応用 @ 磁石の小部屋


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応用

 磁石の応用について、「モータ用磁石」、「永久磁石モータ」および「リニアモータ」の観点から説明する。

モータ用磁石

 ここでは、モータ用磁石について、製造工程、形状による比較を説明する。

m12.jpg磁石の製造工程
 モータに用いられる磁石には色々あるが、ここでは、Nd-Fe-B系の焼結磁石、MQ3磁石、ボンド磁石を取り上げる。
 焼結磁石の工程のポイントは成形と焼結である。これらと組成によって磁気特性が決定される。
 MQ3磁石の工程の特徴は、成形が室温成形,ホットプレス,熱間後方押出と3工程もあることである。特に熱間後方押出は配向工程でもあり、磁気特性を左右する重要な工程である。
 ボンド磁石の磁気特性は、成形工程のみで決定すると言っても過言ではない。成形には、圧縮,射出,押出と言った成形方法がある。


m14.jpg磁石の形状による比較
 モータへの応用と限定した場合、磁石の形状はブロック(直方体)、セグメント(瓦状、C型)、リング(円筒)となる。
 適用するモータによって磁石形状は異なるが、技術の進歩やコストの推移によって変動していくものと考えられる。


m22.jpgブロック形状磁石
 ブロック形状の場合、成形法として縦磁場成形と横磁場成形とがある。
 横磁場成形の方が高い磁気特性が得られるが、各々にデメリットがある。


m24.jpgセグメント形状磁石
 セグメント形状の場合、同じ仕様で磁石を作製しても、モータ特性に大きな差が出ることがある。
 これは、成形金型に起因する磁場配向の違いによるもので、強磁性体の成形金型ではラジアル異方性となってしまい、磁石の表面磁束が台形波状となりコギングトルクの増大の要因となる。
 成形金型に非磁性の材料を上手に使いこなすことが有効であるが、使い方に問題があると、疑似ラジアルと呼ばれる配向状態となり良くない。


m26.jpgリング形状磁石
 異方性で比較すると、ラジアル異方性のものが多く用いられている。極異方性の方が表面磁束のピーク値が高く、波形も正弦波に近いなど有利であるが、製造上の制約もあり注意が必要である。


永久磁石モータ

 ここでは、永久磁石モータについて、分類や構造、ロータ構造などを説明する。

p12.jpgモータの分類
 モータを分類すると、代表的なモータは、直流モータ、誘導モータ、同期モータとなる。
 磁石を搭載したモータとしては、直流モータ、ステッピングモータ(PM型とHB型)および永久磁石型同期モータがある。


p14.jpg永久磁石モータの構造
 直流モータは、歴史的に最も古く、単純かつ安価で、制御性の良さもあり、現在最も多く使われている。その原理は、磁界中のコイルに働く電磁力により説明できる。しかし、機械的な整流機構(整流子とブラシ)があるため高速回転ができずメンテナンスも必要で、小型・軽量化にも限界がある。
 永久磁石型同期モータは、コイルを配置した固定子の内側に、永久磁石からなる回転子を配置している。固定子が作る回転磁界に吸引・反発した回転子が同期した速度で回転するため、同期モータと呼ばれる。


p16.jpg各種モータの特性比較
 同期モータ(SM)である永久磁石モータ(永久磁石同期モータ;PMSM)は、永久磁石を配置している回転子が、固定子側の回転磁界に吸引・反発し、同期速度で回転する。永久磁石を回転子表面に配置した表面磁石モータ(表面永久磁石同期モータ;SPMSM)では磁石トルクだけであるが、回転子内部に永久磁石を埋め込んだ埋込磁石モータ(埋込永久磁石同期モータ;IPMSM)では、リラクタンストルクも有効に利用するため、効率やトルク/電流特性を著しく改善できる。


p22.jpgロータ構造の推移
 表面磁石(SPM)構造と磁石埋込(IPM)構造の代表的な構造の推移を示した。
 磁石の高性能化により、SPM構造では、ギャップ磁束密度を大幅に高めてきた。磁石の投入量も低減されている。
 一方、IPM構造では、ギャップ磁束密度を保ちながら、ロータ構造(磁石の配置)の工夫により、リラクタンストルクなどのモータ特性を変えることができるようになってきた。


p24.jpg多様なロータ構造
 永久磁石モータは、大きくは表面磁石(SPM)構造と磁石埋込(IPM)構造に分けられるが、そのロータ構造は多種多様である。
 一般にSPMではリラクタンストルクを利用しないが、構造の工夫によりリラクタンストルクを活用できるロータ構造もある。
 IPMにも多数の構造があるが、様々な工夫により、ギャップ磁束密度を高めたり、リラクタンストルクを高めている。


リニアモータ

 ここでは、永久磁石モータについて、リニアモータを回転型モータと比較して説明する。

p32.jpg回転型とリニアモータ
 永久磁石型リニアモータも、磁石とコイルに発生する移動磁界の吸引・反発力を利用し、同期速度で直線運動する。


p34.jpgリニア駆動の特長
 直線運動の駆動方法としては、リニアモータによる直接駆動の他に、回転型モータとボールねじなど回転直線変換機構との組み合わせによる間接駆動があり、長年多用されてきた。
 近年、リニアモータ駆動の特性が向上したことから、ボールねじ駆動では得られないリニアモータの特長をいかし、市場が拡大している。例えば、清浄性、等速安定性、メンテナンスフリーを武器に半導体/液晶製造における露光装置に、高加速性、静音性、長ストローク対応をいかして電子部品実装機に適用されており、その分野も広がっている。


p36.jpgリニアモータの種類
 代表的なリニアモータには、コアレス型とコア付き型とがある。
 コアレス型リニアモータは、以下の特長を有する。
  (1) コギングが原理的に発生しない。
  (2) 薄型形状が可能である。
  (3) 電機子(可動子)が軽量である。
 コア付き型リニアモータは、以下の特長を有する。
  (1) モータ効率が高く、高推力である。
  (2) 電機子と永久磁石に磁気吸引力が働く。