製造工程 @ 磁石の小部屋


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製造工程

 磁石の製造工程については、教科書やカタログなどで言葉やイラストなどで説明されているが、多くの人にとってイメージしやすいものではない。
 そこで、希土類磁石の製造工程に「見える化」を施した。

紹介している工程や装置は、必ずしも正確ではありません。様々な理由より、意図的に省略や創作などを施しています。

溶解・鋳造・急冷

cast1.jpg 原料を秤量して坩堝へ入れ、高周波加熱などで原料を溶解する。
 希土類金属が酸化しやすいことから、真空や不活性ガス雰囲気中で溶解されることが多い。


cast2.jpg 溶解された溶湯は、金型へ注湯し、合金を凝固させる。
 合金を凝固させる速度を制御するため、金型の材質や冷却容量を替えたり、水冷金型を用いたりする。


cast3.jpg 金型で凝固した合金は、次の粉砕工程に移される。


cast4.jpg 合金の凝固速度を高め、結晶組織の微細化を図るため、回転するロールで冷却することもある。
 ロールは銅製であることが多く、焼結磁石用合金の場合には双ロールが用いられている例がある。


cast5.jpg さらに凝固速度を高め、アモルファスまたはアモルファスライクな超微細組織にする場合は、超高速回転させた単ロールを用いる。
 得られたリボン状の合金は、MagneQuenchなどの急冷タイプ磁石の原料粉末となる。



粉砕

mill1.jpg 粉砕工程は、主に粗粉砕微粉砕に分類される。
 粗粉砕にはいろいろあるが、ジョークラッシャを例に挙げた。固定ジョーと可動ジョーがV字型を形成し、可動ジョーを楕円運動させることにより、投入した試料を押し潰し粉砕する。


mill2.jpg 微粉砕にもいろいろあるが、ボールミルを例として取り上げた。ポットの中に、ボールと試料、溶媒などを投入し、回転台の上で回転させることにより、ボールとポットの壁、またはボール同士の衝突の際に試料が微細に粉砕される。量産では、より粉砕能力のある振動ミルやジェットミルなどが用いられる。


成形

press1.jpg リング磁石の圧縮成形を例に取り上げる。
 リング磁石の圧縮成形におけるダイセットは、ダイ、コア、上パンチ、下パンチから構成される。


press2.jpg 下パンチを下げ、できた空隙に粉末を給材する。
 磁界中成形の場合は、上パンチで蓋をする状態にし、磁界を印加する。


press3.jpg 上下のパンチで所定の圧力を加え、成形体とする。
 片方のパンチだけで加圧することを「片押」、上下両方のパンチで加圧することを「両押」と呼ぶ。
 磁界中成形の場合、磁界を印加したまま加圧し、加圧したまま脱磁を施しておく。


press4.jpg 上パンチを外し、下パンチで押し出して、成形体を取り出す。
 多くの場合、成形体は機械的強度が低いため、取り扱いに注意する。


機械加工

cut1.jpg 磁石を焼結ままの状態で使用することは稀であり、機械加工工程を経て、使用される。ただし、ボンド磁石の場合は機械加工を省略することが多い。
 外周面にダイヤモンド電着させたディスクを回転させ、磁石試料を切断する。焼結磁石は脆いため、切断速度を如何に高めるかがポイント。


cut2.jpg 一方、内周面にダイヤモンド切断刃を付けて、切断することもある。シリコンウェハの切断で多く見られる方法である。


cut4.jpg 磁石試料の表面の加工には、研削が用いられる。これは、磁石試料の脆性のため、金属加工で一般的に用いられる研削方法が用いることができないためである。円柱や円筒形状の表面加工にも同様に研削が用いられる。


cut3.jpg ブロックからリング形状に加工する例を示した。現実にはコストの面から、最終形状に成形・焼結するニア・ネット・シェイプ加工することが多い。


着磁

magz1.jpg 着磁工程は、磁石にとって最も重要な工程である。
 最も単純な着磁が2極着磁である。静磁界による着磁は、磁極を有する電磁石で得られる。


magz2.jpg 多極着磁は、パルス磁界によることが多い。
 内周着磁も同様に施される。


magz3.jpg より微細な着磁の場合、1ターンコイルによる着磁ヨークが用いられる。
 さらに微細な着磁が必要な場合は、着磁ヘッドにより1極づつ着磁する方法もある。