ビストロ・コクーン

私は、地元の店に、あまり行かない。人によっては、仕事帰りに最寄り駅に着くと、もう一軒ひっかからないと気が済まないというのがいるけれど、そういうタイプではない。うちに居れば居るで、冷蔵庫をひっかき回せば、だいたい何かにはありつけるから、わざわざ近所へ出かけようとも思わない。

家族で外食? ご免蒙りたい。貧乏のせいもあるが、行儀の悪いチビ3人に我儘な年寄りまでいる。とてもじゃないがモノを味わうなんて雰囲気にならないから、イヤだ。

でも、今日は、うちに居るのはかみさんと一番下の子だけ。そんなら、というわけで、珍しく近所へ昼を食べに出かけた。

家の周りには結構食べ物屋がある。徒歩1分にはチェーン店のファミリーレストランがあり、5分圏にラーメン屋が3軒。結構評判のフランス料理とイタリア料理がそれぞれ1軒、こんない田舎にと驚くほど多彩な洋酒が揃っているショットバーが1軒…。こうしてみると、少しは食べ歩きに興味を持ったほうがいいのかなぁ。

今日行ったのは、パスタとコーヒーの店「ビストロ・コクーン」は、うちから徒歩3分。

ここはかつて超安物の服ばかり売る店があった。いくらデフレの世の中とはいえ、100円の短パンとか1000円のジャケットとかには驚いたものだ。もともとどこかの倉庫で、ガランとした空間に所狭しと服がぶら下げてあった。

話がそれるが、土地には、ほんの隣同士でも、儲かる土地と儲からない土地があるようだ。この場所は、結構人が寄り付く。安物屋はえらく繁盛していたように見えたが、数年でなくなり、その後にはイカサマ集団が入った。年寄りを集めて催眠商法をやっていたのだと思う。週に何回か胡散臭い背広の男たちがうろうろすると、どこから湧いてくるのか年寄りが大層集まっていた。動員する悪質なマニュアルがあるんだろうが、それにしても、人が集まっていた。もっとも、そんなモノが、一年もあるわけはない。その後に出来たのが、「ビストロ」である。

土地のご利益か、人は入っている。特に昼どきは、かなりの人気のようだ。

建物は、お世辞にもいい外観とはいえない。真っ黒い建物。むき出しの鉄骨や壁には黒い木の板が沢山打ち付けてあり、それに白い字で、一杯のコーヒーの幸せがどうだの、桃栗三年ゆで八分だの、悪趣味な文言が書きなぐってある。しかしそこは百歩譲って我慢しよう。店内は実にお洒落にできているのだから。うちの子は潜水艦みたいだと言ったが、店の名前にちなんで、白くて丸い内壁は繭なのだろう。それを引き立たせるための悪いしゃれだと思おう。

料理は旨い。パスタ類は、ペペロンチーノもトマトソースもクリームソースも、とにかくソース作りがうまい。どれもやや濃いけれど、性格がはっきりしている味は、私は好きだ。いかにもイタリアンらしい鳥の丸焼きはこんがりと美味だったし、つけ合わせの野菜を揚げたり焼いたりという腕も大したもの。それに、量が多めなのも、嬉しい。

名物は、大樽からパルメジャーノチーズを好きなだけ削ってかけていいパスタランチだそうで、これは毎日先着30人前だそうだ(11:00から)。うまそうなワインも置いてあった。昼でこの味なら、一度ディナーも来てみようと思うに十分。

店のチラシには「Bistro Cocoon」とあるから、これが正式店名なのだろう。同じ越谷市内に「ゆであげスパゲティーと手づくり珈琲 ビストロ」という店が三店舗あり、そのチェーンだそうだ。店独自のHPは無い。
営業1100−2300、無休。
越谷市赤山町3−1−4、048−963−4220。
お財布の目安…今日の勘定はかみさんと私がたらふく食って、子供がお子様セットをたのんで、5000円でおつり少々。夜でも、パスタだけなら1000円以下のものもあり。

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