の一致するところであろう。その時代をとらえたLP、39/40年録音を収録したRCAヴィンテージ・シリーズの"The Grand Terrace Band"はハインズのピアノのみならず、素晴らしくスウィングするバンド・サウンドが収められた最高の1枚だった。とは書いたものの、実は私のハインズの愛聴盤というと、28年QRSへのピアノ・ソロ、そして時代は飛んで60年代に入っての"Paris Session" (Odeon)、"Spontaneous Exploration" (Contact)、"Here Comes" (Contact)とソロ〜トリオ編成のもので、ビッグ・バンドのものはほとんど聴かないのであるが。
ちょいと話がそれた。本CDに収録されているのは29〜33年というバンドの最初期にあたるが、既に練り上げられたアレンジを持ち、十分に聴き応えのあるレベルに達している。音源はヴィクター、ブランズウィック。フロッグお得意の別テイクもしつこく並べるといった念の入りようで、最後の最後まで好き者向けというわけである。あっぱれ!2004.12.14 (山崎正志)
Herschell Evans - Selected Air Takes And Recordings (Hunter Music HM204) (1) Dreamland Blues (2) Baby Of Mine (3) King Porter Stomp (4) Swingin' At The daisey Chain (5) Oh Lady Be Good (6) Shout And Fell It (7) One O'Clock Jump (8) Life Goes To A Party (9) Texas Chatter (10) One O'Clock Jump #2 (11) Blue And Sentimental (12) Doggin' Around (13) Shoe Shinners Drag (14) King Porter Stomp #2 (15) Texas Shuffle (16) Nagasaki (17) Doggin' Aroud (18) Wo Ta Ta (19) Swingin' The Blues (20) Blues With Lips
ありそうでなかったのがハーシェル・エヴァンス名義のアルバムではないだろうか。まあもっとも、エヴァンスを聴こうと思えば初期のベイシーのレコードを引っ張り出せばいいわけだが。彼は39年という早い時期に亡くなっているので残されている録音も少なく、加えてもう一人の天才テナー奏者、レスター・ヤングがいたために、その力量とは裏腹にどうしても彼の影に隠れがちである。またレスターが一人のテナーマン、あるいはジャズメンとして語られるように、エヴァンスが単独で取りざたされることはほとんどない。
それにしても、である。カウント・ベイシー率いるオール・アメリカン・リズム・セクションの初期の呼び物がエヴァンスとプレスのテナー・バトルであった。事実、ホーキンス派と言われるエヴァンスと好対照を成すプレスのソロの応酬は、今聴いても古めかしさなどまったく感じさせない。それどころかその圧倒的なサウンドに心は沸き立つばかりである。
と、ここで本CDとなる。これを聴けば最盛期とも言えるベイシーのライヴ音を体感できるというわけである。もちろんエヴァンスのテナーを中心に据えてである。
本盤に収録されている37〜38年のライヴ音源のいくつかはかつてジャズ・アーカイヴスから出ていたLP、"The Count At The Chatterbox"(JA-16)や"At The Famous Door 1938-1939"(JA-41)に収められていたものである。その『チャターボックス』に収録されていた(3)〜(5)は37年、ウィリアム・ペン・ホテルでの演奏をラジオ放送した際の録音なのだが、このホテルはかつて一度も黒人バンドを雇ったことがないという、ピッツバーグ最高のホテルであった。そのためにベイシー・バンドは上品な雰囲気を演出せざるを得なかったわけだが、それでも抑えようとも抑えきれないスウィング魂がじわじわと伝わってくる。圧巻なのが(4)。プレス〜クレイトン〜エヴァンスとソロをとっていくが、プレス!グレート!う〜む、たまらん。いやスマン、今回の主役はハーシェル・エヴァンスであった。実のところ、エヴァンスのソロも相当である。ストレートなメロディラインが生むカッコ良さ。これを聴けばエヴァンスに軍配を上げる方も多いのではないだろうか。もちろん、ソロの中継ぎとして出てくるベイシーの一切の無駄を排したピアノも実に素晴らしい。
ついでにもう少し触れておくと、ベイシー・バンドの名前を確固たるものにしたのが38年、ニューヨークのクラブ、フェイマス・ドアへの出演だった。その放送録音が(14)(16)〜(18)である。まさに絶好調の時代である。
順番が逆になったが最後に(1)と(2)について。(1)はテキサス州サン・アントニオを拠点に活動していたテリトリー・バンド、トロイ・フロイド楽団でのもので29年録音。エヴァンスの最も古い録音となる。一方の(2)はリチャード・M・ジョーンズ絡みのもの。ピアニストのジョーンズだが、華麗なアンサンブルのこの曲を聴けば分かるとおり、バンド・リーダー、作編曲者としてその手腕を発揮した人物である。余談になるが、彼はジャズ史の中では古参の部類に入る人物で、1910年代後半において既にトップ・ピアニストとして活躍していた。その後クラレンス・ウィリアムスの音楽出版社に入社、さらにオーケー・レーベルのディレクターを務めるといった経歴を持つ。
以上であるが、やはり内容としては少々マニアックか。
2004.12.7 (山崎正志)
Betty Hall Jones - The Complete Recordings 1947-1954 (Blues Moon BMCD 6045) (1) That early Morning Boogie (2) Learn To Boogie (3) Fine And Mellow (4) The Same Old Boogie (5) Make Me Know It (6) Why Can't You Love That Way (7) This Joint's Too Hip For Me (8) If I Ever Cry (9) You Got To Have It Takes (10) I Never Miss The Sunshine (11) That's A Man For You (12) Thrill Me (13) Buddy Stay Off That Wine (14) Richmond Blues (15) Way After Hours (16) Goin' Back To Know (17) Frustration Frustraion (18) Poor Spending Daddy (19) Shina No Yoru (20) Love My Love (21) Is Me Handsome (22) How Long Blues
ブルー・ムーンより新譜が届けられた。何と何とその中の1枚が長年待ちに待ったボーカリスト/ピアニストのベティ・ホール・ジョーンズだった。
ベティは、LP時代には仏パテ盤でキャピトル録音が少しまとまって聴けたが、CD時代に入ってからはキャピトル、英エイスのコンピで1曲、また1曲と、前立腺肥大かと思うくらいに小出しな出し方であった。いずれ仏クラシックスかブルー・ムーンのどちらかがやってくれるだろうとは思っていたが、ようやくである。しかしこの両レーベル、実のところ張り合っていたりするんだろうか。もしそうだとしたら、何ともすごい方向性である。
簡単に彼女のキャリアに触れると、30年代後半から40年代初頭にロイ・ミルトンのバンドに加わっていたとあるが、録音は残っていない。初期のレコーディング・キャリアの一つとして挙げられるのがルーク・ジョーンズの46/47年のアトラス録音で、ベティ嬢はピアニストとして参加している。この時の録音はやはりブルー・ムーン盤で聴ける(BMCD 6012)。もちろんルーク名義ではあるが、彼女のピアノも存分に楽しめる1枚である。といったところで本人名義録音、本CDへと入っていく。
(1)はキング・ポーター・オーケストラでのものでインペリアル録音。ギターにジーン・フィリップス。ベティ嬢の弾くブギ・ウギ・ピアノも実に達者なものである。その彼女のピアノ・スタイルだが、立ったままピアノを弾く「スタンダップ・スタイル」(そのまんまのネーミング)なのだそうだ。ディープなジャイヴ・ファンならモーリス・ロッコを思い浮かべるところだろう。見ているこっちの腰がどうにかなりそうな中腰姿勢でのピアノ・プレイである。残念ながらピアノ・プレイ時の写真が載っていない(残っていないのか)ので、その勇姿を拝むことは出来ないが、想像するにキマっていたんだろうな。
(2)〜(5)のアトミック、そして(10)〜(13)のキャピトル録音ではマックスウェル・デイヴィスが絡み、また(6)〜(13)にはギターにタイニー・ウェッブ。ウェッブのギター・ソロがたっぷり聴けるという寸法である。
ベティ嬢はちょっとハスキーがかった声も魅力だが、あまり媚びることのないサラリとした歌い口も非常に好ましい。ブギ・ウギ、ジャンプ、ジャイヴ、ジャジーなナンバーと、ヴォーカルを含めて曲の雰囲気にをうまく演出するサウンド・メイキングも素晴らしく、何回聞いても飽きがこないものとなっている。
残り(15)〜(22)がコンボ録音で、その内の(19)以降は「Gay Bon Lin Trio」というコーラス・グループを従えてのもの。ガール・ポップ・グループみたいな路線であるが、イメチェンを図ったのだろうか。失敗である。ただこの中で驚くのが(19)の「支那の夜」。ミッジ・ウィリアムスばりに日本語と英語のチャンポンである。戦前歌謡曲ファンにとっては珍品となるか。
年内のブルー・ムーンのリリースはないだろうと思っていたところへ少し早めではあるが嬉しいお歳暮だった。同時リリースされた他の2枚、サニー・トンプスンの第4集(!)、ギーチー・スミス/クラウン・プリンス・ウォーターフォードのカップリング盤も地味ながらもなかなかにグッド!2004.11.23 (山崎正志)
Maxine Sullivan - The 1950s (Baldwin Street Music BJH-314) (1) Suprise Party (2) St.Louis Blues (3) Ac-cent-uate The Positive (4) I'll Remember April (5) The Lady Is A Tramp (6) Piper In The Glen (7) Boogie Woogie Maxine (8) Milly Malone (9) If I Had A Ribbon Bow (10) Barbara Allen (11) Turtle Dove (12) Jackie Boy (13) A Brown Bird Singing (14) The Folks Who Live On The Hill (15) I Didn't Know About You (16) Ah, Sweet Myself Of Life (17) Loch Lomond (18) I'm Comin', Virginia (19) Oh, No John (20) When Your Lover Has Gone (21) Wraggle-Taggle Gypsies (22) St.Louis Blues (23) I Didn't Know About You (24) I'm Beginning To See The Light (25) Loch Lomond (26) Just Like A Gypsy (27) A Brow Bird Singing
黒人でありながら黒人らしさを感じさせない洗練された感覚と、シンプルに飾らずサラッとした歌い口。さらには天性のものと言ってもよいスウィング感が自然体そのもので、その何気なさが聴き手をほっとした気分にさせる。これがマキシン・サリヴァンの魅力である。
女性ジャズ・ヴォーカルというと、つばを飛ばし、わめき散らすかのようなスキャットで恐妻家を震え上がらせる者がいるが、脅す気か。実にけしからんのである。マキシンを見よ! スキャットなど一切弄さず、スウィング一発。女性ヴォーカルはかくあるべし、というわけである。
本レーベルからは"The Ruban Bleu Years"という44〜49年録音のコンプリート集が既に出ているが、本盤はその続編ともなる52〜59年録音を集めたもので、ライヴやTV番組出演時の音源をも含む貴重な録音集となっている。
50年代の彼女は一時音楽の世界から引退し、看護婦をしていた時期もあるのだが、本盤を聴く限り、そういったブランクはまるで感じさせない。さすがに大ヒット曲「ロック・ロモンド」を歌っていた37年(26歳)のデビュー当時と比べると声は少々荒れてはいるが、マキシンのちょっと軽くひねる節回しやスウィング感は往時のままで、あの節回しが好きな私としては遜色なしと断言する。
彼女の本領発揮となるのが(8)辺りからで、マキシン・ファンにはお馴染みのバラード・ナンバーが続く。彼女のバラードは甘口ではあるけれど、単にセンチメンタルに陥らずに常にスウィング感を伴っている。ジャズとバラードの絶妙な中庸さ、そこに素晴らしさがあるのである。
ベスト・トラックは(8)(9)(17)(18)(21)。特に(8)(9)はマキシンの元夫でもあるジョン・カービーをはじめ、チャーリー・シェイバーズ、バスター・ベイリー、ラッセル・プロコープ、ビリー・カイルといったカービー・バンドでお馴染みの超の付く一流どころが顔を揃え、過不足ない、趣味の良い歌伴を聴かせる。
ブログの方にも書いたが、マキシンと言えばまず必聴となるのが「ロック・ロモンド」「アイム・カミング・ヴァージニア」「アニー・ローリー」「ブルー・スカイズ」の4曲である。これらはクラシックス盤の第1集、"1937-1938"(Classics 963)に収録されているので、もし彼女に興味を持たれた方はそちらから聴くことをお勧めする。
最後に本レーベル、Baldwin Street Music についてだが、オーナーである日系アメリカ人の小野タカシ氏はマキシン・サリヴァンの熱烈なファンとしても知られ、LP時代に“Tono”というレーベルを興し、やはり素晴らしいLPを出していた。前述の"The Le Ruban Bleu Years"が、そのTono盤の拡大版といった内容。その中に収録されている「スカイラーク」は私のフェイヴァリット。珠玉の逸品である。2004.11.10 (山崎正志)
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