耐食性
磁石の信頼性評価項目のひとつに耐食性がある。つまり、化学的な安定性を意味している。特に、ネオジム磁石においては、深刻な課題として開発当初から問題視されており、未だに抜本的な解決策は見出されておらず、表面処理によって対応している。
磁石の耐食性
ここでは、Nd-Fe-B系磁石の耐食性について、構成相、腐食機構、表面処理を説明する。
Nd系焼結磁石の構成相
ネオジム磁石の組織は、主相および粒界相であるBリッチ相とNdリッチ相の三相から構成されている。
塩素イオンの存在下では、Ndリッチ相>主相>Bリッチ相の順番で腐食され易いことから、耐食性に最も重要な役割を果たしているのはNdリッチ相である。Ndリッチ相は非磁性相で磁気特性には寄与しないが、磁気特性や耐食性,機械的特性に大きな影響を及ぼしている。
主相の腐食は赤褐色であることから目立つが、Ndリッチ相の腐食は外観上は目立たないが進行することからその影響は深刻である。
Nd系焼結磁石の腐食機構
腐食は表面のNdリッチ相から始まり、主相を包むNdリッチ相に沿って腐食が進行していく。Ndリッチ相に不働態膜は形成されないため、腐食はどこまでも進行し、結晶粒が脱落することによって磁気特性が大幅に低下する。
Nd系焼結磁石の表面処理
樹脂塗装は膜厚が厚い傾向にあるが、その分磁石の割合が少なくなる。
アルミクロメートは対応製品重量が20gまで。
耐食性は、恒温恒湿試験(例えば80×90%RH)では樹脂塗装は劣るが、塩水噴霧試験やプレッシャクッカー試験では樹脂塗装の方が優れる。
寸法精度はスプレー樹脂塗装が悪く、無電解ニッケルメッキが優れている。ただし、無電解ニッケルメッキはコストが高くなる。
他にも製品形状などによって得手不得手があり、目的に応じて選択する必要がある。
