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4章

 

〜蟻とヒマラヤと爆弾〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

捜し求めているステーキがフレッシュ達の故郷にいると知り、彼等はたった二日で故郷に舞い戻る事になった。

 

「チッ、…たった二日で帰ってくるとは夢にも思わなかったよ。」

シャドーがぼやいた。ただ行きとは違い、帰りはカントッチョ舞踊団の馬車に乗せて貰えたので明るい内に母国に戻ることができた。

シャランラは初めて見る土地を見渡した。沢山の木々に囲まれた自然溢れる町…。それを見て、

「へぇ、ここがあなた達の故郷、…随分辺鄙ね。」シャランラはサラっと言った。

「アハハ…。」フレッシュは苦笑いをした。まぁ自然があるぐらいで他にこれと言った特徴のないは確かである。

そんな4人の元に一人のヨボヨボなおじいさんがやってきた。

 

「おー!!そこに居るのはヘッレッシュじゃないかぃ!もぅ課題とやらは終わったのか?」とフレッシュを見て言った。どうやら知り合いの様。

「違うよ。ただ人を捜しに戻ったんだ。」

フレッシュはおじいさんの目線に合わせる為にしゃがんで言った。

「あ、そういえばここ最近さ、見かけない人とか怪しいなって思う人見なかった?」と優しく尋ねた。シャドーはこんなジジイの発言なんか当てにならないと腹の中でつぶやいた。だが、

「見たぞぃ!!」とおじいさんが言った。いつになく真剣な目で。そんな彼の様子にフレッシュとシャドーは少し期待をした。   

「どこでみたの?」フレッシュは尋ねた。

「うむ。それは…、」

「それは?」

フレッシュ達は唾を飲んでおじいさんを見つめたすると彼は手を使い何かを示した。皆その手が示す先に目をやった。

「あいつじゃ!」と何かを指した。が、おじいさんが示したのはシャドーだった。その場の全員の目がシャドーに向いた。

「やっぱり…。」

シャランラがため息混じりにつぶやいた。

「やっぱりってなんだよ!」

シャドーは怒鳴った。そして、

「つーかジジイ!寝ぼけた事抜かしてんじゃねぇーよ!」とおじいさんに言った。だがおじいさんは、

「あ〜?聞こえんのぉ〜。」と耳が遠いような仕草をした。シャドーはそんなおじいさんの行動にぶちギレ、

「どうやら楽になりたいようだな。」と胸ぐらをつかんだ。そんな瞬間!

「アホ!なに老人いじめてんねん!?」とポカリがシャドーの背後に立ち、持っていた分厚い本で彼の頭を思いっきしバコンッとぶっ叩いた。

余程痛かったのだろうか?シャドーは頭を抑えその場にしゃがみ込んだ。おじいさんはそんな彼女を見て、

「お〜ポカリ!!いや〜懐かしいのぉ〜何100年ぶりかな?」と…。ポカリは、

「相変わらずやな。じっちゃん。」とおじいさんを見ながら言った。どうやらシャドー以外は何となく覚えている様…。流石のシャランラもそんな彼を見て可哀想に感じた。

彼の肩に手をおき、

「まぁ…見えてるだけ良かったじゃない?」と彼女なりの激励の言葉を送った。が激励の言葉ではなく撃沈の言葉となった。シャランラは人に優しい言葉をかけるのが苦手な様だ…。

「おーそういやフラッシュ。お前さんの所に客が来っとったぞ。」とおじいさんが言った。

「え?客?」

ウチに?一体誰だろう?

 

一瞬ステーキかと思ったが彼が自宅に来る理由がないフレッシュは、

「どんな人?」とおじいさんに尋ねた。彼は答えようとした。が、大きなくしゃみをした。その勢いのせいでおじいさんの入れ歯が飛んだ。

「モガモガ…モガモガガ…、」

何言ってるのかが分からない。

「とっ、とにかく家に行ってみよう!!」

フレッシュは3人に言い早急にフレッシュの自宅に向かう事にした。

 

 

 

 

―――フレッシュは勢い良く自宅のドアを開けた。

 

「ハァ……ハァ…ただいま。」

全速力で走った為にフレッシュは息が上がっていた突然の息子の帰宅にも母親は一切動じず、

「あら?そんなに慌ててどうしたの?フレッシュ?」とかなりのんびりしたテンポの口調で言った。 

キッチンから甘いクッキーの香りがした。そんな香りにポカリは、

「うわぁ〜☆むっちゃ旨そうな匂いやな〜♪」と鼻をクンクンさせて言った。だがフレッシュはある重大な事に気付いた。

「待って、…母さんがこんなに旨そうなクッキーを作れるわけがない!!」

フレッシュの母親はかなり料理が下手だった。だとしたらいったい…。と考えていると、キッチンから何か恐ろしい物がこちらへ近づいてきた。

 

「会いたかったわ♪フレちゃん!」

 

とそいつは言い折れんばかりにフレッシュの隣にいたシャドーを強く抱きしめた。

「なっ、何すんだよ!」

シャドーは必死でもがいた。だがそれは無意味だった。

「もぅ〜こんなに大きくなって。」

と言い彼の顔を手で包み、ある物を近づけた。

「…やめ…ろ…っ!?うっ、うわああぁぁぁ〜!!」

 

ぶちゅううう〜…。

 

悪魔の賛美歌ががオリマー国全体に鳴り響き、シャドーは16年間生きてきた中で最も悲惨な体験をする羽目になった。

フレッシュ達は、何も出来ずただ、その地獄絵図をただ黙って見つめていた…。

「あら?フレちゃん!!どーしたの!!?」

シャドーは白目を向け死体のごとく動かなくなった。

「ヤダ…、硬直するほどそんなに嬉しかったの?もぅ〜本当に可愛いんだから!」

と言い、またシャドーを強く抱きしめた。そんな光景をポカリは半泣き状態にで見ていた。そしてそいつの元に駆け寄り、

「こ、こいつはフレッシュちゃうねん…シャドーゆうねん!フレッシュはあっちや!」とシャドーを奪い取りフレッシュを指差した。

「え?違うの?」

きょとんとしながら白目を向いて半ば死に掛けているシャドーと遠くで青ざめた表情をしながら自分を見ているブロンドのふんわりとした髪の少年と見比べた。

「…え!じゃぁ、あの子がフレちゃん!?ヤダ〜あたし好みに可愛い〜☆そうね…君、綺麗な顔立ちをしてるけどどこか陰気臭くてあんまりタイプじゃなかったのよ〜、良かったわ★」

と言いシャドーの頭をポンポンと叩きフレッシュの方に駆け寄った。そしてフレッシュに危機が迫った、と思われたが、

 

「久しぶりだね…ステーキ。」

シャランラがその間に入り、何とかフレッシュは助かった。

「え?あなたは…まさか…シャラちゃん!?ヤダ〜すっかり大人ぽくなって〜★ますます

あたしに似て美人になったわね♪」

とそいつはシャランラを見て子供のようにはしゃいだ。

「…誰があんたに似てるって?」

シャランラは、肩を振るわせながら心底嫌そうに言った。

「んもぅ〜冗談よ。」

 

さっきのおじいさんが言っていた客とはどうやらステーキの様。でもステーキはうちに何の用だろう?何よりなんで俺の名前を知っているんだろう?とフレッシュは沢山の疑問が浮かんだ。やはりそれを知るには、聞くしかないと結論を出し、

「…あの、なんで俺の家に当たり前のように居るんですか?そもそもどうして俺の名前知ってんいるですか…?」

と口にした。するとその質問に何故かフレッシュのママが代わりに答えた。

 

「えっ?なんでってここは彼の家だもの。」

とミルクティーを飲みながらにこっりと爆弾発言をした。

 

…『へ〜。』で有名な某TV番組でヒマラヤ山脈の頂上から蟻を落としても蟻は死なないということを知った時の数千倍の驚きと、本当かよ?という猜疑心が彼の中で渦巻き、暫く思考が止まった気がした。何も考えられなかった。いや考えたくなかった。母親の爆弾発言を聞いて数十秒間が経過しフレッシュが言えた言葉はこの一言だった。

 

「何…言ってんの?」

 

本当にこの人は何を言っているのだろう?とフレッシュは心底思った。そんな彼女はイスに腰掛けながらまたミルクティーを口に運びそれを飲み干した。ホッと一息付きフレッシュの質問に答えた。

「何って事実よ。だってステーキはあたしの息子だもの♪」

原始爆弾並の威力の発言だった。まるで人間じゃない生き物を家族として加えそれを認めろと要求されているかの様に…。絶対認めたくないフレッシュはすぐに答えがでた。

「な何言ってんだよ?そんなの聞いてないよ!俺に兄弟が居るなんてっ!」

と温厚なフレッシュも流石に怒鳴った。そんな息子を見て彼女は悲しそうに声を張り上げた。

「そんなっ!フレッシュ!!お兄ちゃんの事忘れたの?15年前ママと一緒にスーちゃんを見送った事じゃない!?」

「あの日ね〜、あたし今でも覚えてるわ〜。フレちゃん記憶力ないのね〜。」

ステーキが口を挟んだ。

そんな事したっけとフレッシュは必死で記憶を探っただがいくら探しても出てこない。そしてフレッシュはふとある事に気付いた。

「ねぇ…15年前ってまだ俺生まれてないんだけど…。」

「ちょっと何〜?フレちゃんは胎芽時の記憶もないワケ〜?」

とプリプリしながらステーキが言った。これにはフレッシュも流石にキレた。その証拠に、

「普通は…ねぇよ。」

と普段より口調が荒くなっていた。大人しい子がキレると怖いというのは事実だと死に掛けたシャドーを抱き抱えているポカリと壁に寄り掛かっているシャランラは思った。

「母さん…これはマジ話なワケ?」

フレッシュは肩を振るわせながら母親に聞いた。

「ええ♪マジよ。」とにこっりと微笑んだ。

そんなやりとりを見ていたシャランラは彼の方こそ、よくこんな環境かでマトモに育ったな…と思った。

「ところで、そちらのお嬢さんはどなたかしら?」

とシャランラと初対面の母親は彼女を見て言った。

「…まさかシャーくん(シャドー)?あら〜随分変わったわね〜☆まるで、女の子みたいになっちゃって。」

傍で横たわっているシャドーに気付かずフレッシュのママはにこっりと言った。

「もぅ〜ママ違うわよ!この子はあたしの娘よ〜。」とステーキが口を挟んだ。

「ち、ちょっと!誰があんたの娘よ!」

シャランラは声を張り上げて言った。

「え?娘…?」

彼女はきょとんとした。

「気合い入れて生んだわ♪」

確かにステーキはシャランラの命の恩人兼育ての親というのは事実。だが、生みの親なワケない。というか男なのだから産めるわけがない。

「えっ…て事は、あたしおばあちゃん?ヤダ〜♪」

そんな初歩的な事にも気付かずに彼女は嬉しそうに言った。

「じゃあ今日は、腕によりを掛けてごちそうを作るわね。」と言いキッチンに消えていった。

どうやらステーキとフレッシュが実の兄弟というのは紛れもない事実の様…。そんなショックを隠しきれないフレッシュは、

「…ちょっと出かけてくる…。」

と言って自宅を後にした。

 

「フレッシュ、ホンマに不憫やな。」

「えぇ…。」

とポカリとシャランラは言った。この先一体どうなるんだろうと思いながら…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 TO BE CONTINUED…