天使の歌声

 


 

 

 

 

ポカリは外を歩いていました。冷たい風が顔を撫でます。

「う〜冬やな〜」

そんな事を呟くが何やらポッカリと心に穴が空いた気持ちでした。

「なんやねん…」

呟いても出るのは溜息だけ、締め付けられる思いだけ。

 

「…シャドーのアホー!!」

叫んでも冷たい風に溶けこんで消えた。雪も降り始めてきた。

 

「初雪やな〜。」

だからあいつと来たかった、それだけが頭の中を巡る。涙が溢れそうなのを堪えていると、

 

「初雪をお前と見るとはな。」

 

「!!」

 

そこにはバイクに腰掛けたシャドーがいた。

あまりにも突然でポカリはあんぐりとしてしまっている。

「何ボーッとしてんだ、行くぞ!」

そう言われてハッと我に帰るポカリ。

「な、なんやねん。うちの事どうでもええんやろ?」すねるポカリにシャドーは溜息をついて近づいた。

「だったら何でここに来る?…ほら。」

パスッと渡されたのはヘルメットだった。

「な…、」

「ほら乗れ…。」

渋々後ろに座り背中から手を回し寄り掛かるとバイクは動き出した。

(あったかい…アホシャドーでも体温あるんやなー)

 

「なぁ…。」

「あ?」

不意に出た言葉を噛み殺し、「何でもあらへん」という、自分で言おうとしたことがとてもバカらしく恥ず

かしいと思ったようだ。

だが、シャドーはバイクの音に合わせて何かを呟いた。

 

「何かゆうたか?」

「いや…暑いって言ったんだ、お前、高温動物だよな。」

「だ、誰が高温動物やねん!!!」

ポカリの声は空高く雪と共に散りました。そしてシャドーが言ったことは、

 

『初雪…お前と見れて良かったよ。』

 

だったりしました。

 

 

 

 

 

 

END