Hero growth picture diary story

 


 

 

 

6章

前編

 

〜予感〜

 

 

                                                           

 

 

 

 

 

シャドーはドアに手を掛けようとした。ところが玄関先がやたらと騒がしい。

 

「母さん、ポカリは?」

フレッシュの声がする。どうやら戻ってきたよう。シャドーは、気にせずドアノブに手を掛けた。が…、

 

 

 

バンッ!!!!!!

 

 

 

「失礼する!!!」

 

とドアを勢い良く開けクロアは言った。扉はシャドーの顔面にぶち当たった。シャドーは顔を抑えながらその場にうずくまった。余程痛かったのだろう。がそんな彼に一切気にも止めずにクロアは、

 

「お主が回復魔法を使える者か?」

と見た目だけは清楚でいかにも回復魔法を使いそうなポカリを見てクロアは尋ねた。

突然現われたクロアに、なんやこの子?怪しいなぁと思いマジマジと見回したポカリ。すると、

 

「ポカリ?居る?」

フレッシュがひょっことドアから顔を出した。

「あっ、フレッシュ!なんや?この子?って、どないしたん!!??その顔!?」

フレッシュの顔の絆創膏を見てポカリはとても心配そうに聞いた。

「あぁ…ちょっとね…、それよりこの子の友達が大怪我してて、先にそっちを診て欲しいんだ。」

とフレッシュはクロアに目を向けながら言った。

「そりゃ、構へんで。けど誰や?この子?」少し警戒しながらポカリは尋ねた。

「俺達と同じ学校の子だよ。」とフレッシュは優しい口調で言った。

「自分はクロアと申す。早く治してはくれぬか?」

真剣な表情を浮かべるクロアを見てポカリは警戒心を解き、少し困惑しながら返した。

「…分かった、けどその友達っちゅーのはどこにおんねん?」

「うむ…それなら…。」

その質問にクロアが答えようとした。瞬間!クロアの頭をひやっと冷たい手が、がしっ!!とつかんだ。クロアはビクッとしながら後ろを向いた。すると、

 

「…クソガキ、…覚悟は出来てんだろうな…。」と冷ややかな声でシャドーは凄んだ。が、

「なんだ?お前は?陰気臭い顔を近づけるでない、気分が悪くなる。」

シレッとクロアは言い返した。口が悪いなぁとフレッシュは心底思った。クロアの言葉の針はシャドーのパンパンに膨れ上がった堪忍袋に穴を開けた。

「…良い度胸だ。覚悟は出来てるんだろうな…?」

クロアの胸ぐらをつかんでシャドーは言った。

「何だ?お主が死ぬ覚悟か?」と鼻で笑いながらクロアは返した。

「…今の僕は手加減を出来るほど器用じゃない…。」

シャドーの手から黒い雷がバチバチしていた。

「ほぅ…手加減も出来ない素人なのか?」

クロアは嫌みたっぷりに挑発した。その挑発に思いっきり乗ってしまったシャドーはクロアに向け呪文を放とうとした。が、

 

「シャドー!止めっ!!」

ポカリは大声で彼に言った。するとシャドーは放つの止め、

「…フン。」

何か言いたそうにポカリをチラ見し部屋を出ていった。そんな機嫌の悪いシャドーを見てフレッシュは、

「なんかあったの?」とポカリを見た。

「…何でもあらへん…。」小声で返した。そう言った時の彼女の表情はとても寂しそうに感じた。

「で?大怪我の友達はどこにおんねん?」

さっき見たのは幻かな?と思う程ポカリは明るい表情をしフレッシュに聞いた。

「うむ。それはこいつの事じゃ」

クロアが言うと、一匹の黒い毛並みの大きな獅子が突然現れた。ポカリはびっくりした。

がそいつが元気なくぐったりと横たわっているのに気付くと少し冷静になって召還獣の傷を見た。尾の辺りから血がドクドクと流れていた。

 

「こりぁひどいな。」

眉をひそめながら言った。

「早く何とかしてくれ!」

クロアは不安そうな顔で言った。

「安心せぇ。」

と笑いながら言うとおもむろに魔導書を一枚破いた。

 

「天空に守護されし清らかな水よ。汝、言葉を成す…。」

 

破いた紙から暖かく優しい碧い光が発した。流石に呪文を唱えるときは標準語に戻すらしい。

 

「傷つきし者に清らかな水の祝福を、ポカリ!!!」

 

と唱え紙を投げた。するとそれは碧い水となり怪我をし横たわっている召還獣の周りとフレッシュの頬を優しく包んだ。そして…、

 

「平気か?ケロス!!」

クロアはケロスの元に駆け寄った。するとケロスはクロアにスリスリと甘えた。あんなに痛い痛しかった怪我はどこにもない。さすが白魔導師科の生徒である。そんな彼女を見てフレッシュは、

 

 

『ポカリ』ってそういや回復魔法の名前なんだよなぁ…でポカリの本名はアクエリアス…だったっけ?間際らしいからいつの間にかポカリになったんだよな…。と彼女のあだ名の由来を思い出していた。

 

 

「かたじけない。そなたのお陰で助かった。ありがとう。」

クロアは微笑んでポカリにお礼を言った。やっぱり子供だ。笑うと愛らしさが滲み出てくる。その反面、更に性別がどっちなのか分からなく感じた。

「ええ、ええ、構へんで。」

ポカリはクロアの頭を軽く叩きながら言った。『ポカリ』はケロスの怪我だけでなく、フレッシュの顔の切り傷も綺麗に癒やした。そんな回復魔法をしてくれたポカリに「ありがとうな。」とフレッシュもお礼を言った。が、

「何があったん…?」

ポカリはギロとにらんだ。

「え?」

フレッシュは少したじろんだ。シャドーも機嫌が悪かったけどポカリの方がもっと機嫌が悪そうでピリピリしている。また喧嘩でもしたんだろうとフレッシュは察知した。

「…何があったって聞かれても…、」

少し口ごもった。自分自身何が起きたのかよく分からないからだ。

「゛何もない゛は通用せぇへんで!フレッシュがおらん間なぁ、うちは!…うち…、」

また顔が赤くなったポカリ。何かを思い出しクルと背を向けたようだ。何が言いたかったんだろう?とフレッシュは思った。

そんな中シャランラを抱き抱えたステーキが入ってきた。気を失っているシャランラを見てポカリの顔からの赤みはサーと引いてまた心配そうな表情を浮かべた。

「何があったん!?」

ポカリはステーキとフレッシュに聞いた。

「それが…、」

フレッシュはさっき起きたことをありのままポカリに伝えた。ナルシーに言われたあの言

葉以外を…。

 

「襲われた?なんでその男はフレッシュ達を?でその男はやっつけたんか??どんな男や?」

 

聞きたい事がありすぎてポカリは一気に質問した。すると、

「ちょっとぉ〜?いっぺんに質問しないでちょうだい。」

ステーキは気を失っているシャランラをベットに横たわせながらプリプリした様子で答えた。

「ステーキさん、シャランラの方は?」

フレッシュは真顔で聞いた。

「フレちゃん…それが…、」

ステーキは悲しげな表情を浮かべながら言った。

何だろう?そんなにシャランラの容態は悪いのだろうか?フレッシュは心配になった。が、

 

 

「それが兄弟の会話なのぉ〜!?!」

 

 

ハンカチで涙を拭いながらステーキは言った。

「そっちかよ…。」

フレッシュは呆れた顔でつぶやいた。

「つーか…さっき思えなくてもいいって言ってなかったっけ?」

フレッシュがけだるそうに尋ねると、

「そーだけど、やっぱり他人行儀なのはイヤなの!!」

首を横に振りながら彼は言った。

 

「う…ん、」

 

あまりのやかましさにシャランラは気が付いた。

「あら!シャラちゃん〜おはよう〜♪」

さっきまでの涙はどこへ行ったのか?ステーキは満面の笑みでシャランラに言った。彼女はいまいち状況が把握できないらしく、ベットに横たわったまま少し呆然としていた。そんな彼女に、

「シャランラ、気分どう?」

フレッシュは優しく聞いた。彼女はフレッシュを見つめながら、

「…ねぇ…さっきの人は?」と尋ねた。

「…その人なら突然苦しみだして…どこかに…。」

フレッシュはゆっくりと話した。シャランラは真剣に話を聞いた。

「…そっか…やっぱ…夢じゃないんだ…。」

腕で顔を隠しながらシャランラはつぶやいた。

「…シャランラはあの人と…知り合い…なの?」

フレッシュは、気まずそうに聞いた。

「…知らない…。…あたしの知らない人になっちゃった…。」

悲しげにつぶやいた。そんな表情を浮かべる彼女を見てフレッシュは何故が胸がズキッと痛んだ。

「まぁ…今はゆっくり休んでシャラちゃん。」

ステーキはなだめるような口調で優しく言った。

「そやうちらリビングにおるからゆっくり休みや。」

よく話が把握できないポカリだったがシャランラの事を気遣って皆をリビングに促した。

 

「…ありがとう…。」

消え入るかのような笑みを浮かべてシャランラは返した。フレッシュはそんな彼女を心配そうに横目で見ながらも部屋を出た。

「クゥーン…?」

ケロスも心配なのか彼女が横たわるベットに顔を乗せた。

「あんたも心配してくれてんの?優しいんだね。」ケロスの鼻を撫でながら言った。

「…ケロスの言葉が分かるのか?」クロアは目を丸くさせた。

「うん、なんとなく…。」元気のないシャランラを見て、

「そうか…ケロス戻れ。」 

今度はちゃんと操れケロスはスーと消えた。

「今はゆっくり休め。元気になったらケロスを撫でさせてやろう。」

と言い部屋を出ようとした。が段差につまづき床に鼻を打ち付けた。クロアはすぐに体

を起こし耳を真っ赤にしながらも平然を装って部屋を出た。

そんなクロアの姿を見てシャランラはクスッと笑った。心がフッと軽くなった感じがした。それと同時に気遣ってくれる仲間の優しさに彼女は心から感謝した。

 

 

 

 

 

 

 

―――その頃シャドーは散歩と言っておきながら自宅に戻っていた。

とは言ってもそこは彼の実家ではない。シャドーの師匠兼保護者のブラッドという男の家である。シャドーは幼児期の頃親元を離れその男に育てられたのだった。

 

シャドーは正直あまりここには帰りくなかった。それは別にブラッドが嫌いだからというわけではなく、ただ少し?変わり者である師にホトホト呆れていたから。

 

 

「…一体何を考えてるんだ…。」

 

ドアに張ってある紙を呆れた表情で見ながら彼はつぶやいた。

その紙に書き記された内容は以下のものであった。

 

 

[愛しい俺の愛弟子のシャドーへ、ちょっと仕事の都合で暫く留守にするぜ。え?寂しい?シャドーはやっぱ、可愛いな。大丈夫!俺も寂しいから!あ、おやつは戸棚にプリンがあるからプッチンして召し上がれ☆ちなみに賞味期限は××日までだから☆あと泥棒さんが来た時の為にと思いドアに釘を打っておきました。これならどんな泥棒でも入れないだろう?じゃあまたな。素敵な師匠より×××]

 

 

シャドーは張ってある紙を勢い良く剥がし、ぐしゃっと丸めた。これでは自分も入れない事に気付かないアホな師匠に彼のイライラは更に降り積もった。

 

 

「ふぅ…何だ…ブラさんはお留守ですか?折角遊びに来たのに。」

 

 

シャドーの隣から、聞き覚えのある声がしたシャドーはバッと見た。隣に居たのはやはりナル

シーであった。

「おや?誰かと思えばシャドー君ではないですか?」

不気味な仮面をつけながら彼はシャドーを見てわざとらしく驚いた。イライラの原因を目の当たりにしたシャドーはかなり険しい目をしてナルシーをにらんだ。

「クスクス…どうしたんですか?そんなおっかない顔をして…。」

彼はわざとらしく言った。

「別に…つぅーかあいつの事知ってんのかよ?」

師匠をあいつ呼ばわりする時点で尊敬してないことが伺える。

「…クスクス知りたいんですか…?」

言い方がムカついたからシャドーは「別に…。」とつれない返事をした。それよりポカリとの

事の方が聞きたかった。がそんな事口が裂けても言いたくなかった為彼は平然を装ってそこから去ろうとしたところが、

「キス…。」

ナルシーが突然つぶやいたそれを聞いたシャドーはピタっと足を止め、

「キ…スがどうしたんだよ?」と振り返りながら返した。動揺しているのがバレバレであ

る。そんなシャドーの様子を見抜いたのかナルシーはクスっと笑った。

「いえ…ただキスしたのに君は意外と冷静なんだなぁ…っと思って…。」いたずらな言い方で聞いた。

こいつ挑発してんのか?とシャドーは思いムッとした。

「何がだよ?別にあいつが誰としようと僕には関係ないね。」

冷やかな口調でナルシーに言った彼はまたクスっと笑った。

「何抜かしてんですか?私が言ったのは君の事です。」

とても楽しそうな口調でナルシーは言った。

 

 

「へ?」

 

 

シャドーは少し戸惑った。

「クス…スーさんとの事です。初めてだったんでしょ?意外に落ち着いている様子から見て案外そっちの気がある様ですね…クスクス…。」

「んなワケあるか!!」

シャドーは力いっぱい否定した。折角忘れていた悪夢を掘り起こされたシャドーの顔色は言葉では言い表せない程の汚い色になった。それと同時にある事に気付いた。

「…何であんたがその事を知ってんだよ?」

確かにその時ナルシーは居なかったはず。

「クスクス…情報屋の私に知らない事なんかありません…。」

不気味な口調で述べた。嘘くさいとシャドーは瞬時に思った。が、

「へぇ…、なら僕達が探している植物がどこにあるか分かるのかよ?」

からかわれた仕返しにシャドーは嫌みたっっっぷりに返した。

「もちろん。知りません。」自信たっぷりにナルシーは言った。

 

なんなんだこいつは?とシャドーは呆れた。するとナルシーはまた笑い、

「…そうですね…ヒントぐらいなら差し上げましょうか…。」と意味深な事を口走った。

「あ?」

シャドーは思わずナルシーに目を向けた。

「…クス…ヒントとは…、」

ナルシーはとても不気味な口調で話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 TO BE CONTINUED…