『SF/フェチ・スナッチャー2』

☆表紙カバー
 デザインコンセプト。今回はパルプ雑誌というよりは、ペーパーバックをモチーフとしているようだ(特定はできなかった)。
 玻瑠のエプロンの胸の文字『NAKED APRON』は、日本語に訳すと『裸のエプロン』。玻瑠のコスチューム『裸エプロン』のことを示しているのであろうが、この表記だと『エプロンが裸である』と言う意味になってしまうと思うのだが?
 たぶんアイザック・アジモフのSF小説『裸の大陽《Naked Sun》』、もしくは特撮TVシリーズ『宇宙大作戦《Star Trek》』のエピソード《Naked Time》のもじりにするために、あえてこの表記にしたのだろう。
 千鳥が持っているのは、いわゆる懐かしおもちゃタイプの光線銃か。中に円盤状の火打ち石が仕込まれており、引き金を引くとそれが回転して金属部分とこすれ、火花が出る。
 折り返し『兄妹阿呆舟』。演歌で『兄弟舟』というのがあった。『阿呆舟』については96P4コマ目の項で説明。


☆表1
 黒いメイドのキャッチコピー『獣欲の使命』は、ハル・クレメントのSF『重力の使命』から。ちなみに、孤ノ間和歩の漫画単行本『ザ ハイディアン ゲーマーズ』中の『ロストピア』の副題がやはり『獣欲の使命』であった。
 書き文字『仮面のメイドだ スマタ魔だ』は、1967〜1968に関西テレビ系(関東ではフジテレビ)で放映された『仮面の忍者 赤影』の主題歌の一節『仮面の忍者だ 赤影だ』のもじり。
 なお『スマタ』とは『素股』と書き、本番行為の禁止されている風俗店おいて(と言っても、表向きは全ての風俗業で禁止されているのだが)、太股の間に男性器をはさんで刺激し、射精を誘発する疑似性交の呼称である。
 バイブ型エイリアンのデザインは、おそらく映画『エイリアン』が元になっていると思われる。
 説明文『捕り手ビーム反射光』は9P2コマ目に説明。
 リトルグレイのコピー『異論反論アブダクション』は、TBS『NEWS23』の1コーナー『異論反論オブジェクション』のもじり。なお『アブダクション』とは『誘拐』を意味する。
 リトルグレイの行動が『何を意図してやっているかは謎』。おそらく元ネタというわけではないだろうが、仮面の漫画家、桜玉吉のゲームマンガ『しあわせのかたち』に、火星の人面岩ネタで「宇宙人の行動原理は純粋まじりっけなしの『大宇宙なんとなく』である」というのがあった。
 幼なじみ型宇宙人のコピー『コケットの夏』はレイ・ブラッドベリのSF『火星年代記』中の一編『ロケットの夏』から。『コケット』は“coquette”と書き、フランス語で『なまめかしい女、男にこびる女』を意味する。
 説明文にある『ひとつ人の世 生血をすする』は、高橋英樹主演のTV時代劇『桃太郎侍』のクライマックス、主人公が悪人どもの巣窟に乗り込んで言う决めの口上『ひとーつ、人の生き血をすすり、ふたーつ、ふらちな悪行三昧、みっつ、醜いこの世の鬼を、退治てくれよう桃太郎』から。
 『宇宙バンパイヤ』は、コリン・ウィルスンのSF(Speculative Fiction)『宇宙ヴァンパイアー』から。意表をつく結末に唖然とさせられる怪作である。1985年にはトビー・フーパー監督の手によって、見事な底抜けホラー大作映画となった。
 マチルダ・メイが演じた女吸血鬼はけっこう好きです。

☆1P
 地球の周囲を飛んでいる“CCCP”の人工衛星は、1957年にソヴィエト連邦が打ち上げた、世界最初の人工衛星スプートニク一号。
 火星の所にあるのは、火星探査機ヴァイキング一号が撮影した『人面岩』。桜玉吉の漫画『しあわせのかたち』に、これをネタにしたエピソードがあった。飛んでいるのは、1950年ジョージ・パルが制作したSF映画の古典『宇宙戦争』(バイロン・ハスキン監督)に登場した火星人の戦闘機『マーシャン ウォーマシン』。ちなみにこれをデザインしたのは日系二世のアルバート・ノザキ。円盤=アダムスキー型のこの時代に、これだけ洗練されたデザインが登場していたということは特筆すべきであろう。

☆2P
 千鳥の読んでいる本『恥丘幼年期の終り』は、アーサー・C・クラークのSF『地球幼年期の終り』、『月ぞ小悪魔』は、香山滋の幻想小説『月ぞ悪魔』のもじり。『コドモじゃないの文庫』というのは、児童文学全集などによくつけられる『子供文庫』のもじり。
 千鳥のシャツのイラストは、1956年公開の大映特撮映画『宇宙人東京に現る』(監督・島耕二)に登場した『パイラ星人』。このデザインは、芸術家岡本太郎が『星から来た宇宙人が星の形をしていてもいいじゃないか』というコンセプトの元に創り上げた。ちなみに1969年発行の『キネマ旬報臨時増刊 世界SF映画大鑑』で、大伴昌司はこのデザインを評して『クリスマスの星飾りのような宇宙人など観客をバカにするにもホドがあろう』と言っている。
 玻瑠のシャツのイラストは、フリッツ・ラング監督によるサイレントSF映画の古典的名作『メトロポリス』(1926)。横書きの文字が右から左に書かれているのは、戦前の作品だからか?なお描かれているのは、女性型アンドロイド(ギュノイドと言うべきか)としては(いまだに)最高のデザインとされる、人造人間『ヘル=マリア』。ちなみに『スターウォーズ エピソードI〜IV』に登場するC3−POのデザインは、これがルーツである。

 

MIB(メイド・イン・ブラック)

☆3P
 3コマ目のナレーションは、江戸川乱歩『少年探偵団シリーズ』の第一作『怪人二十面相』の冒頭部分。
 書き文字『黒いメイドはナゾのひと どんな顏だか知らないが』は、表1のところで述べたのと同様、『仮面の忍者 赤影』の主題歌の出だし『赤い仮面は謎の人 どんな顏だか知らないが』のもじり。
 タイトルはMIB(メン・イン・ブラック)から。UFO関連フォークロアでは有名なキャラで、UFOの秘密を探っているとどこからともなく現れて『これ以上深入りするな』みたいな警告を与える。このネタを使ったウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズのSFコメディ映画『MIB』というのもありました。
 4コマ目、『そいつと出会うことはT思わず昇天Uを意味する!』は荒木飛呂彦の『バオー来訪者』のパロディ。

☆4P
 3コマ目の書き文字、『しびしび』は唐澤なをきが『蒸気王』で使ってました。

☆5P
 4コマ目、千鳥のセリフ回し。この独特の独白体は、宇能鴻一郎のパスティーシュ。

☆7P
 黒いメイドの変身ポーズは『美少女戦士 セーラームーン』か?たしか『SuperS』の変身が一番近いような気がするが。
 5コマ目の黒いメイドの決めポーズ。これがッ!これがッ!これがバオー武装現象《アームド・フェノメノン》のパロディだッ!

☆9P
 2コマ目『捕り手ビーム反射光』は、解説部分にあるとおり、伊藤伸平のマンガ『楽勝!ハイパードール』のセミマンからだが、そのオリジナルは『ウルトラマン』16話『科特隊宇宙へ』に登場する二代目バルタン星人が、胸部に装備したスベシウム抗体反射板によってウルトラマンのスベシウム光線を反射して発する、スペルゲン反射光。

☆14P
 4コマ目、書き文字『大和おなごと生まれなば 3P戦の花と散れ』は、軍歌『歩兵の本領』の歌詞『万朶の桜か襟の色 花は吉野に嵐吹く 大和おのこと生まれなば 散兵戦の花と散れ』のもじり。
 なおこの歌は、戦後『聞け万国の労働者 轟き渡るメーデーの・・・』と歌詞を変えて、労働歌として唄われた。

 

俺と兄貴のメロディ

☆15P
 3コマ目。先輩の名前『衆藤』は、戦国時代に男色のことを示した言葉『衆道』から。
 桜木健一×近藤正臣の『衆道一直線』……それはちょっとイヤかも。


☆16P
 3、4コマ目のやり取り『舍弟ーッ!と呼べば 兄貴ーッ!と応える』は、1935年の流行歌『二人は若い』(サトウハチロー・作詞 古賀政男・作曲)の冒頭『あなたと呼べば あなたと答える』からか?『昇天コマンド』13P2コマ目の『若いふたり』と混同しないこと。

☆17P
 4コマ目、書き文字『ミナミサカエサンチョーメ!?』は、『昇天コマンド』78Pでも述べたとおり、竹本泉『あおいちゃんパニック』から。絵柄は少し違うが、見上げた上空に円盤が浮いているというあおり構図もあった。

☆18P
 3コマ目リトルグレイたちのセリフ『おーる男性すたっふニヨル 最新てくにっくノ無痛手術デ 傷跡のない自然ナ仕上ガリ』は、男性向け週刊誌によく載っている包茎手術の宣伝文句のもじり(というか、そのまんま)。

☆19P
 3コマ目のセリフ『生まれ変わったプリティな体!』は、1973〜1974年にフジテレビ系で放映された『新造人間キャシャーン』(竜の子プロ製作)オープニング前のナレーション『たったひとつの命を捨てて 生まれ変わった不死身の体 鉄の悪魔を叩いて砕く キャシャーンがやらねば誰がやる!』(by納谷悟郎)からであろう。
 4コマ目で衆藤先輩の歌っている歌『友をえらばば書を読みて 六分の侠気四分の熱』は、バンカラ学生が好んだ、1966年の『人を恋うる歌』。作曲者は不明だが、作詞したのは与謝野鉄幹(寛)。

☆20P
 1コマ目、トラックのフロントガラスに『MURDER』(=殺人)の文字。ガラスに書かれているので裏文字になっているのは、映画『シャイニング』(スタンリー・キューブリック監督 )へのオマージュか?
 (おすとあんでるさま)壁の張り紙にある「ああッ、ひき肉に!」は、たぶん唐沢なをき『必殺!山本るり子』で毎回柏木さんなる人物がひどい目に遭うときのセリフ、だと思います
 とのことです。確かに。

☆21P
 5コマ目、千鳥が読んでいる『サン 日本版』。『サン』は、『SF/フェチ・スナッチャー』82P3コマ目の項でも触れたが、トンデモ記事で有名な、アメリカの赤新聞(yellow press)。記事にある『プレスリー転生』は、『生まれ青森』『追いかけて雪国』と有る以上、『俺は田舍のプレスリー』こと吉幾三のことだと思われる。『野人VSチュパカ・・・』の『野人(イエレン)』は中国奧地に棲息すると言われる雪男のような生物。『チュパカ・・・』は、中米で二十世紀末から噂になっている吸血生物『チュパカブラ』のことであろう。ちなみに『チュパカブラ』とは、スペイン語で『山羊をしゃぶるもの』を意味する。

☆22P
 2、3コマ目『ベントラー ベントラー スペースピープル』とは、UFOビリーバーの間でかつて行なわれていたUFO召還の呪文。高橋留美子の漫画『うる星やつら』でも使用されていた。

☆23P
 5コマ目のセリフ『たァがやあ・・・』は、花火を見るときの掛声『たまやー』のもじりだが、この言葉が登場するのは、古典落語『たがや』の落ちである。ちなみに『たまや』とは、江戸時代の有名な花火屋『玉屋』のこと。

 

宇宙から来た幼なじみ

☆27P
 『ツトム君とユミちゃん』は解説にあるとおり、NHKの『みんなのうた』で大ヒットした『山口さんちのツトム君』(みなみらんぼう作詞・作曲)とその続編『ユミちゃんのひっこし』が元ネタ。

☆28P
 1コマ目、幼なじみの襟元のマークは、1967年にスペインのマドリッド郊外で撮影されたとされる、ウンモ星のUFOについていたもの(もちろんトリック)。
 ちなみに『少年サンデーGX』で『猫の王』が絶好調の小野敏洋の怪作漫画(だよね)『太陽の少女インカちゃん』に登場するUFO少女ロズウェルちゃんの額にも同じマークがあった。
 サブタイトル『宇宙から来た幼なじみ』の元ネタ、解説にある『宇宙から来たツタンカーメン』(原題“Time Walker”ビデオになったとき『宇宙からのツタンカーメン』に改題)はトム・ケネディ監督による1982年のトホホSF映画。関係ないけど『ウルトラマン』第11話に『宇宙から来た暴れん坊』というのもある。

☆29P
 2コマ目。玻瑠の飲んでいる『くだん牛乳』。『くだん』は体が牛、頭が人間という姿をした妖怪。漢字で書くと『件』。生まれてすぐ、不吉な予言を数多くして、すぐに死ぬと伝えられている。作者の最新作のヒロインでもある。小説では、内田百閧ノ『件』、小松左京に『くだんのはは』というのがある。なお明治42年6月21日の『名古屋新聞』には、長崎市の八尋博物館に陳列されていたという件の写真が掲載されている。

☆30P
 2コマ目。バックの写真に写っているのは、右から『フラットウッズ・モンスター』と呼ばれる3メートルの宇宙人、右から2番目は不明、3番目はいわゆる『捕らえられた宇宙人』、4番目は『リトルグレイ』、上に行って右端は『ナチスのUFO(底部についているのは親衛隊(SS)のマーク)』その右は『モスマン』、左端は『外科医の写真』という名で有名な、1934年に撮影されたネッシーの写真としては最も初期のものの一つ。最近、家族の証言で偽物であることが裏付けられた。
 右から2番目はH・G・ウェルズ直筆の『火星人』じゃなかったかな?

☆33P
 4コマ目、幼なじみのセリフ『・・・責任とってね』。まあ、こういうシーンでの常套句だから、無理に元ネタをさがす必要はないかも知れないが、押井守・監督の大傑作映画『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984東宝)で、主人公諸星あたるを夢の世界から解放したのが、幼い姿をしたラムの、この一言であった。
 5、6コマ目のセリフ『森の小さな教会で 結婚式をあげよう!』『つーか てんとう虫が サンバに合わせて踊り出しそう・・・』は、結婚式の定番ソング『テントウ虫のサンバ』(作詞・さいとう大三 作曲・馬飼野俊 唄・チェリッシュ)から。

☆38P
 4コマ目、バックのエイリアンたち。右端のキャラは『エコアイス』のマスコットキャラクター『エコ子』、右から五番目下のキャラは『メンソレータム』のマスコット『リトルナース』。
 いやもう、最近のゲームやアニメは13人の妹型エイリアンと同居したり、いきなり5人の義母型エイリアンが押しかけて来たりと大変ですがな(^_^;)。

 

姿なき挑発者

☆39P
 3コマ目、ツトムの読んでいる本『絵のない絵本』は、ハンス・クリスチャン・アンデルセン作の童話。

☆40P
 2コマ目のバックにあるセリフ『委員長の辺にこそ死なめ』は、『屈折リーベ』117P1コマ目でも紹介した、大伴家持の和歌の一節『大君の辺にこそ死なめ』のもじり。

☆42P
 教師の着けているマスクは、映画『羊たちの沈黙』で、レクター博士が、一時出獄させられたときに着けさせられていた拘束具の一つ。『屈折リーベ』65P7コマ目で、秋保が廊下に立たされたときにも使われていた。

☆43P
 3コマ目のセリフ『フィ フォ フン 女の子のにおいがするぞ』。厳密なことを言えば、一語不足しているのだが、元ネタはおそらく『マザー・グース』の中の、以下に記す歌だと思われる。
“Fe,fi,fo,fum,
I smell the blood of an Englishman,
Be he alive or be he dead,
I’ll grind his bones to my bread.”
 訳:『フェ フィ フォ フン、イギリス人の血のにおいがする、そいつが生きていようが死んでいようが、骨を粉にひいてパンにしてやる』
 7コマ目、『鼻の下にメンタム塗るといいですよ』は、『羊たちの沈黙』で腐乱死体を検死するシーンのパロディ?

☆45P
 2コマ目『マイ・フェイバリット・スィング』は元ネタ不明だが(マイ・フェイバリット・ソングというのがありそうだが)、その訳『萌え萌え物体X』は1951年のSF映画“The Thing”(監督クリスチャン・ナイビー)の邦題『遊星からの物体X』から。
 (A.Tさま)「萌え萌え物体X」のモトネタですが、1965年のアメリカ映画、『サウンド・オブ・ミュージック』の挿入歌、『My Favorite Things』ではないかと思われます。日本では主に『私のお気に入り』と訳されるようです。
 ちなみにこの曲はジャズのスタンダードとしても有名で、ジョン・コルトレーンのソプラノサックスによるカバーが広く知られています。

 とのことです。ご指摘ありがとうございました。

☆46P
 5コマ目『鼻血吸引』。このコマも漫画『覚悟のススメ』っぽいが、敵役、散のまとう強化外骨格『霞』の武器に、天空の稲妻をその身に浴びて、電撃を吸収する技があった。あるいは胸元を広げるというシチュエーションから見て、覚悟との闘いに敗れて燃え尽きるブロブを吸収したときのパロディかも知れない。

 

脳天気の終わり

☆51P
 2コマ目に登場の『巫女さん型宇宙人 宇宙巫女《うつのみこ》』は、この読みを見ればわかるとおり、藤川桂介のジュヴナイルでビデオアニメにもなった『宇宙皇子《うつのみこ》』のもじり。

☆52P
 5コマ目のナレーション『異星人との度重なる戦いによって 捕り手と玻瑠は 深くダメージを受けつつあった』は、言うまでもなく『ウルトラセブン』最終話・前編にあったナレーションのパロディ。

☆53P
 1コマ目のポスターに描かれているブリキロボットみたいなキャラクターは、N・R・ジョーンズの宇宙SF『ジェイムスン教授』シリーズの主人公ジェィムスン教授。こんな姿をしているが地球人である。人間の遺体を保存する研究していた彼は、最終的に自らの遺体を実験台として衛星軌道に打ち上げた。そして四千万年後、宇宙探険の途中ジェイムスンの棺を見つけたゾル星人たちは彼に蘇生措置を施し、自分たちと同じ、機械の体に脳髄を収めたこの姿として復活させたのである。SF史上最もユニークなヒーローとして有名で、以前ハヤカワSF文庫から出版されていたが、現在は絶版のようである(残念なり)。
 ハヤカワSF文庫の挿し絵は藤子不二雄が描いてました。

☆54P
 1コマ目、メガネ拭きに書かれている『近視篇』というのは、『屈折リーベ』186P3コマ目で紹介したジェイムズ・フレイザーの著書『金枝篇』のもじり。

☆54P
 4コマ目からの展開も『ウルトラセブン』最終話・前編に出てきた、苦悶するモロボシ・ダンのパロディ。

☆58P
 4コマ目『mano fica』については、『昇天コマンド』11P1コマ目の解説を参照。

 

女子高メルヘン 死霊のプールびらき

☆65P
 タイトル『女子高メルヘン 死霊のプールびらき』。『死霊のしたたり』『死霊の盆踊り』等、『死霊の〜』というのは、ホラー物のタイトルでは一つの定番である。
 バックの小物はいわゆるコックリさんに使用される道具と、形代《かたしろ》として用いられる紙人形。

☆68P
 主人公の名前『岸間零子』は、『昇天コマンド』にも『鬼死魔霊子』の表記で登場しているが、都市伝説『てけてけ』の主人公とされる『キシマレイコ』から。

☆69P
 1コマ目。バックの妖怪図。左側は葛飾北斎の浮世絵『百物語皿屋敷』に描かれた妖怪『皿数え』。右側は、妖怪『泥田坊』。両者とも死に際の執念が元で、特定の場所に取りついた妖怪であるため、自縛霊の説明カットに採用されているのであろう。
 なお、体にダイナマイトを巻いていたり、爆弾にしがみついていたりするのは、『自縛』と『自爆』をかけているものと思われる。
 5コマ目の書き文字『底ぬけのヒシャクで』というのは、舟幽霊への対処法。

☆70P
 1コマ目、囮とされた委員長のポーズは、中世ヨーロッパの魔女裁判で、魔女かどうかを判断するために行なわれた水責めのポーズか?

 

痛怪 百物語

☆73P
 タイトル『痛怪 百物語』は、1968年に公開された大映の特撮映画『妖怪 百物語』(監督・安田公義/黒田義之)のもじり。
 ちなみに『痛い話比べ』ネタというのは、とりみきのエッセイ漫画『愛のさかあがり』にもあったと記憶する。

☆74P
 7コマ目のセリフ『ガルヴァーニのカエル』とは、イタリアの生理学者ルイージ・ガルヴァーニの観察した、解剖された蛙の足が、金属片が接触するとけいれんするという現象に由来する。

☆75P
 3コマ目からの展開。仲間達の発言に対し、いちいち混ぜっ返して強がるのは、落語『饅頭こわい』からだと思われる。

☆77P
 5、6コマ目のセリフ『その傷は 赤チン塗っても治らず 黒チン塗ったら毛が生えた』は、昔流行った『軍艦』(『軍艦マーチ』と言った方がわかりやすいかもしれない)の替え歌『戦艦大和が沈むとき カニにチ◯ポコはさまれて 赤チン塗っても治らない 黒チン塗ったら毛が生えた』から(ただしこの歌はヴァリエーションが非常に多いので、別ヴァージョンで知っている人も多いことと思われる)。
 ちなみに赤チンというのは、ケガの消毒液マーキュロクロムの水溶液の俗称。ヨードチンキ(ヨーチン)などよりしみないので子供に人気があり、小中学校の保健室の常備薬となっていたが、成分に環境汚染の可能性があるということで製造中止となった。
 アタシが知ってるのは『戦艦大和が沈むとき 小林大佐はいいました ○んちん錨にはさまれて あいててチクショウ毛が抜けた』ってゆーヴァージョンですね。

☆79P
 1コマ目。右から二番目のキャラのように、男根を蛙(厳密には蟇蛙)に食われるというのは、キリスト教における象徴表現では邪淫の罰ということになっているのだが、どうもそんなこととは縁がなさそうなキャラなので、これは偶然であろう。

 

蜻蛉日記

☆82P
 タイトル『蜻蛉日記』は、藤原道綱母の『蜻蛉《かげろう》日記』(女性による日記文学の最初とされる)が元ネタ。ただし本作品の『蜻蛉』は『とんぼ』と読む。蜻蛉が騒がしいのは、考えたことをそのまま口にするから。何故そうなるかはあさりよしとお『宇宙家族カールビンソン』の『おねえさまへ・・・の巻』及び『なぞの転校生の巻』を参照。

 

強襲 ミドガルド蛇

☆93P
 タイトル『強襲 ミドガルド蛇』。『ミドガルド蛇』とは、北欧神話の悪神ロキが生んだ三体の魔物のうちの一体で、世界《ミドガルド》を取り巻いている大蛇。
 本名は『ヨルムンガド』といい、ラグナロク(世界の終末)において、雷神トールと相討ちになる。
 なお、残りの二体は戦死以外の死者を支配する女神ヘルと、宇宙を食らう魔狼フェンリル。

☆94P
 4コマ目の『撃沈王クレチュマー』ことオットー・クレッチマーは実在のUボート・エース。通算44隻、総計26万トンの商船を沈め、宝剣付き騎士十字章を授与されたが、41年3月に連合国側の捕虜となりカナダの収容所に送られた。
 密かにUボートと連絡を取り、脱走を企てたのも史実通り。もちろんこんな馬鹿な兵器が迎えに来た記録はないが。

☆96P
 4コマ目『阿呆の船《ナレンシフ(“Narrenschiff”)》』とは、中世ドイツの諷刺詩人ゼバスチァン・ブラントの詩『阿呆の船(“Das Narrenschiff”)』(1494)が元ネタ。
 あらゆる時代、あらゆる階層の代表者たる百十二種類のフール(阿呆、愚者、道化)が、一隻の船に乗ってナラゴニア(阿呆の国)に向けて出航するという内容のもので、同時代の悪徳、なかんずくカトリック教会の腐敗を鋭く衝き、宗教改革への道を開いたとも言われている(もっとも彼自身は保守的な人物であったとされているが)。真の意味で最初のベストセラーであるとされ、汎ヨーロッパ的に流布し、その後のアレゴリー風刺文学における原型の一つとなった。
 同時代の画家ヒエロニムス・ボスの作品に同じ題の作品があって、やはり教会の腐敗を描いているほか、現代では佐藤史生のSF漫画に、このモチーフを用いた『阿呆船』というのがある。
 6コマ目の玩具、左側の物は、水に浮かべてポンプ部分を押すと、足が伸びて泳ぐゴム製の蛙。右側は、篠竹細工で、手に持って振ると身をくねらせる、民芸品の蛇。

☆98P
 8コマ目のセリフ『舟底を ガリガリかじる 春のサメ』というのは、演題は忘れたが落語の長屋話の一つに出てくるネタで、『春雨《はるさめ》』という題で一句詠むように言われた男が詠んだ句である。

☆100P
 1コマ目のセリフ、『四ツんばいの女が追っかけてくる奴だろ』『婆さんが屋根に乗ってるってのもありますな』。どちらもいわゆる都市伝説で、高速運転中の自動車が遭遇するとされる怪現象。

☆101P
 3コマ目『メガノマロカリス・ギガンテウス』は、カンブリア紀の生物『アノマロカリス』に、ギリシャ語で『巨大』を示す接頭詞『メガ』をつけたものに、『巨人の』を意味する『ギガンテウス』を加えて巨大さを強調した学名。少なくとも『メガニューラ』の巨大変異体に『メガギラス』とつけるよりは、理にかなったネーミングである。なお『アノマロカリス』は昆虫ではない。

☆102P
 3コマ目のセリフ『ファフニルで足止めッ!』。この武器に、本当にこんな名称が付けられていたのかどうかは知らないが、『ファフニル』というのは、ゲルマン神話の英雄ジークフリートが殺したドラゴンの名前。その血を浴びることによって、ジークフリートは剣を通さない無敵の肉体を手に入れた。

☆102P
 4コマ目『海軍精神注入棒』。本来は、日本海軍において、兵隊を殴って気合いを入れる為に使われた木製の角棒のことを言うのだが、こちらのはどこから何を注入するのやら。
 5コマ目の『オストアンデル幸せ音頭』自体のネタは不明だが、キャラの姿から、先日死んだ三波春夫が、シベリア抑留時代に『労働音頭』というのを作って仲間達を励ましたというエピソードを思い出した。
 なお『着物の柄』に描かれているのは、中世ヨーロッパの図版によく登場する海の怪物たち。扇子の文字『水漬くかばね』は、何度か出てきている大伴家持の和歌から。

☆104P
 1コマ目、『ティペラリー』は不明。先任が持っているLP『NHK みんなのうた』に収録されている『オランガ』とは『オランガタン』というのが正しい題名。
 2コマ目『ジンギスカン』は、よく覚えていないが、二十世紀末に流行ったディスコサウンドだったと思う。
 5コマ目、計器類に混じってパチンコ台、ルーレット、コックリさんの文字盤がある。
 6コマ目、潜望鏡が有料なのは、行楽地によくある有料の望遠鏡が元ネタであろう。てるてる坊主やソーセージに混じってぶら下げられているバナナは、乗員に無精髭が生えていないので、まだ黄色くなっていないと思われる。
 『ティペラリー』は映画『Uボート』の中で、潜水艦乗組員が聞いていたレコード。『Uボート』で使われているサントラは、なぜか赤軍合唱団が歌っているのだ。

☆105P
 5コマ目。洗面器の文字『クロンB』は、後で出てくる毒ガス『チクロンB』。悪名高きアウシュビッツのシャワー室で用いられたのも、このガスである。なお底に薬の名前を書いた洗面器を、宣伝として銭湯に配ったのは『ケロリン』の会社が最初に行った。

☆107P
 5コマ目、『喰らえ ハン奴ッ!!』のハンはフン族のこと。アングロ・サクソン系がゲルマン系のドイツ人を罵倒する時のいいまわし。
 ちなみにここで発砲しているのはイギリス製の『チャレンジャー』戦車。巡航戦車『クロムウェル』に無理矢理17ポンド砲を載せたのでものすごく不格好。

☆114P
 7コマ目のセリフ『砲弾《たま》やぁ!!』は23Pにも紹介した、花火の時の掛声。

☆116P
 見開きのコマのセリフ『見よッ! 大空の鉄の顏ッ!!』は不明。最初は『ゴレンジャー』の插入歌かと思ったのだが・・・
 『大鉄人17』のオープニングの歌詞らしいです。

☆118P
 6コマ目の書き文字『申告はお早めに』は税務署の広告でよく見るフレーズ。

☆119P
 1コマ目のセリフ『耐G防御用意ッ!』。普通『G』は“Gravity ”の頭文字で、急激な運動に伴う加速度を示すのだが、ここでは“Gus”の頭文字だったようだ。
 3、4、5コマ目のセリフ『ひるんだところにキーック』『アターック!』『電光パンチ!!』は、『新造人間キャシャーン』の主題歌の一節『噂に聞こえた淒い奴 キック アタック 電光パンチ』から。

☆121P
 6コマ目のセリフ『三方一両損』は、いわゆる大岡裁きの一つ。三両の落し物に対し、落とし主と拾い主が共に意地を張って引取を拒んだのを、大岡越前が一両を足すことによって四両として双方に二両ずつ引き取らせ、これで三方が一両ずつ損することになったという逸話による。『双方共倒れ』は、東宝の特撮映画『キングコング対ゴジラ』に、ゴジラとキングコングが『両雄並び立たず、双方共倒れ』になってくれるとよいと言う意味のセリフがあった。

 

─喜劇・ナチス オカルト局─ ロスト・アーネンエルベ

☆126P
 2コマ目のセリフ『さらには米を入れるといつまでも減らず』というのは、昔話で、主人公が善行の報酬として、無限に出てくる米櫃や、使っても減らない戝布をもらうといったエピソードから。書き文字『貧乏人は麦を食え』は、池田勇人首相の問題発言。
 3コマ目のユダヤ・エージェントの服裝はユダヤ教の司祭『ラビ』のコスチューム。
 6コマ目、『次からはイタリア抜きだな』というのは、日本人がドイツを旅行していて、向こうの老人に『次はイタリア抜きでやろうぜ』とか声をかけられちゃうジョーク(ジョークなのか?)。

☆127P
 大きいアークを開けるとお化けが出てくるという展開は、日本昔話『舌切り雀』が元ネタ。

☆129P
 4コマ目からの展開は、いわゆる呪的逃走という奴でしょう。
 6コマ目の『神は我らと共にあり《ゴッド ミット ウンス》』はドイツ兵のベルトのバックルに刻まれているモットーだったかな?

☆131P
 1コマ目の歌は、NHKの人形劇『プリンプリン物語』に登場した独裁国家『アクタ共和国』の国歌。『プリンプリン物語』は『ひょっこりひょうたん島』や『新八犬伝』ほど有名ではないが、そのシュールさからカルト的な人気を持つ。ちなみに竹本泉版『あんみつ姫』では、主人公のライバルいちご大福姫の国、きんつば国のテーマソングがこの歌だった。

☆132P
 3コマ目の書き文字『シオシオのパー』は、1966〜1967年に日本テレビで放映された『快獣ブースカ』(円谷プロ制作)の主人公ブースカが、落ち込んだときに言う決り文句。なお、嬉しいときには『バラサ バラサ』、怒ったときには『プリプリのキリリンコ カッカッカッ』、『クルクルクル〜のチョン』で大きくなり、『かいぐりかいぐり〜のチョン』で小さくなる。
 海底で神秘的な宝物が塩を出し続けているために海が塩辛くなったという落ちは、昔話の『塩吹き臼』から。

 

☆134P
 『天の光はすべてホシ』は、SF『天の光は全て星』が元ネタ。
 『世にフェティッシュのネタはる尽きまじ』の元ネタは、中世の盜賊石川五右衛門が、釜煎りの刑に処せられる際に咏んだと伝えられる『石川や 浜の真砂は尽くるとも 世に盜人の種は尽くまじ』。
 『おツムのネヂがバッチリゆるんで』は、1967年のアニメ『花のピュンピュン丸』(東映動画・制作)の主題歌(唄・財津一郎)の一節『ありゃりゃんこりゃりゃんおつむのねじが こりゃまたバッチリゆるんでる』から。
 『IRGENDWANN IRGENDWO』は、日本語に訳すと『いつかどこかで』。

☆表4
 マイ・フェイバリット・シング《萌え萌え物体X》のコピー『浅ましい妄想《ゆめ》だから胸を離れない』はちょっと不明。『ふたつフラチな悪業ザンマイ』は、表1で説明したとおり『桃太郎侍』から。
 宇宙巫女《うつのみこ》のコピー『神は幾万ありとても』は、山田美妙作詞、小山作之助作曲の軍歌『敵は幾万』のもじり。ところで神は幾万あるかというと、八百万である。
 捕り手上司のコピー『上役から一言』は、フレデリック・ブラウンの短編SF『スポンサーから一言』のもじり。
 (西村さん)『浅ましい妄想《ゆめ》だから胸を離れない』は『初恋』(村下孝蔵)の、『浅い夢だから胸を離れない』から、だそうです。

 

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