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8章

前編

 

〜あしからず〜

 

 

 

 

 

 

 

 

長い長い一日が明けて眩しい朝が訪れた。

 

カーテンから漏れる日差しと小鳥の囀りでフレッシュは目を覚ました。

ベッドのうえで体を伸ばし時計に目をやると針は正午になろうとしている。…そろそろ起きるかと思いながら身仕度を整え、洗面所に向った。

 

 

 

バシャバシャ

 

フレッシュが洗顔をしていると、背後から誰かの鋭い視線がするのを感じた。

フレッシュはそれが気になり水に濡れたままの顔で振り向いた。

すると、そこにはクロアが物言いたそうな表情を浮かべながら彼を睨むように見つめていた。

 

 

「あっお早よう。使う?ちょっと待ってて、」

フレッシュはクロアが洗面所を使いたくて待ちわびているのかと思い少し慌てた様子で蛇口を締めタオルを手に取って顔を拭いた。ところが、

 

「ようやく目覚めたと思えば部屋におらんとは落ちつきのないヤツ。」

 

クロアは吐き捨てるようにつぶやいた。どうやら洗面所を使うつもりではないらしい。

口調からすると何度も起こしに来てくれた様だ。

「え?って…わざわざ起こしに来てくれたの?ありがとう。」

フレッシュは笑顔でクロアに言った。

「ふ、ふん…別に。第一、何がお早ようだ。もう皆起きている…で…でも、まぁ主も年だし、きっと、」

『疲れが溜まっていたのだろう?』

とクロアは耳まで真っ赤にさせながらフレッシュに言おうとした。が、

「えっ!?本当っ?」

それを聞いた途端フレッシュは慌て、クロアの話も最後まで聞かずにリビングに向かった。

 

 

クロアは、そんな慌てた様子のフレッシュを何か言いたそうな目をしながら見つめていた。

 

…ポチャン。

 

「…ん?」

クロアが音のする方向を見ると、水道の蛇口から水が滴っていた。その存在が物珍しいのかクロアはさっきまでフレッシュに言いたい事があったのもすっかり忘れ、水道をマジマジと興味深そうな表情で観察し始めた。

 

 

 

 

さて、何故フレッシュはこんなに慌てているかと言うと…今日はステーキから今後の手がかりになる話を聞く予定だったから。

でも、きっと彼の性格からして誰か一人居なかったら全員揃うまで話をしないはず。絶対に。

皆が起きている。つまり一番最後に起きたフレッシュを皆は待ちくたびれている事だろう。

だからフレッシュは慌ててリビングに向かった。

 

するとそこからは人の話声がした。本当に皆起きている様だ。

 

「ごめん、寝すぎた。」

フレッシュは謝りながら中に入った瞬間、

 

「いつまで寝てんねん!?」

ポカリが大きい声でそう言った。

「えっ…あっ、ごめんυ」

フレッシュは素直に謝った。

「ええ加減にせえ!おっさん!」

 

ん?おっさん?

 

それを聞いてフレッシュは違う人物に言っている事に気付いた。

                 

「スピー…スピー…zzzムニャムニャ…z」

とリビングにあるベージュ色の大きなソファーにクマのぺーさんを抱き締めながら愛らしい(?)寝息をたて眠っているステーキにフレッシュは気付いた。     

 

 

 

皆起きて真面目な話をしていると思い慌てて駆け付けたのに、肝心のステーキがまだ寝ている事にフレッシュは心底呆れた。

 

「ねぇ…、話の方は?」

フレッシュはポカリに話し掛けた。

「ん?あっフレッシュ。お早よう。話?見ての通りまだやで。おっさんが寝てたら話聞けへんのに!ったく!」

ポカリはフレッシュの声に気付いて彼に目を向けた。

そして、

「なぁ!おっさんはよ起き!!!」

 

視線をステーキに戻して、さっきより声を大きくして彼に言った。すると、

 

「う〜ん、ふぁわぁぁ〜……んーもぅ〜ぉ…朝っぱらから元気ねぇ…。」

 

ポカリの怒鳴り声でようやく目を覚まし、欠伸をしながらステーキは気だるそうに言った。

「って、やだ!フレちゃんがいる。あたし素っぴんなのに〜!!フレちゃん、今はあたしを見つめないでぇ!!」

とステーキはクマのぺーさんのぬいぐるみで顔を隠しながらフレッシュに言った。

 

                                   

頼まれても見たくない……。

 

フレッシュは腹の中で強く思った。

 

「なぁ素っぴんとかどうでもええねん!第一何が朝っぱらや!?あんた今、昼やで!昨日ゆうてた話はどないした!?」

ポカリはステーキに言った。 

すると、いつの間に化粧道具を出したのかは謎だが、ステーキはポカリの話を化粧しながら聞いていた。そして、

 

「え?ヤダ!もぅお昼!?それはいけない!あたしとした事が!?」

突然カバッと反応し、かなり慌てた様子でステーキは座っていたソファーから立ち上がった。

さすがの彼も昨日の話をすると言った事を思い出したのだろう。

ところが、

彼はテレビの方に、駆け寄り、目の前にちょこんと正座をした。

 

 

丁度その時、水道を見飽きたクロアがリビングにやってきた。

 

ステーキはそれに構わず、テレビの電源を付けた。

するとテレビからは便器用洗剤サンポールのCMが流れた。

 

 「うわっ!!!!」

 

突然クロアは後ろに倒れこんだ

フレッシュ達は何事かと思い、みな目をクロアにやった。

 

 「クロア?どうかした?」

フレッシュは心配そうにクロアに声を掛けた。

 

 

「…?ど…どういう術なのだ?」

 

 

一言クロアはつぶやいた。

 

 

「ん?……………えーと、…何が?」

 

とフレッシュは、しゃがみながら尋ねた。

 

 

 

「今…あやつがやりおった術だ…。黒い箱から人間や便器が現れるなんて自分の故郷でもその様な術を使えるものは居なかった…。」

 

その場に座り込みながら、クロアはつぶやいた。

 

「………え?なぁ…あんたテレビ知らへんの?」

ポカリは信じられないという口ぶりで聞いた。

 

 

「そうか…『照鼻』という術…なのか…?やはり、自分は勉強不足だな…主はなかなかの腕前の術士だな。」

 

衣服に付いた汚れを叩きながら立ち上がりクロアは、ステーキにそう告げた。 

そんな様子のクロアを見つめながらフレッシュ達は皆同じ事を思った。

 

この子どんなトコに住んでいたのだろう?と…。

        

 

「まあね★それよりまだかしら?」

ステーキは聞き流す様な軽い口調でクロアに返し、化粧しながらテレビに噛りついていた。

 

 

「あー…ク、クロア?コレは術とかじゃなくてただの電化製品っていう機械なんだ…。」

フレッシュはどう説明しようと考えながらクロアに話し掛けた。

「機械?では中におるこやつらもか?」

またとんちんかんな事を抜かすクロア。

「いや、そうじゃなくて…υこの映像はあらかじめ撮ってあるんだ。」とフレッシュが説明していると、

「ちょっとフレちゃん達、シー!!!テレビが聞こえないでしょ!!」

とステーキはファンデーションを顔に塗りながらフレッシュ達に言った。が、

「おっさん!テレビ見てる場合ないで!昨日ゆうてた話はどないしたん!?」

とポカリはステーキに言った。

「お嬢ちゃんしつこいわね〜覚えておきなさい。しつこい女は嫌われるわよ。」

と化粧している手を休め怪訝そうな表情でポカリにぼやいた。

 

「な!…!」

ポカリは彼の一言にかなりムっとしながら言葉に詰まった。

 

 

確かに、ポカリはしつこいかもな……υフレッシュは腹の中でつぶやいた。

 

「…ステーキ、あんたそんな事言って本当は何も知らないとか言うんじゃないでしょうね?」

ポツリとシャランラが冷ややかな口調で尋ねた。

 

 

彼は一瞬ピクッとした。が彼女の方を向いて、

「あら〜シャラちゃんおはよう〜☆彡今日も相変わらず綺麗ね♪あたしには劣るけど。」

と彼女に目を向けながらステーキは微笑んだ。

 

「あっそう…で、知ってるの?知らないの?どっちなの?」

とステーキのアホなボケに対してつっこみをせず冷静に尋ねた。

一番ステーキの話を聞きたかったのはシャランラのはず。クールな態度だったが微かに手が震えている。それを悟られない様に強く握り締めていた。

そんな様子のシャランラに気付いたステーキは、

「…分かったわ…あたしが知っている事全てを話すわ…。」

と突然真剣な表情をしてテレビからシャランラの方に目と体を向けた。さすがのステーキも大切な人の人格が変わってしまったシャランラの気持ちを察したのだろう。

しかし、テレビからは、

 

『さ、さ、さ、さんぽーるぅ〜トイレの黄ばみにさんぽーるぅ〜☆彡まいったなぁ♪まいったなぁ♪2秒で、ピッカピッカ☆〜黄ばみも何にもない。さ、さ、さ、さんぽーるぅ〜みんなで垂らそうさんぽーるぅ。みんなで垂らそうさんぽーるぅ♪』

 

子供たちに大人気『毛毛毛の汽車郎』というアニメの替え歌がCMソングとして流れていた為に、いまいちシリアスな雰囲気になれず、ポカリは笑いを噛み締めていたが、横にいるフレッシュは真剣な顔をしていた。どうしてかというとステーキの表情がいつになく真剣になっていたから。

 

「ふぅ…そうね。まずシャラちゃんの質問から答えるわ。昨日見た男性の症状を治すことは不可能じゃないわ。」         

それを聞いたシャランラは顔を上げてステーキを見つめた。

 

「え?昨日…あんた知らないって、」

目を丸くさせながらシャランラは口を開いた。

 

「ごめんなさい。それは、嘘なの。シャラちゃんが久しぶりに逢いにきてくれたのに出てきたのが知らない男の名前でちょっと面白くなくてからかったのと、その人の症状を見ない限り何とも言えなかったからああ言ったの。」

 

「それじゃあ…?」

シャランラは動揺隠しきれない様子でステーキに尋ねた。

「結論から言うわ。ディズニーアイランドに生息している植物を操る精霊ならきっと何とかしてくれるはず…。」                                   

 

「え?けど…ステーキさん、その国は霧のごとく消えて滅んだって学校の授業で教わった様な…。」

フレッシュが口を挟んだ。

 

「?…んな事教わったっけ?」

ポカリはマジで知らないと言う表情で言った。

ほぼ授業中居眠りしているポカリは知らないはずだとフレッシュは思った。

 

 

「…そうね、そう言われてるわね…けど滅んではないわ。まぁ、学校でそう教わったのは仕方ないはず。アイランドを守る為にはね。」

とステーキはつぶやいた。

 

「え?」

フレッシュは興味深そうに彼の話を聞いた。

 

「そう、アイランドは世間から消えたんじゃなく世間から隠れたのだから。…いつだったかしら…?それすらも分からない遠い昔、アイランドは誰でも行き来できる場だったの。傷つきし者には癒しと安息を与え、力を欲する冒険者達には試練を出し、それを成し遂げた者だけに不思議な術で力を与えたり…と、そこに生息している者には不思議な力を秘めた者がいるわ。そう、例えば話したり歌ったり踊ったり出来るネズミとか、ポケットに古代武器をし持っている猫とか、植物を操る精霊とか…実際じゃ考えられない事がそこなら存在するわ。けど月日が過ぎるごとに、そういった生き物たちの力を悪用に使う者が現われ始めたの。…アイランドに棲む生きものを脅す形で力を手に入れたり、逆らわない様に力を誇示する様にアイランドの者を殺したり…、」  

ステーキは視線をフレッシュ達から逸らし、下を向いた。

 

「…だから、彼らはそういった者達の対策として、入り口を隠し封印して悪用されない様にした。そして外にその事が知られないように世間から消えて滅んだって事になったの。…だからアイランド自体は今も存在しているわ。」

 

ステーキは余韻を残す様に言葉を切った。

 

彼の背後から流れていたマヌケなCMソングが気にならなくなる程皆ステーキの話に耳を傾けていた。

 

暫らく沈黙がリビング全体を包んだ。テレビの音や、キッチンでフローラ(フレッシュの母)が何か危険な物を作っている音がしているのにも関わらず何故かひどく静かに感じる。

 

「でも…それじゃあ、場所は…?」

そんな沈黙をフレッシュが破いた。しかし今の場の雰囲気に劣らないくらい気まずそうな口調でステーキに尋ねた。

 

「そう…謎のまま。アイランドの者達が施した封印なら魔力が強いから普通の人間にはまず見つかりっこないわね。ましてや、ティッシュ一枚すら重くて持ち上げられないか弱く可憐で可愛いオカマには見つけらんないわ。」

ステーキも静かにつぶやいた。

 

 「何ゆうてんや?おっさん。」

彼のアホなボケにポカリがすかさずつっこんだ。

 

「封印か…。」

ポツリとクロアが口を開いた。

その口ぶりから何かしら心当たりがある様だ。

「どうしたの?」

そんな様子のクロアに気付いたフレッシュはクロアに声を掛けた。

「いや、大したことではないが自分の故郷にずっと開かない扉を祭っている塔があった気がする…。」 

「それホンマか!?」 

ポカリはクロアの肩を握りながら尋ねた。

「嘘ついて何になる?それにそこがアイランドに繋がっているとは限らん。第一塔自体にも鍵が掛かっておるから行っても無駄だ。」

クロアは冷静にポカリに指摘をした。

 

 

「なら、鍵があれば良いんだな…?」

 

突然ポカリの背後からシャドーの声がした。

昨日は彼にとって最悪な日だった為、深い眠りについていたシャドーがようやく起きたようだ。だが、まだ本調子ではないらしく少し足がふらついている。

フレッシュ達はシャドーに目をやりながら彼の話を聞いた。この時フレッシュはふと、そういえばシャドーずっと居なかったな…と今頃になって気付いた。

 

「鍵…?」

 

クロアは眉をひそめながらシャドーの持っていた鍵をマジマジと見つめた。

とても古い造りの変わった形の鍵…。

 

「主、これをどこで手に入れた?」

クロアはシャドーを睨むような目を向けて尋ねた。

「…拾ったんだよ…昨日。」

けだるそうに質問に答えるシャドー。そんな様子のシャドーにフレッシュは心配そうに声を掛けた。

「おはよう、シャドー。聞いていたんならこっちに来れば良かったのに。」

「…意識はあったけど、体が痺れてて動けなかったもんで…。」

昨日フローラ(フレッシュの母)の手料理を口にしてしまったシャドーは遠い目をしながらフレッシュに返した。

「あ、…ごめんなさい…ι」

フレッシュは母親の代わりに謝った。

そんなやりとりをしているフレッシュの傍で、

「塔の鍵穴に造りが似てなくはないが開くとは思わん…。」

とシャドーが拾った鍵を見てそう言った。すると、

「そうかしら?合わせて見ないと何とも言えないんじゃないかしら?それにおチビちゃんが昨日面白い言い伝えを語っていたわよね?えーっと何だったかしら?確か、草木荒れる時天より舞い降りし精霊浄化の光放たん…?だったかしら?おチビちゃんの故郷には何かしら秘密の香りがす・る・わvv」

ステーキはクロアに目をやり楽しいそうな表情を浮かべながら話掛けた。

「それはただの言い伝えだ。何の根拠も確証もない。 一体、主は何を根拠にそう思うのだ?」

クロアは腕を組んで愛想なく返した。その仕草から生意気さを醸し出していた。

「え?そりゃあ乙女の勘とフレちゃんへの愛の力よ。きゃあ!言っちゃった☆彡恥ずかしぃ♪」

ステーキはサラリと言い恥ずかしそうに手で顔を隠した。

 

「そこのオカマ…一生黙って下さい…。」

フレッシュはかなり冷ややか口調でステーキに言い放った。

普段のフレッシュでは有り得ないくらい冷たい口調だ。

「くすん、怒られちゃった。…けどマジ切れしたフレちゃんもス・テ・キ☆彡」

と冷たくされたのにも関わらずどこか嬉しそうなステーキ。

 

 

「ねぇ…根拠も確証もなくても構わないから、あなたの故郷に案内してもらえない…?あたしは1パーセントの可能性でも信じたいの…。」

一人悶えているステーキを余所にシャランラは真剣な表情でクロアを見つめた。

クロアは困った表情で暫く腕を組んでいたが、シャランラの瞳が真剣なのを見てまいったとばかりにため息をついた。

「…分かった。だがここからはかなり距離があるぞ…?」

…構わないわ。」

シャランラは強く静かにクロアに返した。

昨日フレッシュが見た弱気な彼女は幻かと思えるほどシャランラは凛と立ち、真っすぐ前を見ていた。

「なぁ!なぁ!なぁ!うちも行く。うちも行く!ええやろ?」

ポカリが口を挟んだ。

「ふん、来るなと言ってくもどうせ来るだろう。」

クロアは腕を組み直した。

「もちろんやで!」

ポカリは元気に言った。

「ええやろ?フレッシュ、シャドー…。」とポカリは二人を見ながら尋ねた。

この時ポカリはシャドーと昨日から微妙に喧嘩をしていた事を思い出した。だから少しき気まずそうに声を掛けた。

「俺は全然いいよ。」

フレッシュは優しく笑いながら返した。

「つーか…他に行く宛てもないしな。」

シャドーがボソッとつぶやいた。

「ほ、ほな決定やな!」

シャドーが一応返事を返してくれたのにホッとしたポカリは気を取り直して言った。

 

…ところでお前の故郷ってどこなんだよ…?」

シャドーはクロアに尋ねた。この時、彼は普通の態度でクロアに聞いていたのだが、フローラの手料理のせいで元からないに等しい愛想と生気を全て奪われてしまっていた為、周囲からは冷ややかな視線で脅し凄んでいる様に見えた。

 

そんな柄の悪い(様に見える)シャドーにクロアは警戒し、思いっきり睨んだ。

「ふん、貴様の様な輩に語ってやる程、我が故郷は落ちぶれてはおらん。というか貴様も来るつもりか?」

「あぁ…?そのつもりだけど。悪いかよ?」

クロアの小生意気な態度にムカッとしたシャドー。しかし、相手はまだ子供だと自分に言い聞かせながら堪えていた。が…、

「あぁそうだったか、悪い。来るな。汚れる。」

クロアはきっぱりと言い放った。

 

この二人は本当に気が合わない様だ。

相手はまだ子供だと言い聞かせていたシャドーの理性はその一言で、ぶちと切れた。しかし珍しく怒鳴り散らさない。必死で堪えているのか?それとも、怒鳴り散らすだけの体力がまだ回復していないだけだろうか?

とにかくシャドーとクロアは一触即発の雰囲気を漂わせていた。

 

「二人ともそこまで!!!とにかくに行ってみよう?何かしら手掛かりあるかもしんないし。ねっ?」

フレッシュが仲裁に入り二人に優しく言い聞かせた。二人は渋々言い争いを止めた。

「それとクロア。今の言い方は良くないよ。」

とフレッシュはクロアの方を見て厳しく注意した。

「ふん…。」

クロアは一言吐き捨ててシャドーから離れた。

 

「で?どこなんや?」

ポカリが気を取り直してクロアに声を掛けた。

そんな彼女を見てクロアは咳払いをして語りはじめた。

「そうだったな。コホン。自分の故郷の名は…ナウイ村だ!!!!」

とても自慢げに語るクロア…………しかし…、

 

「…ダサ…。」

超小声でシャドーがつぶやいた。

「タルイ村?って…どこや?つーかんな村地図に載ってる?」

ポカリは思ったままの事を素直に口にした。             

フレッシュもそんな、ふざけた名前の村あったっけ…?と腹の中でつぶやいた。

「ダサいだと?貴様!我が故郷を侮辱するとは命がいらん様だな。」

超小声でつぶやいたはずなのにクロアは一語一句聞き逃さずシャドーを睨んだ。

「侮辱とかの前に…その村どこにあんだよ?ナウイ村なんて聞いた事無いけど。」

シャドーは冷静な態度で、クロアに尋ねた。

「何!?ナウイ村を知らないとはかなりの田舎者だな…。」

ポツリとため息混じりで吐き捨てた。

「…お前だけにはその台詞は言われたくなかったよ…。」

シャドーはポツリとつぶやく様に返した。

「ナウイ…村?」

フレッシュは地図を出してクロアの言うナウイ村を捜した。

しかしどこにもそれらしき物は見つからない。

「ねぇ…?本当にどこにあるの?」

フレッシュはクロアに尋ねた。

 

「主の目は節穴か?」

クロアはフレッシュが見ている地図に覗き込み、一緒にそれを見てその場所を探した。

「えーっと、ほら!あるではないか!」と指差すクロア。

フレッシュはかなり目を細めて覗き込んだ。

すると、クロアの指先にはインクが飛んで出来たかの様な小さな黒い点があった。そして、ちゃんとナウイ村と書いてある。                                 

「あっ…ほ、本当だ…。」

 

本当にそんな村が実在するんだ。…世界って広いな。

フレッシュは染々思った。       

   

「な?自分の言った通り…。」

クロアは顔を上げてフレッシュに得意げに言った。が何故かハッとして、言うのを止めフレッシュから離れた。

 

「?」

フレッシュはそんな様子のクロアの態度を全く気に止めなかった。

「けど、ナウイ村なんて言ったらここからかなりの距離があるわよ〜。」

ステーキがぼやくようにつぶやいた。だが確かに彼の言うとおりオリマー王国からではかなり距離がある。

 

 

どの位距離があるかと言うと沖縄諸島の久米島という小さな島から津軽海峡までの距離ぐらいである(ぇ)とにかく遠いのだ。

 

 

その事に気付いたフレッシュは気まずそうな表情でリビングにいる者達に聞いた。

「え…、ねぇ…この距離をどうやって行けば良いのかな?俺等、お金あんまり持ってないから馬車とか使えないじゃん?」

 

 

しーん。。。

 

フレッシュの一言で皆一斉に静まりかえった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 TO BE CONTINUED…