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■『竹取物語』の夢■ 序章 アイするココロ 第一章 突然現れた 第二章 完全なる拒絶 第三章 原初の感覚 第四章 歌ではなく…… 第五章 かわいいかぐや姫 第六章 滑稽な人間 第七章 モナリザの心 第八章 破滅 第九章 連れ去る力 終章 離れていても…… top page 岩田澄人 古文単語チェック |

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庫持の皇子はなかなかカシコイ人で、海に出たふりをしてそっと難波へ漕ぎ帰った。「
どうしたことか? ここには、石作の皇子のウソをすぐに見抜いたかぐや姫は、もういない。テレパシー能力をなくしたのか? そこにいるのは、うろたえ戸惑う、単なる普通の人間の女性だ。 他者との距離がたしかにある。しかし、人間らしさがその距離を融解する。 かぐや姫は、ちょっとぼくの近くにいる。 ちょっとかわいいかぐや姫がいる。 ちょっと人間的なかぐや姫がいる。 この後、「鍛冶工匠」が「給料くださーい」とやって来ちゃって、あえなく庫持の皇子のウソはバレちゃう。
結局は、冷たいんだけどね……。でも、何か、体温のある冷たさだ。 冷静に他者との距離を見つめた物語は、一方で、冷静に普通の人間を見つめた。やっぱり、それが、原初的な話型の世界とは違うところだ。だから、かぐや姫も普通の人間になった。 でも、普通の人間が、乾いた拒絶をする……、それは、原初の拒絶よりもこわいことかも知れない。 |