舞子さんありがとう
片桐舞子さんのサイトバブルの逆襲が7月20日に閉鎖されました。とてもショックで残念だけど、でも、それもしかたないなあ、と思います。いずれ閉鎖されるだろうと思っていたけれど、思っていたよりも早すぎた感じです。でも、ずるずる引きずるよりも、早めにさっと身を引くほうが、舞子さんらしくて、いさぎいいのかも。
サイト閉鎖の理由は、そのトップページに書いてあります。舞子さんの気持ち、よく分かります。ストレス解消に公開をはじめた日記が、でも、今度は書くことのほうがストレスになってしまうということ、それって、確かにありますよね。
ボクなんか、匿名といっても、別に実名が分かったからって、たいした実害はないし、だいいち、知人にでも強制的に見させなければ、見てくれる人もいないから、自分で宣伝したりしてますけど、舞子さんの場合、匿名ということはぜったいに守らなければならない条件だから、そこが危なくなったら、どうしようもないですよね。お客さんの悪口なんて平気で書けなくなったら、おしまいですもんね。
ネット社会の有名人になってしまったから、有名税としてのプライバシー侵害が起こるのはどうしようもないことだと思います。ネットの世界は、一応のルールはあるけれど、そのルールそのものがどこまで通用するか分からない危ない世界だから、舞子さんが、自分を探さないで、って言っても、その気持ちをわかってくれる人ばかりじゃない。探さないで、と言われれば、それだけかえって探すことに情熱を傾けるような男が出てくることは当然考えられます。ストーカーは犯罪になるけれど、匿名の正体探しは、いやらしいことだけれど、犯罪になるわけじゃないじゃないですから。
そこがネット社会の危ないところですね。不特定多数に公開するから、どんなやつが、どんな気持ちで見ているか分からない。しかも、直接対面しない分だけ、自分勝手な妄想を増幅させることもありうる。ネットって、対話が成り立つみたいでいながら、実はその対話自体がバーチャルの中に取り込まれて、自分の中で閉鎖されるから、おかしな偶像に膨れ上がっていってしまう。それに性的な妄想が入り込むと、これはぜったいヤバイ。
本を出したことも大きな転機になったみたいですね。本というのは、ネット上のホームページと違って、もうちょっと大きな社会的な責任がついてきます。ネットならば、いつでも消したり、修正できるけれど、いちど本にしちゃうと、取り消しがききません。舞子さんの本だって、国会図書館に入って、永久保存されるんですよ。
ネット上は匿名が当たり前だけど、本には固有名が貼りついて、その意味ではどこまでも古典的な世界。まれに覆面作家なんていますけど、それはきわめて例外で、それも一時の売りのためで、やがてはどこかで作者がバレて当然みたいなところがあります。ネットの裏社会と違って、表の社会だから、その影響力もずっと大きなものがあります。
まあ、安直な本も多くて、粗製濫造でたちまち消えちゃうようなものもあるから、そういうものならば、本にしても気楽なものだけど、でも、『バブルの逆襲』は、いまどき珍しいくらい丁寧に手間暇かけた仕事で、本当に完成品と言っていいできばえです。これだけのものを出しちゃうと、それで一段落ということになっちゃいますよね。それでいいんじゃあないですか。
ネットで書きつづけているうちに、自分が変ってくるのは当然です。それでストレス解消して、精神的な危機を乗り越えたのならば、それで十分です。そして、もうその意味がなくなれば、何も続けなければならない社会的責任なんてない。別に人に奉仕するためのサイトではないんですから。
続けていると、だんだんマンネリ化するところもありますしね。ボクも1年半続けてみると、何となく収拾がつかなくなってくるみたいなところがあります。
これから舞子さんはどうするのかな。まあ、そんなこと考えてもしかたないことだけれど、お金もだいぶ溜まったみたいだから、いまの仕事を切り上げて、なにか事業を興すとか(ネット関係の?)。大学はいって勉強するのもいいよ(これは手前ミソ)。何十年も経って、「実は自分は若いころ片桐舞子としてネットで活躍していました」なんて、思わぬ女性が告白したりしてね。そうしたら、楽しいね。
舞子さん、お疲れさま。そして、有難う。ずっとずっと元気でね。
さよならはいわずに別れよう、なんて、ちょっとカッコウつけすぎかな。
2000.7.25