こんな本読んだ2006

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12月1日

柴田よしき『ふたたびの虹』(祥伝社文庫、2004)

 久しぶりに書きます。別に本を読んでいなかったわけではないけれども(やっぱりあんまり読んでいなかったのかな?)、なかなか書く余裕がなくて。

 柴田よしきは、ハードなセックス描写で話題になった警察小説『RIKO』でデビュー。好きな作家です。これは、そういうハードなのとまったく反対(といっても、主人公の人生はけっこうハード)の人情味溢れた連作。東京丸の内の一隅にある小料理屋「ばんざい屋」の女将をめぐる人間模様が、とてもいい。東京と京都と言う対比(酒井順子さんが最近『都と京』という本を出していますが)もとても自然に出てきます。

 

8月26日

田口ランディ『被爆のマリア』(文藝春秋、2006)

 被爆のマリアに書きました。

 

4月29日

稲葉振一郎『「資本」論』(ちくま新書、2005)

 マルクス主義の問題を受け止めるため、労働力も私的所有と考えて、私的所有を根底において、社会・経済・国家を考えていこうとしています。なるほど、こういう考え方も成り立ちますね。「マルクス主義以後」がこれから真剣に考えられなければならなくなってきています。勉強してみなければならない問題です。

 

4月12日

三浦展『下流社会』(光文社新書、2005)

 昨年の発売以来話題になっている本ですが、ちゃんとそれだけの内容があります。格差社会に反対に触れました。

 

4月7日

エリ・ヴィーゼル『たそがれ、遥かに』(人文書院、2005)

 強制収容所を経験したユダヤ人にとって、それでもなお生き抜くとはどういうことなのか。それでもなお神は信じうるのか。重い、しかし深い本です。神も狂っているに書きました。一緒に、ヴィーゼルの旧著『夜』(村上光彦訳、みすず書房、1967。原著1958)も読みました。

 

4月2日

碑文谷創『新・お葬式の作法』(平凡社新書、2006)

 少子高齢化などの理由で、お葬式は1990年代から急速に変わりつつあるようです。お葬式やお墓は、時代の象徴。死者をおろそかにする文化は退廃します。今のお葬式の危機を考える手がかりとして、好著です。お葬式にちょっと書きました。

 

3月22日

中村隆文『男女交際進化論「情交」か「肉交」か』(集英社新書、2006)

 「男女交際」なんていうと、中学あたりの何だかうさんくさくて、でも照れちゃうような青春前期の甘酸っぱさがありますね。でも、それはいつ、どんなふうにできたんだろう。明治になって、はじめて「男女交際」が論じられるようになって、すごくまじめくさった、でもどこか笑っちゃう歴史が、とてもよく描かれています。何しろ、東京帝国大学の教授たちが「男女交際会」という会を開いているのですから。

 ちょうどこのあたり、いまボクがいちばん関心のあるところです。

 

3月8日

絲山秋子「沖で待つ」(『文藝春秋』3月号)

 芥川賞受賞作。だいぶ前に読んだんですが、感想を書く時間がありませんでした。悪くないです。最近、難解な芥川賞作品が多い中で、ともかく読みやすい文章。話も、もうちょっとで、直木賞と区別が付かない感じです。

 恋愛関係にならない、けれども人生の一番大事なことを託せる職場の男女の関係。そんな新しいタイプの男女関係がうまく描かれています。恋愛関係にあれば、相手が死んだら、そのパソコンを開いて、相手のすべてを知ろうとするだろうけれど、そうではなく、中を見ずにハードディスクを壊してくれ、秘密を秘密のままにして葬ってくれるような関係。

 それに、死がハードディスクを壊すことだ、というのも今風ですね。

 太っちゃんの秘密は、どうやら他愛もなさそうで、でもそこはかとないものがあります。それに対して、主人公の秘密は、向かいのマンションの男性の部屋を覗いて、観察日記として書くことだった、ということも、何というか、それもありそう、という感じで、あんまり深入りしないところがいい。もしかしたら、太っちゃんだって、もっと他の秘密がハードディスクに入っていたかもしれません。

 でも、太っちゃんが死んでしまったら、今度は主人公のハードディスクは誰が壊してくれるんだろう。それがちょっと気になりますね。

 

小川洋子『博士の愛した数式』(新潮文庫、2005)

 映画は見ていないので分りませんが、少なくともマンガよりは、やっぱり原作のほうがずっといい。小説っていいなあ、と久しぶりに感動させます。

 

2月11日

山田宗樹『嫌われ松子の一生』(幻冬舎文庫、2005)

 2003年に出て評判だったので、読みたかったのですが、文庫に入って簡単に読めるようになりました。映画化もされるようです。転落して風俗から殺人の前科持ち、親類中の鼻つまみで縁を切られ、最後は殺されて終った松子。新聞の隅にありふれた事件として出て、それで忘れられてしまう彼女が、本当はどんなに純粋で、人から慕われていたのか。つらい話だけれど、心が温かくなります。

 

1月6日

早川紀代『近代天皇制と国民国家――両性関係を軸として』(青木書店、2005)

 天皇制と家父長制に書いたように、近代の天皇制は家父長制とセットになっていました。明治憲法・教育勅語・皇室典範・民法はひとつながりになっています。近代の天皇制は、家父長制的な家族と結びつくことによって定着したということができるでしょう。それらの法律や勅語を精細に分析して、近代日本の天皇制の家父長構造を実証しています。この方面ではまさに画期的な成果だと思います。

 

1月1日

菅野聡美『消費される恋愛論』(青弓社、2001)

 「大正知識人と性」という副題があります。大正時代は恋愛論が大流行したそうです。それに、有島武郎など、心中事件も大流行。だけど、なぜか恋愛論を好んだのは男たちだけで、女はちょっとしらけてた。大正というおかしくて、何だか魅力的な時代をジェンダーの視点から斬る。気楽に読めて勉強になります。

 

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