リスミン流 こんなときどうする?【番外編3】

良性腫瘍と言われたら

 診断の結果、「良性ですね」と言われたら、大抵はがけっぷちから生還しような気分でしょう。そのホッとした気持ちを充分に味わったら、ちょっと冷静に考えてみましょう。

受けた検査の信頼性は大丈夫?
 まず、見逃しはないでしょうか?
 視・触診でしこりなどの異常所見が無く、マンモグラフィやエコーでも異常が発見されなかった場合は、まず問題ないでしょう。しかし、しこりがあるにもかかわらず他の検査を一切せずに、触診の感触のみで「良性」と言われても、ちょっと心配ですよね。
 乳がんの診断について−詳細版−で書いたように、触診や画像診断の所見が悪性にもかかわらず、細胞診で検出されない場合もあります。細胞診でclassIII以下だったとしても、それだけで100%安心というわけではありません。その場合は、総合的に判断し、針生検やマンモトームを行なう必要があるかもしれません。

将来のことまで保証されたわけではありません
 いまの状態が「問題なし」だったとしても、この先のことまで保証されたわけではありません。やはり定期的な検診は必要ですし、自己検診の方法も勉強しましょう。
 一般的に、1個のがん細胞が増殖を繰り返すと、9年で約1センチの大きさになるそうです。そのまま更に3年経つと、しこりはなんと10センチにもなるそうです。しこりとして検出できるのはせいぜい5ミリ以上のものですから、いまは発見できなくても半年後に見つかる場合だってあるのです。30歳を過ぎたら、年に1回の検診はした方がいいと思います。

良性の乳腺疾患の主要なものは?

治療の要否を確認しましょう
 最近は、良性腫瘍は手術しないことが多いようです。ただ、ほんの少しでも悪性の可能性が考えられる場合は、生検も兼ねて切除することもあります。また、放置すると不都合があるような場合は、切除します。悪性の場合と違って、腫瘍の部分だけを刳り貫くように切除すればいいので、表面への影響は比較的少ないようです。内視鏡による手術も保険でできるようになったそうなので、適応があれば乳房の表面に傷をつけずに切除できます。
 乳腺炎などの場合は、当然、抗生剤などの治療が必要です。
 のう胞は、大きなものは針を刺して中の液体を抜き、つぶしてしまいます。
 乳腺症は、前述のように原則として治療は必要ありませんが、痛みがある場合は無理に我慢せずに、痛み止めや症状を緩和できるような内服薬を処置してもらいましょう。

定期的な経過観察を忘れずに
 特に乳腺症や乳頭腫は、その良性疾患の陰に悪性の細胞が潜んでいる場合があります。良性のものが悪性化することは稀のようですが、例えば乳腺症の場合には、悪性のしこりがあっても見つけにくくなってしまいます。柔らかい羽根布団の下の野球ボールは見つけやすくても、固いマットレスの下のボールは見つけにくいのと同じ原理です。この場合は、単なる検診よりももっと頻繁に(例えば3〜6か月ごと)に受診した方がいいでしょう。万が一、最初の検査で見つからなかった悪性細胞が、定期的な観察の結果、発見されることもあるのです。
 乳がんの患者仲間の話の中で、「数年前に乳腺症と言われた」という人がかなりいます。それで安心して、数年間検診を受けず、しこりがあっても乳腺症と思いこんでしまい、乳がんがかなり大きくなってから発見されたという人も少なくありません。
 「良性です」と言われても、それで全く無防備になってしまっては元も子もありません。正しい知識をもって、上手に検診を利用しましょう。

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