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抗がん剤について

●抗がん剤の種類

  1. 代謝拮抗剤:細胞の増殖に必要な代謝産物と似た構造をもつため、正常な代謝産物と誤って細胞の中に取り込まれ、DNAの合成を阻害し、細胞を死滅させる。
    《5−FU(フルオロウラシル)》
     代謝拮抗剤で、注射薬と経口薬がある。
    《UFT(デカフールウラシル)》《FT(フトラフール)》《フルツロン》
     代謝拮抗剤5−FUの誘導体で、体内に入ってから5−FUの作用をする抗がん剤。
    《カペシタピン》
     欧米で認可されたフルツロンの改良型の経口抗がん剤。フルツロンをはじめとするこれまでのフルオロウラシル系の抗がん剤は、下痢などの消化管の副作用が問題となっていたが、この薬は経口投与しても消化管では作用せず、がん細胞に到達してから活性体に変化し、初めて抗がん作用を示すのが特徴。既存の抗がん剤が無効であった再発乳がんにも効果があることが報告されている。
    《メソトレキセート》
     代謝拮抗剤で、細胞が分裂する初期に作用する抗がん剤。主な副作用:肝・腎障害、消化器症状、骨髄抑制、脱毛、口内炎、発疹

  2. アルキル化剤:DNAの構造を変化させることにより、細胞を死滅させる
    《シクロフォスファミド(商品名:エンドキサン)》
     アルキル化剤系の抗がん剤で、がん細胞を直接攻撃するほか、卵巣機能を抑える作用もある。注射薬と経口薬がある。主な副作用:骨髄抑制、消化器症状、出血性膀胱炎、脱毛、無月経

  3. 抗腫瘍性抗生物質:DNAと結合してDNAやRNAの合成を阻害し、細胞を死滅させる
    アンスラサイクリン系
    《アドリアマイシン》
     イタリアのアドリア海で採取されたほうせん菌から分離した抗生物質で、がん細胞の分裂を阻止する抗がん剤。主な副作用:骨髄抑制、脱毛、消化器症状、口内炎、心筋障害、発熱
    《エピルビシン》
     アドリアマイシンに類似しているが、副作用は比較的軽度
    《マイトマイシンC》
     日本で開発された抗がん抗生物質で、土壌菌の一種から分離された抗がん剤。主な副作用:骨髄抑制、消化器症状、肝機能障害

  4. その他
    タキサン系
    《パクリタキセル(商品名:タキソール)》
     アメリカの西洋いちいの木の樹皮から抽出した抗がん剤。
    《ドセタキセル(商品名:タキソテール)》
     ヨーロッパのいちいの木の葉から抽出した抗がん剤。アドリアマイシンに耐性化した乳がんにも有効とされ、日本ではタキソテールが保険適応になっている。

●投与方法

抗がん剤の投与方法には、単独投与法、多剤併用投与法がある。ひとかたまりのがん細胞でもその性質は一様でなく、薬に対する感受性が単一でないこと、副作用の分散が可能であること、薬剤耐性の発現を遅延させるなどの理由から、多剤併用の方が臨床的には優れていることが多い。ほとんどの場合、外来で治療できる。

CAF=シクロフォスファミド(エンドキサン)+アドリアマイシン+5-FU
CMF=シクロフォスファミド(エンドキサン)+メソトレキセート+5-FU
CEF=シクロフォスファミド(エンドキサン)+エピルビシン+5-FU
AC=アドリアマイシン+シクロフォスファミド(エンドキサン)
AT=アドリアマイシン+タキソールorタキソテール

【投与方法:例1】4週間を1サイクル(1クール)とし、経口剤、注射剤を組み合わせる。
3〜6クール 1週目 2週目 3週目 4週目
            | −−−−−−→ −−−−−−→ −−−−−−→ −−−−−−→
《アドリアマイシン》
《5−FU》 点滴静注 点滴静注
《シクロフォスファミド》 毎日経口投与→ →→→→→→→ (休薬期間) (休薬期間)

【投与方法:例2】3週間に1回静注による投与を1サイクル(1クール)とする。
4〜8クール 1週目 2週目 3週目
            | −−−−−−→ −−−−−−→ −−−−−−→
《アドリアマイシン》
《シクロフォスファミド》 点滴静注

【投与方法:例3】3週間に1回点滴による投与を1サイクル(1クール)とする。
8クール 1週目 2週目 3週目
            | −−−−−−→ −−−−−−→ −−−−−−→
《タキソール》 点滴


●抗がん剤の効果

抗がん剤は、誰にでも確実に効果があるわけではありません。
例えば、(あくまでも“例えば”の数字ですが)、手術とホルモン療法で70%の人が治るとします。それが、抗がん剤をプラスすれば80%になるとします。手術とホルモン療法だけでよかった人は10人のうち7人、抗がん剤を受けても効かなかった人は10人のうち2人、抗がん剤を受けたことによって恩恵を受けた人は10人のうちの1人ということになります。ほかの9人は抗がん剤の副作用だけ受けて、効果は得られなかったということになります。この1人を多いと思うか少ないと思うかは、それぞれの価値観でしょう。
再発の場合の抗がん剤治療は、その効果が確認できますが、補助療法としての抗がん剤は、本当に効果があったかどうかわからないところに、難しさがあります。
手術前に行なう術前化学療法は、腫瘍を小さくする目的だけでなく、抗がん剤が効くタイプかどうかを確認できるというメリットがあります。また、最近では「抗がん剤感受性テスト」を行なう病院も徐々に増えてきたようです。これは、手術で摘出した腫瘍を培養して抗がん剤にどう反応するかを確認するものです。これによって、「副作用だけ受けて効果を得られない」という人をできるだけ少なくすることが可能になります。

●支持療法

抗がん剤を投与する際に副作用緩和の治療も同時に行ない、抗がん剤の副作用によるカラダへの悪影響をできるだけ少なくして、治療を完遂させるようにするもの。
G−CSF:白血球増多剤。抗がん剤と共に用いると減少した白血球(正確には好中球)が早く回復する。
制吐剤:多くの化学療法の一般的な副作用である吐き気や嘔吐を防ぎ、和らげる薬。化学療法の前後、または最中に使用される。グラニセトロン、オンダンセトロンなど。

●その他

*ハーセプチン
がんの原因となる遺伝子の働きを阻害するバイオ新薬の一つ。
*アレディア
骨転移に伴う高カルシウム血症の治療薬の商品名。直接がん細胞を殺す薬ではないが、骨転移による痛みを抑えるだけでなく、骨転移の進行も抑える作用もあり、ホルモン療法・化学療法と併用することで相乗効果も認められている。副作用も少なく、全身状態不良な患者にも問題なく用いることができる。同じ系統の薬で、オンクラスト、テイロックなどがある。

●ホルモン療法の詳細版はこちら → ホルモン療法について