〜はじめて印刷物をつくる人のために〜


-序文-
現在、わたしがメインで制作しているのは、平面のグラフィックス、つまり印刷物です。
世の中に印刷物は、名刺からCDジャケ、ポスター、レストランのメニューといろいろありますが、その仕組みは基本的に同じです。
個人で印刷物をつくる機会といえば年賀状くらいで、仕事でかかわっていない限り、印刷物の仕組みについて知らないのが普通です。
でも、何かの折りに印刷物をつくる必要があるかも知れません。急に仕事で担当になり、どうしていいかわからないということもあるかも知れません。
実際、時々、「印刷物をつくったことがないので、まったく何もわからない」という方から仕事の依頼があります。
もちろんデザイナーはプロですから、まかせて大丈夫なのですが、依頼される方も、印刷物の仕組みについて少しでも知識があれば、わからなくて不安になるということもなく、コミュニケーションもよりスムーズにとれるのではないかと思います。


<第1回>単色印刷と4色印刷

●印刷物とは

平たくいうと、大量に同じ情報を複製することです。現在は、そのための技術が発達し、多様になっています。紙だけではなく、布やプラスチックなどにも印刷ができます。
お手持ちの雑誌やチラシを虫めがねでよく見ると、点々が見えてきます。印刷物はインクの濃淡によって表現されていて、濃い部分は大きな網点(あみてん)、薄い部分は小さな網点で構成されているのです。印刷物とは、点の集合体なのです。雑誌やチラシは「オフセット」と呼ばれる方式が主流です。この方式は網点がはっきりしているので、よく見ると肉眼でも点になっているのが見えます。

●基本の4色

HPの他のページで少し触れましたが、一般にカラー印刷と呼ばれているのは「4色印刷」のことです。「4色」とは、印刷物の基本となる4色のインクの色を指します。すなわちY(イエロー)黄色、M(マゼンタ)、C(シアン)、BL(ブラック)スミ・黒です。この4つの色を組み合わせることによって、あらゆる色を作り出しているわけです。プロセスカラーとも呼ばれます。
例えば、Y=とC=をかけ合わせてをつくります。YとCの度合いを調整して、思い通りの緑にします。絵の具を混ぜ合わせるのと同じです。CMYを色の三原色といい、これらを同比率で混ぜ合わせると、黒になります。これを「減色混合の原理」といいます。
では、なぜ、3色印刷ではなく、4色なのかというと、三原色によってつくられた黒は、黒ではあるけれども、くっきりとしたクリアーな黒ではないので、印刷したときにボーっとした印象になるからです。それを補うためにBL=スミ(黒)のインクを加えます。スミ=墨、BLはKと書く場合もあります。
写真が好きで、デジカメを使っている方は、ご存じかと思いますが、撮った写真をコンピュータなどで各カラー別に調整できますね。もともと自然色のものをそれぞれのカラーに分解したわけです。印刷物も同じで、基本4色に分解して、それぞれのカラー別にどのような濃淡で印刷するのかを指定するための版をつくり、刷り合わせるのです。
余談ですが、コンピューター上でよく使用される色の分解は、B(ブルーバイオレット)青紫、G(グリーン)、R(レッド)で、光の三原色。重ね合わせると白になり、これを「加色混合の原理」といいます。

●1色の印刷

4色印刷で、それぞれの色の濃淡を指定する版をつくると述べました。単色の場合は、これが1版でいいわけです。この版で、どんな色のインクで印刷するかを指定すればいいのです。色の指定は、YMCKのかけ合わせで指定するのではなく、各インク会社が出している色見本帳のナンバーで指定します。もっともポピュラーなのは、大日本インキのDIC Colorです。

●その他の多色印刷

2色印刷=ふたつの色で印刷します。例えば、DIC196(濃い赤)とDIC568()のかけ合わせにすると、薄い、薄い赤であるピンク、混合のオレンジなどが使用できます。
3色印刷=同様に3つの色で構成します。
特色による4色印刷=プロセスカラーではなく指定の4色による印刷。
色の指定は金や銀、また他の特色もできます。プロセスカラー+蛍光ピンク(特色)などの指定では、5色印刷となります。さらに増やすと6色、7色と増やせます。ただインクの数が増えると印刷代がそれだけ増えますし、特殊な色はインク自体が高いので、予算によって使用するインクを選びます。


第2回以降、実際に印刷物をつくる手順と印刷コストについて触れていきたいと思います。

このコーナーをお読みになったご感想やご質問をメールまたは掲示板にお寄せください。
また、わかりにくい箇所などがありましたら、お知らせください。改善していきます。

 ●もくじへ●