09/01/04

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曲→「恋した花」(2.02MB)  「17」(1.39MB)  雨の日の郵便屋さん(3.68 MB)






09/01/04   「未練」

朝起きて、新聞のおくやみ欄に目を通す。
今日も近かりし人の死に目を通し、家を出る。
人間が他の動物と違うのは自分がいつか死ぬということを知っていることだと、何かで読んだ。
あたしもいつか死ぬ。
そんなことは当たり前だと、ずっと思っていた。

学校はいつもと変わらなかった。
あたしは一番後ろから教室全体を見渡して。
退屈だった。
気づけば放課後、いつも通り美術室へ行く。

「ねえ、あんたさぁ」
彼は黙々と鉛筆を走らせる。
「それずっと書き続けてるけど、いつ終わるの?」
真剣な眼差し。
「あたしの声は届かないか」
まあ、いいんだ。
あたしは眺めてるだけで楽しいから。
「もう冬だねー」

ふと、校庭の隅に向かい合う男女の姿が見えた。
その二人の表情がとても幸せそうで、とっさに目を逸らした。

「あんたさぁ、好きな人とかいる?」
彼は答えない。
「あたしは、いたと思う。すっごく大切な人」
心地良い鉛筆の音。
「憶えてないんだけどね。気づいたらこんなんなってたから。
 人っていつか死ぬ、だから精一杯生きようとかさ、そういうのに気づくのって
 大概自分の周りの大切な人がいなくなってから気づくんだよね。
 あたしもそうだったのかなぁ。自分ではなんでまだここにいるのかわからなくってさ。
 で、なんでだろーなーって考えてみて、何か未練があったりするからあっちにいけないのかなーとか」
彼は手を休めない。
「おーい、ちゃんと人の話聞けよー。……なんてね」

そのキャンバスに向けてる眼差し、ほんの少しでいいからこっちに向けなさいよバカ。


09/01/01   「リセット」

「ねーえ!あたし、本当に忘れちゃうの!?」
「ええ!残念ですが!」
「ちょっと待ってよ!まだ聞きたいこといっぱいあるのに!」
「すいません、僕も時間がありません!あなたの力は徐々に弱まり、ある日突然消えてしまいます!」
「そんな…!」
「でもご心配なく!力が消えてから24時間後、あなたは今まで使えていた力の記憶を全て失います!
 つまり、普通の人間に戻るのですよ!」
「待って!あたし忘れたくないよ!確かに辛いことの方が多かったけどさ!
 でも、楽しいことだっていっぱいあったし皆といっぱい笑ったりしてさ!そういうの忘れたくないよ!」
「これは運命です!僕があなたにお会いした時から、全て決まっていた事なのです!
 ああ、もう行かなければ!それでは!」
「ちょっと待っ」





人に言えない自分だけの秘密。
そういうのをね、あたしも持ってたと思うんだ。
初恋のどきどきって言うのかな、切なくて苦しくて、でもすっごく愛おしい感情。
何だか思い出せないけど、そういうの。
ずっとずっと、思い出せずにいたの。

さっきね、こたつでぼんやりテレビを見ながら、ああもう年越しかぁなんて思ってた。
年が変わった瞬間思い出したの、全部。
なんでかは分からない。
でも、すぐに分かった。
これも運命ってやつなんだって。


もう一度あえて嬉しい。今は、何も言わずこのままで。

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