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INTRO.
『はじめて来てくれた誰かさんへ』
東京〜1995年〜Bali/Ubud村〜現在
夏の中に住んでしまう、ということ。
ようこそ、Sonic/Slow
Steppersたち。
はじめての誰かさんも。
そうでない誰かさんも。
まだ、帽子をえらんでいるの?
ぼくは帽子をかぶって座っています。
帽子はあまり似合わないのですが、旅行者のようですきなのです。
さて、古い話なのですが、1984年の新宿のCoffeeShopのことから話さねばならない、と思うのです。
夏のはじまる頃だったかも知れません。
ぼくはアート.シアターという、アンダーグラウンド.フィルム専門の小さな小屋へ「アンダルシアの犬」を観に行った帰りに、友人とばったり路上で出くわしました。
そして何処か適当なCoffeeShopに一緒に入ったのですね。
いまでは名前も忘れてしまったそのひとはBaliから帰ってきたばかりでした。
いや、、ぼくがBali帰りだったのかも知れません。
これがどうしても想い出せないのです、薄いカーテンの向こう側にあるような朧な記憶。
外は明るい陽が射していそうだけれど、記憶の廊下はぼんやり暗い。
季節は夏。
雨戸はたてられているけれど、朽ちた裂け目からの陽光の幅だけの埃のブラウン運動に、纏まりそうな記憶も撹乱されて消えてゆく、、
まぁ、それはともかくも、Baliの話をたくさんした筈なのですが、なにも憶えていなくて、
KingCrimsonの話をしたことだけを憶えています。
その年の6月に僕ははじめてBali島へ行ったのですが、それ以来、ぼくの裡に住みついた夏と熱帯の音楽は、何処で秋や冬や春を迎えようとも、出て行くことはありませんでした。
その「夏」を確認したくて、何度も何度もそれから訪れました。
そして1995年にBaliへ移住することにしたのです、そして今もUbud
村というところに住んでいます。
あの日の新宿から、長い長い夏の廊下、が始まっていたのかも知れません。
ところで外は激しい熱帯の雷雨、、ぼくは夏の廊下でまだうずくまっている。
ひとりぼっちで旅をしているときの食事は、きみを傷つけるかもしれないね。
レストランの賑わうテーブル、楽しそうなひとたち、、でもね、頑張って旅をしてみること。
Have A Nice Trans !
では、Transって?
いや、Tranceなのかな?
辞書を引いてみましょうか。
まず、Trans。
いくつかの意味があるけれど「向こう側へ、別の場所へ」 では、Trance。
「夢うつつ」「恍惚」か、、どちらでも。
流れる時間にドットを打ち込み、そこから垂直に屹立する記憶や体験こそが「旅」なのだと思います。
時の奔流に流されない丈夫な杭。
ところで、どんな旅でもかならず帰ってこなくてはならないでしょ。
その帰って来る場所をより良いものにするのが旅、、そう考えています。
旅を終えて、帰ってくるたびにどんどん自分の場所が豊かになってゆく、、
帰ってくるための旅。
ぼく、michiro-U.の音楽もそのことをとても大切に思っています。
時を「越えて/Trans」して欲しい、とか、とても短いけれど印象的な旅になって欲しい、とか。
そして旅から帰った誰かさんの場所が、幸せなものになってゆくことを願っています。
ぼくの旅は95年に旅立って以来、生活の時間は此処ウブド村で流れています。
ぼくの音楽はウブド村の自宅スタジオやデンパサールのデジタルレコーディングスタジオで録音されたりしています。
けれど音楽を作ったり演奏したりする時、自分は本当は何処にいるのだろう?と考えることがあります。
そこは「旅から帰って来る場所」と同時に「旅の時間」でもある独特の場所、と言えるのですが、結局は自分自身が帰って来る場所のために、その旅/音楽、を続けているのだと、最近はそう思うようになってきました。
『ところで旅の快感は自分を見失うことにある。
旅はさ、とくにそれが独りだったりすると、その第一歩からもうなにか浮き足立って自分を見失っているようなものでしょ、、だから、それにつれてどんどんいろんなものが失われやすい、、
どんどん捨てて、失って、色んなものがなくなって、剥がれ落ちて、そして残るのは結局自分自身でしょ。
そういう自分が、旅から帰って来た場所で、ある日、ふと気付くのではないだろうか?
あ、これは「自分?」とか、あ、あのときのアレが自分だったのか、、とか。
その時間の熟成はひとそれぞれだろうけれどね』
で「Sonic/Slow」
このふたつは相反するもの、ですがぼくの中では常に同時に存在する感覚なのですね。
超高速でありゆっくりであるもの、若しくはその逆のもの。
止まっているように見えるくらいゆっくり、でもその薄皮の向こう、皮膚一枚下、または水面下、超高速で運動するもの、とか。
若しくは近づいてみると超高速、けれど、離れて全体を見るととてもSlowなもの、、とか。
若しくは空気で言うと、ソロCDに付けようと思っていたセルフライナーから、、
『NewSonicBamboo
はじめて聴いてくれる誰かさん。
Bali/Ubud村のぼくのホームスタジオは外との空気を特に遮断しているわけではありません。
ですから此処の空気はこの音楽の一部分になっています。
音楽は空気を振動させるための信号に一旦変換されていますが、あなたの音楽を聴く場所のなかへ再び空気として還元して欲しいな、と。
それがうまく混じりあったら「誰かさんたち各々のその時その場所」の受信状態にとても興味があります。
もちろんもともと大気は繋がっているものですけれど、距離は一瞬で縮まりますよね「聴く場所」と「作った場所」の空気同士が一瞬で混じりあう、、Sonic、けれどそこはそれ、音楽ですからね、
じゃあSlow、、
Sonic/Slow
5音階のBamboo Xylophoneとプログラミングされたリズム、そういう制約、ベーシックはね。
そこからはじめた音楽なのですが、
次々とたくさんの楽器を飲み込んでいってくれました、
あらかじめ頭のなかで組み立てていったもの以上のことが加味されてゆくことに驚きながら、
作業を進めました。
そう、そこから広がる世界はとてつもなく広かった、そういうことです。』
それでは!
どうぞ、ようこそ此処へ。
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