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5章

前編

 

〜忍び寄る影〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

校長からの課題を言い渡され成り行き上でステーキというオカマを捜す事になったフレッシュ達。色々あったが何とか彼を見つけた。でもそんなステーキに初チュウを奪われたシャドーはあまりのショックのせいで寝込んでいた。そんな彼をポカリは付きっきりで看病していた。

 

 

 

コンコン…ガチャ。

 

 

「どう?彼?」

 

シャランラが部屋に入ってシャドーの容態をポカリに尋ねた。彼女はシャランラに目を向けた。

「まだ起きへん…。」

ポカリは、シャドーが本当に可哀想だと思いながらステーキに何故か苛立ちを感じた。なんでこう感じるのかがよく分からなかったが…。

「なぁ…ずっとこのままやったらどないしよう…。」

ポカリの声が震えていた。

 

「そうねぇ〜、ならあたしのチュウで起こしてあげよっか?」

 

どこから現れたのか分からなかったがステーキは自分のプルプルの唇を指して言った。

「あっち行けや!んな事したらホンマにシャドー死んでまうわっ!」

とステーキに怒鳴った。ポカリは何故か無性に腹が立った。

「何それ〜ぇ?!失礼な子ね!プンプン。」

ステーキはプゥと頬を膨らませた。そんな光景を壁によりかかりながら見ていたシャランラは咳払いをして二人の視線を自分に向けさせた。

「そろそろ、本題に入りたいんだけどいいかしら?」

「本題?」

ステーキはきょとんとした表情で聞き返した。

「そういや、シャラちゃんは何であたしを捜してたの?…ハッ…まさか…ダメよ。あたし達、親子よ!何より、女の子には興味ないわよ…?」

マジで困っているステーキに、

「あり得ないから安心して。」

と冷ややかな口調で彼女はきっぱりと言い切った。

「あら?じゃあ、何かしら?」

ステーキは空いてるベットに寝っころがり頬杖を付いた。

「…うちの舞踊団のメンバーで行方不明のヤツ等が居る…。演奏の才覚が優れた兄弟で兄は琵琶の弾き手、弟は笛吹きだった。…周りのヤツラは死んだから忘れろとか言ってるけどあたしは忘れる気もないし死んだとも思わない。」

強くはっきりした口調で彼女は言った。

「あら?何で?」

ステーキが口を挟んだシャランラはステーキに目をやり瞳を閉じながら話した。

「…最近、兄の方を見かけたから…。」

「?どうゆう事や!?行方不明のヤツなんじゃあらへんの?」

ポカリは少し分からなくなった。

「…順を追って説明するわ。」

 

彼女は腕を組んで話した。プリン姫の式典に行った仲間…。それから二ヶ月過ぎに再会した仲間の変貌と髪を切り落とされた事…。

(詳しくは番外『理由』をお読み下さい)

 

「まるで操られているようだった…、で昔ステーキが教えてくれたよね?人を操つる作用のある植物があるって…。あたしはあいつが操られているんだと思う。で何か心辺りのある植物があるなら教えて欲しい。それとどうやって治すかも知っているなら教えて欲しいんだけど…、」

シャランラがステーキを捜していた理由を聞いてポカリはシャドーに目をやった。自分がシャランラと同じ様な事をシャドーにされたら自分は彼女の様に行動できるかな…?と思いながら。

 

「シクシク…。」

ステーキはハンカチを出し涙を拭っていた。シャランラの話に心が動かされたのかと思われたが、どうやら違う事に涙を流しているようだ。

「シクシク…シャラちゃんがあたしを捜していた理由は男の為だったんだ…シクシク…、今なら娘が嫁に行くパパの心境が痛いほど分かるわ…。」

とハンカチを目に当てながら言った。

「べっ、別に…ただ仲間として助けたいだけよ。」

シャランラはこういう時でさえ素直になれなかった。

「踊り好きのシャラちゃんが舞台休んでまで捜してる子が…?」

涙を拭きながらステーキが返した。シャランラはなにも言い返せなかった。

「…とにかくその植物の事知ってる?」と冷静を装い彼に尋ねた。

 

「お嬢ちゃんもそんなクチ?」

ステーキはシャランラの質問には答えずポカリに目を向けた。

「うちら?シャランラの様な立派な理由ちゃうで。うちらは学校の課題や。」とシャドーのおでこに当てているタオルを取り替えた。     

「学校の課題?なんだ〜。フレちゃんもあたしに会いに来てくれたんじゃないの〜?」と彼はしかめっ面をした。絶対に個人的にステーキに会いに行く人物なんか居ないだろうとポカリは思った。

「ねぇそれより知ってんの?」

少しきつい口調でシャランラはステーキに聞いた。

「え〜分かんない。」

肩をすくめた。自分の命の恩人である人がここまでふざけたヤツだと知り苛立ちを感じ、シャランラは無言で部屋を後にした。

 

シャランラは気分転換に外でも行こうと思っていた。そこへフレッシュのママがシャランラに話しかけた。

「あらシャーくん。お出かけ?ならこれフレッシュに渡してくれない?」

ママはまだシャランラがシャドーだと思っている様…。そんな彼女が手渡したのはちょっと大きめのバスケットだった。

シャドーと間違えられている事を指摘する気になれないシャランラは、「…分かった。」とつぶやいて、フレッシュの家を出た。

 

「あたしもお散歩しよう♪」

彼女が出た、数分後にステーキも家を出た。

 

 

 

 

 

 

一方フレッシュは、小さい頃よく遊んだ森の大きな木にもたれ膝を抱えていた。

自分の実の兄がオカマだったという事にショックを隠せず疲れきったように溜息をついた。

 

「…フゥ…。」

 

葉から柔らかな日差しが漏れ、鳥の歌声に溢れる心安らぐ。そんな森にいると嫌な事全てが夢や幻の様に感じる、そんな気がした。今日の出来事が夢ならどんなに良いかと心底思った。だがいくら願ってもそれは叶わない、ただの現実逃避なのだ。フレッシュは膝に顔を埋めた。心地よい風がフレッシュの髪を優しく撫でたのが分かった。

 

 

ガサッ。

 

 

茂みから物音がした。フレッシュは何だろうと思いながら顔をあげた。そこにはステーキが居た。無言で彼をにらみすぐに目を逸らした。今、一番見たくない人物だった。

「隣、良いかしら?」

そう言いフレッシュの返答も待たずに彼はちゃっかりと隣に座った。

「ここは変わってないわね〜。」

ステーキは、辺りを見回しながら言った。そんなステーキを見てフレッシュはため息を付いた。

「悪いけど…俺、ステーキさんを兄貴だって思えない。ひどいかもしれないけど、嘘を付いて接する方がもっとひどいと俺は思うから、はっきり言うね…。」と膝を抱えながらフレッシュは自分の気持ちをステーキに告げた耳が痛くなる様な沈黙が鳴り響いた。だが、暫くして、

 

「…いいんじゃないのかしら?それで。」

彼は笑いながら言った。それを聞いてフレッシュは口を開けたまま、ステーキを見た。

「そりゃ〜そうよ今日会ったオカマが兄弟って知って兄貴だと思えるワケがないじゃない!」と愛らしく微笑んだ。

「あたし達には15年間の空白の時間があるんだからさ〜、今はそれを埋めていきましょう♪そしてまずはお友達から始めましょう!」 

と言った。そんな彼にフレッシュはとても驚いた。てっきり『ひっどい〜!?!あたしをお兄ちゃんだと思ってくんないなんて!』という反応が来ると思っていたから。そして、フレッシュは軽く笑った。絶対に兄貴とは認めないが友達なら悪くないかも…と、

「そしてゆくゆくはスタディな関係になりましょうね…キャア!!」とステーキ恥ずかしそうに言ったのを聞いてフレッシュは、さっき思った事をすぐ打ち消した。

 

 

 

 

 

―――「ヤツがフレッシュか…。」

と茂みから怪しげな人物が覗いているのに気付かずに…。

 

 

 

 

 

その頃シャランラはというと…。

 

「めぇ〜。」

フレッシュが居る森とは真逆の所をさまよいなぜかヤギ小屋に居た。

「どこよここ?」

どうやら持ち前の方向音痴を発揮中のようだ。

「めぇ〜。」

 

 

 

 

 

 

―――「あぁ〜お腹空いたわ〜シャラちゃん何やってんのかしら?」

ステーキは空腹のためにプリプリしていた。

「何でシャランラが出てくんの?」

彼女がお弁当を持っている事を知らないフレッシュは尋ねた。

「え?何〜フレちゃんシャラちゃんが来るの気になるの〜!?」とフレッシュの顔をのぞき込んだ。

「えっ…違うよ!というか何でそうなるワケ!?」

顔を赤くしながら、フレッシュは否定した。        

 

 

 

 

 「…フン、下らない。どう考えてもヤツが選ばれた理由が分からない。ヤツより自分の方が優れているはずなのに…。」

木の陰に身を潜めながらフレッシュ達を見下してそいつはつぶやいた。

 

…ベキベキ…。

 

「ん?」

ふと足元をみた。すると、そいつを支えている木の枝がベキベキと嫌な声をあげた。

「…えっ!ちょ、ちょっと待って!」

という言葉掛けを木の枝は聞くわけがない。

 

ベキベキ…バキ。

 

「うわぁぁぁ〜!」

ドサッ。

 

そいつは思いっきり地面に打ち落とされた。

「ん?…なんか今落ちてきたよね…?」

フレッシュは目の前の木に目を向けた。

「え?何かしら?見てなかったわ。でも木から落ちるなんてよっぽどマヌケな動物よ〜。」

ステーキもそこに目を向け笑いながら言った。フレッシュは動物に見えなかったけど…と思ったが口には出さなかった。

 

 

マ、マヌケな動物?…だと!?

 

 

そいつはステーキの言葉に怒りを覚えた。フレッシュはそいつの怒気を感じた。だが下手な行動は避けたい。

「…ステーキさん何か居るよ。気をつけて…。」と小声で伝えた。だが、

「え?居るって目の前のマヌケな動物でしょ?そんなの言わなくても分かるわよ〜。」

 

 

い、一度ならず、二度までも!?

そいつの怒りは頂点に達した。そして黙って居ればいいものを、

 

「貴様!自分を愚弄するとは良い度胸だ!だがそれは最も愚かな行為だ!!」

と二人に杖を向けながら姿を現した。暫く二人は何が起きたのだろうと分からずあっけにとられていた。数分経ちステーキが口を開いた。

「誰?このガキ?フレちゃんのお友達?」

言っている言葉とはうらはらに愛らしい口調でフレッシュに尋ねた。

どう見ても友達には見えないだろう?と彼は思った。でも一体この子は何者何だろう?何に対して怒っているんだろう?そもそも何で木から落ちて来たんだろう?と沢山の疑問を抱いた。

 

両サイドは少し長めのセミロングをした白い髪の小柄な子。愛らしい顔立ちからは少女のように思えるが、その口調からすると少年のようにも感じられる。一体どっちなのだろう?見れば見るほど怪しく謎な子だ。…どう話しかけて良いか分からなかったフレッシュは取りあえず笑顔で、

「…えーと葉っぱ付いてるよ。」と優しく教えた。

「へ?どこ?」とその子は慌てて自分の頭に手をやった。

「あ、違うよ。ここだよ。」と言いフレッシュは白い髪に手をやり葉っぱを取ってあげた。

「あっ、これはかたじけない…じゃない!じ、自分に触るな!自分はお前を倒しに参ったのだ!」と言いバッと後ろに退いた。

 

「俺を…倒す?まさか…。」

嫌な予感をフレッシュの頭をよぎった。忘れていたけど性格が凶悪になった姫を助ける為に冒険をしているんだ。もしかしたらそんな彼女が放った刺角かもしれない…。

「君…もしかしてプリン姫の…、」

戦うのは好きじゃないが戦わざるえない。仕方なくフレッシュはそいつに剣を向けた。

とにかく今はステーキだけでも逃がそうと考えながら、

「自分が姫の救出をしたかったのだ。あの姫を助け出せば一気に有名人&大金持ちになれるからな!」と杖をフレッシュに向けた。

 

「へ?」

フレッシュは目を丸くしながらそいつを見た。あの依頼をやりたいヤツが居るんだと…。

「それを無名の勇者科のヤツが選ばれるなんて!」

「あの…さ、俺達は…、」

フレッシュは困惑しながらそいつに話しかけた。だが、

「だからお前を倒せば自分にそれが回ってくる!故に悪いがここで消えて貰う!」

と小瓶を出し大地に滴を一滴垂らした。するとそこからまばゆい光が放ち何かが出てきた。フレッシュはこれはマジでヤバいと本能で思った。よく分からないが何かとても危険な気がする…。

 

 

「逃げてっ!ステーキさん!!」

 

フレッシュは大声で言った。

 

 

 

ヤギ小屋にいるシャランラもその気を感じた。

 

「何?この感じ…?」

と辺りを見回した。すると反対にある森の一部がまばゆい光を放っている事に気付いた。シャランラはその光のする方に駆け寄った。

 

 

 

 

―――「なんや?さっきからごっつ強い魔力が感じるけど…。」

フレッシュとシャランラとステーキが外出してしまった為に、一人でシャドーに付き添っていたポカリもその魔力を感じ取り窓の外の様子を見た。本当は外に行きたいがシャドーをあのままに任すのは心許ない為彼女は窓から外の様子を見る事で我慢していた。すると、

 

 

「クスクス…とうとう現れましたね…。」

 

 

ポカリの背後から男の声がした。シャドーの声ではない。がどこか聞き覚えのある声だ。

ポカリはバッと、後ろを振り返った。見ればナルシーが壁に、寄り掛かりながら腕を組んでいた。どうやってここに、そしていつの間に入ってきたのだろうか?全くもって分からなかった。

 

「げっ…変態科のカルちゃん…。」

ポカリは思いっきり嫌そうな表情をした。

「…私はランドセルですか?」

と言いながら仮面を外した。美麗な顔があらわになる。

「それより、…そんなに眉をひそめるなんて、つれないですねぇ。それにあなたはいつになったら私を覚えてくれるんですか?」

と突然、真顔になりポカリの方へ歩み寄った。

初めて見るナルシーの真剣な表情に戸惑ったポカリは思わず後ずさった。が、背中に窓が当たりもうこれ以上は下がれない。ナルシーはどんどんポカリの方へ歩み寄り、そして彼女の頬に触れ、

「…私は君を忘れた日なんて一日もなかったのに…。」と耳元で囁いた。

「…ひっ!」

吐息が耳に掛かりポカリは柄にもなく顔が赤くなった。そして何故か胸がチクチクしている事に気付いた。シャドーにこのシーンを見られたくない。どうか目覚まさへんでとギュッと瞳を閉じながら強く願った。そんなポカリを見て、

 

 

「クスクス…冗談ですよ…。」

 

とナルシーはポカリの頭を軽く叩き彼女から離れた。本当に冗談だったのだろうか?ポカリは耳を抑えながら暫く放心状態になった。がすぐ我に戻り、

「な、何すんねん!あ、あんた!第一どっから入ったんや?何しにここにおるんや?」

困惑を隠すために強い口調でナルシーに尋ねた。

「私ですか?昨日から居ましたよ。」

ナルシーはサラリと言った。

「…んなのウソや!」

ポカリはすぐさま反論した。

「…クスクス…ええウソですよ。」

ナルシーは仮面を付けながら言った。ポカリはワケが分からなくなってきた。

「一体何やねん?」と尋ねるポカリに、

「クスクス…物語はやっと始まりました…。」と窓を指した。

何や?とポカリは思い窓の方に向いた。だが特にこれと言ったものはない。

「何もあらへんで。」

怒りながらポカリはナルシーに目をやった。が…彼はどこにも居なかった。扉が少し揺れていた。いつの間に出ていったのだろう?そもそも何しに来たのだろう?とポカリは思った。

 

 

 

 

 

その頃フレッシュはというと…。

 

―――「今ここに姿を示せ。」

と白い髪の子が唱えると地面から今まで見たことのない動物が現れた。黒い毛並みの獅子のような動物。ただ通常の獅子では考えられないほどデカイ。どうやらその子は召喚師の様だ。

 

「ガルルル…。」

召喚獣は、うなり声をあげた。

 

「…ヤツを消せ。」

とその子がつぶやくとその動物は勢い良くフレッシュに飛び掛かってきた。フレッシュはやむをえず戦闘体制になった。

 

「…っくっ!」

フレッシュの苦しそうな声に他愛ないとその子は思った。が、

 

「く…っアハハハ。ちょっと、くすぐったいよ。」

その召喚獣はフレッシュの頬を舐めていた。犬みたいにシッポをブルンブルンに振って。フレッシュはやたらと動物に好かれる子だった。それを見て、

「貴様!何しているっ!!誰が舐めろと言った!?自分の命令が聞けないのか!?ヤツを消せ!殺すんだっ!!」

と怒鳴り小瓶を投げたすると小瓶の中身の液体が召喚獣の顔に掛かった。そのせいかさっきとは打って変って氷の様な冷たい目になり、鋭い爪を出し勢い良く飛び掛かった。だがそれは、

「え…?じじ…自分の方に来るな!う、うっうわぁ〜!!」

白い髪の子は思わず目を閉じた。

 

 

キンッ!!

 

何が固い物同士がぶつかり合う金属音がした。その子はゆっくりと目を開いた。そしてすぐさま自分の目を疑った。

 

 

「君…大丈夫?」

 

まさか、今さっき自分が攻撃を仕掛けた相手が自分のことをかばっている…?

 

「貴様っ!?何を言っている?」

白い髪の子は声を張り上げた。

理解できない。何故、自分を助けるのか分からない。

「そんな事より…君こいつ消してもらえない?」

召喚獣の鋭い爪を剣で抑えながらフレッシュは尋ねた。力強い為長くは保てないからだ。

「えっ?消す?…わ、分かった。…フン…か、簡単な事だ。」

なぜか焦った口調でその子は言った。大丈夫なのだろうか?

「…ケロス!!戻るんだ!もぅ良い!!」

白い髪の子は、黒い毛並みの召喚獣に言った。どうやらケロスという名前らしい。だがケロスは聞く耳を持たない。

どうやらこの子は召喚は出来るが、操る事が出来ないまだまだ未熟な召喚師のよう。それを悟ったフレッシュは覚悟を決めて召喚獣に剣を向けた。

 

「グスッ、なんて頼もしいのフレちゃん…、それなのにあたしはただ見てるだけ…?ううん、あたしにも何か出来ることがあるはず…。」

木の幹に体を潜めながらステーキは何かを決心した。そして…、

「フレ!フレ!フ〜レちゃん!!」

どこからポンポンを出したのかは謎だがステーキはそれを使い一生懸命応援した。

そんな声援を正直ウザイ…、とフレッシュは静かに腹の中でつぶやいた。剣を構えたフレッシュに白い髪の子は、

「おい!こ、殺さないでくれ!こいつは優しいヤツなんだ!」

と必死で言った。フレッシュは始めから殺す気などなかった。ただどうやって気絶させようかと考えていた。相手は召喚獣。と言っても普通の動物と何ら変わりない、痛みも感じるし血も流す。

「分かった。安心して、ケロスを殺したりはしないから。」

とフレッシュは優しく微笑えんで返した。

と言うものの、ケロスは攻撃体制になっている。気絶させるのは困難だ。

「ガルルル…。」

今ごろになってフレッシュを敵として認めたケロスは、彼に攻撃を仕掛けた。フレッシュはバッと退きケロスの攻撃を難なくかわした。さすが、勇者科に在籍しているだけある。軽やかな身のこなしと鋭い動体視力を持っていた。

 

感情で動いてる様だな。攻撃が読みやすい…。とフレッシュは避けながら悟った。

いくら攻撃しても難なくかわすフレッシュに苛立ちを覚えたケロスは次第にこう考えたよう…、近くにいる奴に攻撃しよう…と。

 

「フレちゃん…チョウチョさんみたい。」

と木の陰から見ていたステーキは、フレッシュを見てそうつぶやいた。

 

 

 

 

 

――――「…こっちから強い気がする…。」

ヤギ小屋で怪しい光と気を感じたシャランラはそれらを頼りに森を歩いた。いくら方向音痴の彼女でも気を頼りに歩くだけなら迷う筈はないだろう。

 

 

 

「フレ!フレ!フ〜レ〜ちゃん!!あら?…あそこにいるのはシャラ…ちゃん?やっと来たのね〜♪ママ(?)待ちくたびれたわ〜☆ていぅーかそっちに行っちゃ危ない鴨カモ。」

と木の陰からフレッシュを応援していたステーキは反対側を歩いているシャランラの存在に気付いた。どうやら今度は、迷わないで来れたた様。で来れたのは良いが今度は召喚獣、ケロスの近くに着いてしまったシャランラ。それに気付いたケロスはシャランラに襲いかかった。

 

 

「ケロス!!もぅ戻れ!!」

白い髪の子は金切り声で言ったが、

 

ザシュッ!!

 

血しぶきが辺り一面に飛び散った。それを目の当たりにした白い髪の子は、

「ケロスッ!!!!!」

と喉が裂けるほどに声を張り上げた。フレッシュはすぐにシャランラの方に駆け寄った。

「シャランラ!平気!?」

シャランラは平気だった。どこも、怪我をしていない。つまり辺り一面に飛び散った血とはケロスのものだった。白い髪の子はすぐさまケロスの元に駆け寄った。

でも一体誰が?ケロスの尾の辺りから大量の血が滴り落ちている。傷口を見る限り、剣などによるものではない。まるで見えない矢で貫かれているかの様。

はたとシャランラは何かに気付き、震えながらある方向を見つめた。フレッシュはそんなシャランラに気付くと、自分もシャランラと同じ所に目を向けた。

「…?」

白い髪の子が落ちた木から数本離れた木の枝に一人の人間が立っていた。

ダークブラウンの長い髪を一つに束ねた背の高い鼻に刀傷がある男。

 

「…ケ…イ…、」

 

シャランラは一言つぶやいた。どうやら知り合いらしい。位置的な事を考えると彼がやったと思われるが弓などは持っていない。持っているものと言えば使い古した琵琶。でもそんな楽器で傷を負わす事が出来るだろうか?何よりケロスを射抜いた凶器すら分からないのだから彼がやったとは断定できない。

と思った瞬間!ヤツは琵琶を奏でた。すると地面や木に矢が刺さったかの様な風穴が空いた。フレッシュは確証した。彼がやったんだ。と…。でもシャランラの知り合いが何故そんな事を?彼女を助けようとしたのか?いやだからと言ってもこれはやりすぎだ。何よりヤツの目に光が感じられない。どう見ても尋常じゃないとフレッシュは思った。   

 

「ケイ…。」

 

シャランラは消え入るかのような声でつぶやいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 TO BE CONTINUED…