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ときは元禄。西暦1700年頃。 幕政もすっかり安定して、いわゆる文治政治。武士たちも学問をはじめた。 5代将軍・徳川綱吉〔とくがわつなよし〕が発行した元禄金銀で元禄バブルが起こり、商業が大いに発展。都市も発達し、江戸・大坂・京都は大都市に。 文化も発達し、文学では、浮世草子〔うきよぞうし〕の井原西鶴〔いはらさいかく〕、俳諧の松尾芭蕉〔まつおばしょう〕、浄瑠璃〔じょうるり〕の近松門左衛門〔ちかまつもんざえもん〕が大活躍。商人の若旦那は浮世草子を読みふけり、ご隠居は俳句をひねり、休みの日にはみんなで浄瑠璃見物、なんて時代だ。 で、上方〔かみがた〕の町人中心の文化だから、現実主義的・世俗的。イロとカネの世界だ。 もっとも、この時代は、文学が栄えた時代で、美術はわりと少ないからね。 A 元禄文化の絵画はデザインちっく 元禄時代には、都市化してくるから、みんなオシャレになってアートも洗練されてくるし、鎖国してるから、中国と交流がなかった平安時代同様、日本人独自の繊細さが出てくる。 さて、元禄文化の絵画でいちばんメジャーなのが、「紅白梅図屏風〔こうはくばいずびょうぶ〕」・「燕子花図屏風〔かきつばたずびょうぶ〕」の尾形光琳〔おがたこうりん〕。 「紅白梅図屏風〔こうはくばいずびょうぶ〕」は、まん中に川が流れていて、左が白梅、右が紅梅だ。川にもぐるぐるうずまく模様があって、この川ごとシブいネクタイにでもなりそうだ。黒いスーツに合いそうだ。 キンピカでゴージャス系なんだけど、構図がとてもデザインちっくでシンプル。色彩も、ほぼ金と黒系でまとめられ、ゴテゴテしていず、洗練されてる。 「燕子花図屏風〔かきつばたずびょうぶ〕」も、葉がピンピンピンとはねてるカキツバタがリズミカルにならんでて、心もこのリズムでぴょんぴょん跳ねたくなる。やっぱりデザインちっくで洗練されてる。 これが、それ以前のゴージャス系と尾形光琳〔おがたこうりん〕の「おしゃれゴージャス」が違うところ。 尾形光琳〔おがたこうりん〕には、「八橋蒔絵硯箱〔やつはしまきえすずりばこ〕」もある。 そして、浮世絵もこの時期に登場してくる。 「見返り美人図〔みかえりびじんず〕」の菱川師宣〔ひしかわもろのぶ〕だ。浮世絵は、基本的に版画なんだけど、これは肉筆浮世絵。 これも、デザインちっくだ。 女が振り返った姿は色っぽい。でも、よく見てほしい。こんなに振り返ったら、首の骨折れるっちゅーねん。 けど、緑の帯の柄が見えて、まーるい模様のついた袖がひらっとなって、黒髪もふわっとなって、で、顔もちゃんと見えてる。ほんとはこんな姿勢あり得ないんだけど、デザイン的にこの方が洗練されてるわけだ。 この後、浮世絵はどんどん進化して、次の化政文化では全盛期を迎えるんだね。 他には、「洛中洛外図巻〔らくちゅうらくがいずかん〕」を描いた住吉派〔すみよしは〕の住吉具慶〔すみよしぐけい〕がいる。 B 元禄文化の彫刻はザクッ 元禄文化の彫刻、っていっても、ひとつだけ。円空〔えんくう〕の仏像だ。 お、仏像、久しぶりやね。でも、以前の仏像とぜんぜん違う。 今までの仏像は、きれーに仕上げられてたけど、円空の仏像は、ザッザッザッ、ザクッザクッザクッと大胆に彫ってある。あまり細かいことは考えていない。こういうのを鉈彫〔なたぼり〕っていうんだけど、これもまたある意味デザインちっくだ。 |
| できるだけ「図説」みたいな本を見ながら読んでくださいね。 今、近くにそういう本がない人は、googleイメージ検索(ここをクリック)で探すと、すぐ画像が見つかりますよ。 |