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2章

 

〜前途多難〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピクミンという植物を食べて凶悪な性格になってしまったプリン姫!!そんな彼女を元に戻す事を校長から任せられた(押しつけられた?)フレッシュ達。植物に詳しいステーキという男がルナリア城下町に居ると知り、装備や持ち物などの仕度を整えた一行は今正にその町を目指し森を歩いていた。

 

「なぁー?まだ町に着かへんの?」

疲労のせいでポカリはイライラしていた。ルナリアは栄えた町なので交通手段はいくらでもあった。が交通費が自腹と聞いてフレッシュ達は歩きでルナリアを目指していたのだ。

イライラしていたのはポカリだけじゃない。シャドーはもちろんの事、温厚なフレッシュまでも疲労のせいでイライラしていた。

「うち森歩くのもぅ嫌や〜。」

ポカリはグチり始めた。そんな小言が癇に触るのか、

「うるさい!!」

とシャドーはキツイ口調で言った。だがポカリは止めなかった。

「暑いし、虫ぎょーさんおるし、何よりババ(う○こ)とかしたぁーなったらどないせーちゅうんや?草むらかい!?!青空便所はカンベンや〜。」

と大きな声で独り言を言った。シャドーの苛立ちはマックスになったのかさらにキツイ口調でポカリに言った。

「…おい黙れ!つーか変なこと抜かすな!」

暑さと疲労のせいと旅の資金が自腹とという事を知ってシャドーはかなりイライラしていた。

幸いルナリア城下町はフレッシュ達の故郷と目と鼻のだったのでスムーズに行けば一日で着く距離。スムーズに行けば…、

「なんや!うちはホンマの事ゆうただけや!シャドーかて嫌やろ?ここでババすんの?」と真剣に聞いた。

「…そりゃそーだけど、…じゃなくて。お前さぁ、一応女なんだから少しは恥じらいを持て。まぁ無理だろうけど…。」と冷ややかに言った。その言葉にポカリはムッとして、

「一応ってなんや!?うちみたいな清楚な乙女捕まえて!」 

「寝言を抜かすな!ババとか平気で抜かすお前のどこが清楚だよ?…フン…何が悲しくてお前と旅しなきゃならねーんだ?せめて旅の相手が自分で選べたら良かったな。」とシャドーは嫌みを言った。それを聞いたポカリは下を向き肩を振るわせた。

シャドーは少し言い過ぎたかなと罪悪感を感じた。が、

「…それはうちの台詞や!!このダァアホ!!!!!うちかてな、タッキーや翼の二人に囲まれてムフフン〜♪な旅したいわ!けど現実はこーーーーーーーっんな地味!でもって暗い!シャドーと旅やで!!ムッチャ悲しいわっ!!ホンマ旅の相手が自分で選べたらええな!!そうだったらシャドーなんか即除外やっ!」

とポカリはシャドーをにらんだ。彼は罪悪感を感じた事をすぐに打ち消した。二人にかなり険悪なムードが漂ったどうやらいつもの喧嘩とは少し違うみたい。

「もぉ〜二人とも良い加減にしろよ!」

なんでババごときで喧嘩できるんだろうとフレッシュは思いながら二人に言った。彼等は渋々口論を止めた。

気まずい雰囲気が漂いながらも3人はまた森を歩いた。セミのやかましい歌声と生温い風が苛立ちを倍増させた。そんな沈黙を破ったのは彼女のこの一言だった。

「…アカン…うちババしたぁーなってきた、…なぁフレッシュ町はまだなん?」

と焦りと不安の入り混じった声でフレッシュに尋ねた。

「えっ!?!まっ待って、地図によると『橋』を渡れば着くはずだから!もぅ少し我慢して!」フレッシュはかなり慌てながらポカリに言い聞かせた。ところが…

「…ないやん…そんな橋…。」

とかなり切羽詰まっている為かポカリは厳しい口調で言った。どうやらそうとうトイレが近いよう。でも確かにフレッシュが言う様な橋はどこにもなかった。彼は道を間違えたのかなと思いながら辺りを見回した。すると、

 

 

「…え…?」

 

 

フレッシュはある物を見て立ち止まった。

「…どうした?フレッシュ?」

あるものに呆然と目を止めて立ち尽くしたフレッシュにシャドーが話しかけた。すると、

「ねぇ…これって…。」

彼は呆れた口ぶりでシャドーにあるものを指した。フレッシュが見ていたあるものとは一本の看板だった。シャドーはそれを読んで、ますます苛立ちが募った。看板には、以下の事が書いてあった。

“えー毎度我が社の橋をご利用頂き誠に有り難うございます。そんな旅人に大人気の当社の橋、リニューアルオープン?を致します。それまで徒歩でルナリアを目指すのはどうかご控え願います。えー警告を無視し怪我しても我が社は一切責任を負いません。では橋ができるまで、皆さんグットラック☆Byクイーンローズ社”と。 

 かなりふざけた内容だがちゃんと考えると結構深刻な問題である。橋を使えない。つまり目的地に行けない今から引き返していたら夜になる。夜間活動は極力避けたい。なぜならモンスターの活動時間が夜であるから。だからなるべくはやくここを出なくてはならない。だが知らない道を歩き回るのはもっと危険である。フレッシュとシャドーは困惑した。一体どうすれば…、

 

「あ〜アカン!!もぅ限界に近いや!今ならボットン便器でもええ!!だからどこかに、公衆便所はあらへんの?なんで森はそーゆ気を回さへん!?」とわめいた。

目的地に行けないという問題よりも今はトイレに行く事の方がポカリにはかなり重要らしい。

「…やかましいっ!!我慢出来ないならどこかでしてこいよっ!!」とシャドーは怒鳴った。

今の現状にかなり不安を感じているのだ。フレッシュもかなり不安だった今から引き返してモンスターに遭遇してしまうのは絶対避けたい。フレッシュはモンスターと戦うのが嫌だった。怖いわけではない、ただむやみに誰かを傷つけるのが嫌いなのであった。例え敵であれ何であれできれば話し合いで済むならそれが一番だ。だがモンスターとの意志の疎通はかなり困難なもの、なぜなら大抵のモンスターは理性のない欲望の化身だから…。そんなモンスターに遭遇して二人が怪我してまうのが嫌だった。           

 

 

「そんなん絶対嫌やっ!!」

 

ポカリの声でフレッシュはハッとした。

「ここでなんか絶対せーへん!!つぅーか早く町にいけばええやん!」

フレッシュは一瞬何の話か分からなかった。が二人の話を聞いていくうちになんとなく分かってきた。

「…だから橋がなくて町に行けねーんだよっ!少しは状況を把握しろよ!!」

今の現状に苛立ちを感じているシャドーはポカリにその苛立ちをぶちまけた。

「第一こんな所にトイレがあるわけないだろ?」シャドーは腕を組んだ。

 

「あった…。」

 

ポカリの目が突如輝いた。

「…あるやん!」

「あ?」

シャドーはポカリが目を向ける先に目をやった。すると、そこにはうさんくさい看板が立っていた。

“世界各地のトイレございます。ご利用したい方はどうぞこちらへ。”

と書いており森の奥を示していた。

絶対罠だ。フレッシュとシャドーは思った。だがポカリは…。

「なんやこーんなヘンピな所でも、トイレ設備はしっかりしとるんやな〜しかも世界各地の便所やで〜♪どの国の便所がええかな〜?」と全く疑う様子のないポカリ。

「え?使うの!?!…止めた方が!」

フレッシュは、看板の示す道を行こうとするポカリに言った。が…、

「じゃかましい!うちには、トイレが必要なんや!!しかも世界各地のトイレやで!!やっぱ違いを拝んでおかんと。」と言って森の奥に姿を消していきました。

「ねぇ、…世界各地のトイレなんてあると思う?」フレッシュはシャドーに尋ねた。

「…100%ないだろう…。」 

二人は妙に、落ち着いていた。いや呆れていたと言うべきか?   

「取りあえずポカリの後を行こうか?」フレッシュはシャドーに言った。

「…あぁ…。」

とシャドーは気のない返事をした。内心、イラついていた。明らかにうさんくさい看板についていく彼女の無鉄砲さに。だが…

 

 

「キャアアァァッッ!!!!」

 

突然ポカリの悲鳴が森中に響きわたったこれを聞いた二人はすぐさまポカリが入っていった道に走って行った。彼女はすぐに見つかった。がその場にしゃがみ込み、何かにおびえていた。二人はその何かに目を向けた。すると一匹のマンイーターが立っていた。大きさからするとまだ子供の様だ。だがモンスターである事に変わりはないとシャドーは思い、攻撃体勢を整えた。

 

「―――黒き影と深き闇に告ぐ…」

 

シャドーの手に黒い雷の様なものがバチバチしていた。するとマンイーターの頭上にどす黒い雨雲が集った。攻撃準備は完了した。あとはシャドーがある言葉を放つだけ。フレッシュはそんな光景を見てある異変に気付いた。マンイーターの様子がおかしいまるで何かに、痛がってもがいているよう見えた。だがシャドーはまだ攻撃をしてはいない。

「…黒の、」

「待って!」

シャドーが呪文を言い放つをフレッシュは遮った。

「ごめん、でもこいつ俺らを殺すつもりはない…と思う。」       

「フレッシュ?何を根拠に…?」とシャドーは困惑した。

「俺の勘。シャドー、ポカリを頼むよ。あ!あとこれ預かってて。」とシャドーに剣を預けると無謀にもマンイーターの方に歩み寄った。

「おい!フレッシュ!」

シャドーが呼び止めているのを聞こえないフリして、彼は「怖がんなくていいよ。俺、君と戦う気はないんだ。」

とマンイーターに優しく微笑えみながら近づいた。だかマンイーターは痛みと警戒心のせいで分別が付かなくなっている様。フレッシュを見るなり攻撃体勢を整え、鋭い蔓を彼に向けた。その蔓はフレッシュの細い腕を突き刺した。

 

「…痛っ。」

フレッシュの腕から血が滴り落ちた。

 

「…てめぇ…。」

シャドーはそれを見てマンイーターをにらんだ。彼の怒りはバロメータで計りきれない程だった。幸いなのかシャドーが呼び起こした雨雲はまだマンイーターの頭上に居た。フレッシュには悪いが、彼はフレッシュが怪我をしたのを黙って見て居られなかった…。一方、フレッシュに怪我を負わせたマンイーターは彼の血を見て少し困惑していた。

「君、どっか怪我してんだろう?…痛くて苛立ってるからって暴れちゃダメだよ…。」

フレッシュは腕を押さえながら優しく言った。マンイーターは、少し戸惑いながらも落ち着きを見せた。そしてまた蔓をフレッシュに向けた。だが今度は敵意がないように見えた。その瞬間!マンイーターの頭上から黒い雨が大量に降り注いだ。フレッシュはシャドーの魔法だと分かった。だからすぐさま彼に目を向けて、

「なんで!こいつは悪気があったワケじゃない!何でもかんでも、力で解決するのは良くない!!」

と温厚なフレッシュが声を荒げて言った。彼が放った黒い雨は浴びた物を一瞬で溶かす残忍な雨である。フレッシュはその事を知っていた。だからマンイーターはもう…。シャドーは暫くして口を開いた。

「…僕は、仲間が傷ついているのを黙って見ていられなかった…。」

と静かに言った。フレッシュはそれ以上何も言えなかった。シャドーも気持ちも分かるし何より有り難かったから…。

 

「なぁ〜。」

しゃがみ込んでるポカリが口を挟んだ。

「なんか、様子おかしーで。」

とマンイーターの方を指さした。二人は顔を上げマンイーターを見た。すると…溶けるどころか、まるでシャワーにでも浴びてるかのごとくシャドーの放った黒い雨を鼻歌混じりになお色っぽく浴びていた。

 

「嘘だろう…。」

 

あの魔法をあんな気持ち良く浴びている事がシャドーは信じられなかった。

「なぁ、うちの気のせいやろか?アイツでかくなってへん?」

気のせいではなかった。さっきより一回り大きく元気になったマンイーターは攻撃を仕掛けたシャドーの元に駆け寄った。反撃でもするつもりだ。だが、フレッシュの位置からで二人を守ることはできない。シャドーはさっき放った魔法がかなり強力だった為、もう体力がない。ポカリは攻撃魔法を使えない。やられると思った瞬間、

 

 

「…呆れた。マンイーターに闇魔法を放つなんて。」

 

綺麗な声がした。 

シャドーはゆっくりと目を開いた。すると彼等の前に一人の女性の姿があった。顔まではっきり見えなかったが背が高くスラっとしていた。サラサラの短い銀色の髪。だが両脇だけ長く伸ばし三つ編みに束ねていた。すっきりとした二の腕には鈴の付いた腕輪をし、少々露出度の高い民族衣装に藤色の薄い布を羽織っていた。

 

「一体どっちが闇魔法を放ったのかしら?」

女性はポカリとシャドーを見て言った。  

「こちらの物体Sです。」とポカリはシャドーを差し出した。女性は、

「そう…じゃあこっちに来て。」

と言うとシャドーをマンイーターに近づけた。攻撃体勢ばっちりのマンイーターにさきほど攻撃を放った人間をわざわざ出すなんて絶対に正気では考えられない。シャドーがマンイーターにやられてしまう。

「違います!闇魔法を放ったのは俺です!」

フレッシュはシャドーをかばう為に嘘を付いた。

「というかそいつ魔法なんかこれぽっちも使えないんです!」

フレッシュは少し天然が入っていた。女性はフレッシュの目を見て、

「少年、嘘は良くない。」

と、つぶやき女性はシャドーをマンイーターの前に引っ張り出した。

「ほら…手出して。」

女性はシャドーに言った。

「へ?」

シャドーは何が何だが分からなかった。が言われた通り手を差し出した。するとマンイーターは蔓をそこに置いた。まるで握手をしている様だ。

「ありがとう。あなたのお陰で虫歯が完治したわ。歯医者にいくの怖くてずっと放って置いたら急に痛みだしてイライラしてたの。でねあたち達『闇の植物』だから闇魔法を受けると回復するのだから虫歯も治っちゃった。…だそうよ。」

女性は、マンイーターの言葉が分かるのか淡々と通訳した。フレッシュとポカリはシャドーが食い殺されるかと思っていたからその話を聞いてホッと安堵の表情を浮かべた。いや一番安心したのはシャドー本人だろう。その場に崩れる様に座り込んだ。

 

「あのー…。」

フレッシュは女性に話しかけた。彼女はフレッシュの方に目を向けた。ちゃんと顔が見えてなかったから分からなかったがかなり綺麗な女性だった。フレッシュは少し赤くなりながら、モンスターの言葉が分かるんですか?と尋ねようとした。が、

「なぁ!便所どこ!?世界各地の便所なんてどっこにもあらへんで!」とポカリが女性に迫るかのごとく尋ねた。

「…あれはトラップよ…マンイーターのね。彼等人間の字が書けるからああやって人を誘って食い殺すの。でもこの子は安全よ。というかお返しがしたいそうよ。」とマンイーターを見ながら言った。やはり意志が通じるのはすごい事だとフレッシュは思った。女性はフレッシュを見て、

「それと、あなたさっきはごめんなさいね。イライラしてたの。怪我をさせたおわびと虫歯を完治してくれたお礼に一つだけ恩返しをします。…だって。」

とまた通訳をした。それを聞いてフレッシュはマンイーターがとても可愛く感じた。普段ならそんなのいいよと断る彼だったが、道に迷っていたので、

「じゃあルナリアの行き方を教えてくれる?」と優しく言った。

「お安いご用だって…。」

 

 

こうしてフレッシュ達はマンイーターに道を案内をしてもらう事になった…。女性は通訳をし終えると何も言わずにその場を去ろうとした。それに気付いたフレッシュは、

「あっ、ありがとうごさいます!助けてくれて、」とお礼を言った。

すると女性はフレッシュを見て、

「あなた、いちいち敵に慈悲をかけていたら死ぬわよ?今回はたまたま悪意がなかったから良かったけど。悪い事は言わないわ、命が惜しいなら今すぐ引き返す事ね。」

冷たい瞳だった。フレッシュは何も言えなかった。女性はそう言うと森の奥に消えた。 

「感じワリー…。」

シャドーはつぶやいた。

 

銀髪の謎の女性…。フレッシュはまた近いうちに彼女に会えると思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 TO BE CONTINUED…