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北綾瀬 横浜ラーメン武蔵屋
以前、「青木亭」のことを書いた。その時、「こういうラーメンは作り手によって味が違う気がする」と書いた。贔屓は、若い店長だ、とも書いた。
その店長は、S氏という。仕事中に愛想よくお客としゃべるような人ではないが、それでも、何度も通っていれば何となく顔見知りの感覚になる。ある時、彼は、「草加をやめて、これからは同じ青木亭の新松戸にいきます。長い間ありがとうございました」と挨拶してくれた。
たかがラーメン、されどラーメンとは、伊丹十三監督の、ラーメンブームを扱った風刺のきいた映画、「たんぽぽ」の科白じゃなかったっけ。私は「味がわかる」なんて口が裂けても言えはしないけれど、どうせ食べるなら、気に入ったものを食べたい。だからそれからは、たまに食いたくなると、わざわざ新松戸まで足を運んだ。

人気店の草加に比べて、新松戸は大変だった。場所のせいか、客も少ない。味は申し分なかったのに、さびしい思いがした。それでも、「おかげさまで、だんだんお客さんも増えてきました」というくらい頑張っていたのに、去年の夏前、「青木亭をやめる決心をしました」と聞かされたときは、驚いた。やめてどうするの、と聞くと、自分にはラーメンしかありません。将来は自分の店を持ちたいですが、とりあえず、知っている店に雇っていただくことにします、店を任されるようになったらご連絡します、という話。名刺を渡して、がんばれよ、と言って別れた。
しばらく音沙汰無く、どうしたかな、と思っていたが、今年の1月、嬉しい電話をもらった。「覚えていらっしゃいますか? 青木亭にいたSです。雇われ店長なのですが、新しい店を任されました。よろしかったら来てください」
喜んで行ったのは言うまでもない。「武蔵屋」は有名なチェーンだそうで、味は、濃い。私のようなおじさんは、少し薄味にしてもらう。有名なせいか、開店間もないのに、次から次から人が入っている。
久しぶりに会って驚いたが、S氏は痩せた。深夜0時までやって帰るのは朝3時ごろ。2、3時間寝て、11時の開店に間に合うように店に出るそうだ。でも、表情は晴れ晴れしていて、しゃきっと麺を仕上げ手早く具をのせる手つきには活気が漲っている。店の若い子たちも、店長の感化だろう、精悍で、見ていて気持ちがいい。
体に気をつけて、無理するなよ、と言ったが、心配ないだろう。
この一本気な男を、みなさんも応援してあげて下さい。
横浜ラーメン武蔵屋 北綾瀬店
千代田線北綾瀬駅から約5分。
環七「綾瀬警察署前」(首都高加平出口そば)を綾瀬方向に曲がって、すぐ。
駐車場はとなりの「牛丼の松屋」と共有。
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