溝の口(神奈川) 喜楽里(きらり)

湯に行って最近つくづく思うのは、人間が汚らしいということだ。

人のことを言えた義理ではない。それは重々承知の上で勝手なことを言わせていただくけれど、筋骨隆々たる偉丈夫に湯で会ったことがない。若いのは、日陰の蔓草のようにひょろひょろしている。中年は、だらしなくぶよぶよしている。老人は、残骸だ。

何をもって美しいとするか? 私はボディービルダーの造り上げた筋肉を美しいとは思わない。しかし、無駄な脂は無いほうがよかろう。筋肉や骨格の様子もさることながら、姿勢というのは美しさのポイントだろう。立居振舞の美しさ。それを実現するには品性とか知性とかも必須だろう。

多くの作家が人間の身体の美しさを求め、いろいろな人物を書いた。男は、だいたい、女を描いて悦に入っている。永井荷風、志賀直哉、谷崎潤一郎以下、みんな、見たことのない理想を追い求めて書きまくった。いい女に出会うのは、小説を読む楽しみのひとつだ。

中には男の身体の美に執着する作家もいる。誤解されると困るが、男だって美しい方がいいという考えに、私は賛成だ。三島由紀夫の描いた美男に湯で会ったらぞっとするだろう。池波正太郎も相当なものだ。私は、池波さんの書いた「剣客商売」の秋山小兵衛なんて、もう初老のはずだが、きっと男の美の粋のような身体だったんだろうと思っている。

だけど、そんなのは、いない。
男湯には、いない。
女湯をのぞくわけにはいかないが、男湯の体たらくから察するに、いないだろう。
ヴィーナスやアポロがいないのは分かるけれど、現実は、いくらなんでもひどすぎないか。飽食の時代、我儘勝手し放題の世の中、きたならしい人間がうごめいている。服を着ていれば多少のごまかしは効くが、湯では、そうはいかない。ああ、いやだ。

今日のご紹介は、溝の口。職場の近くである。
仕事を抜け出して行ったことは、まだ、ない。
仕事前に、そっと行ってから学校に出たことは何度かあるが、一度も「湯に行ってきたでしょ!」などと言われたことはない。湯上りであることが学校でバレないように威厳を作るくらいの芸当は、造作ないことだ。

ここは「中学生以下お断り」である。こういうのは、気に入らない。子供より、身体を拭かずに脱衣所に戻ってくるばか者を退治する方が先だろ。

洗い場の水圧が弱いのは、大変、よくない。
水も湯も、じゃあじゃあ出てくれないと、ストレスになる。
湯に行ってストレスを溜めるようでは、合わない。

でも、中はきれい。ごろ寝ができる畳の無料休憩室があるのはうれしい。岩盤浴は人気のようで、午前中に行っても何人も時間を待っている。黒っぽくて、少しぬめっとする温泉。

勝手な評価 = = =×
溝の口(神奈川) 喜楽里(きらり)

清潔感、建物のデザイン・広さ
お風呂

その他の情報

料金 平日750円 再入浴可。
一般的な設備、岩盤浴、マッサージなど。レストランあり。
所在地 川崎市高津区千年1068-1
044-741-4126
溝の口駅
(あるいは洗足学園前から!)川崎市営または東急バス、橘小学校下車すぐ。
http://www.kirari-net.jp/mizoguchi_top.html

トータル(最高は★★★★★)
★★★

●湯三昧のもくじへ●