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七つ森 オーナー 松沢忍さん |
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RCサクセション、大槻ケンヂ、森本レオ。 クセモノたちがひいきにしていることでも 知られる伝説の喫茶店、高円寺の七つ森。 このお店を作った人物に、いつかお話を うかがってみたいと思っていました。 10月のある晩、幸運な機会に恵まれて…。 |
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| Q. 七つ森はいつからあるのですか? |
| 1978年、昭和53年の2月です。ちょうど新潟で拉致事件が起きた年です(笑) |
| Q. なぜ、喫茶店を始めたのですか? |
| もともと広告関係の仕事をしていてね。まだコピーライターなんていう言葉が一般的じゃない頃です。え、糸井重里? そうそう、同じ時期。私は彼より1つ年上にあたります。当時私は先輩に依頼されてジーンズショップの企画アドバイザーをしていたんですが、純利益は5%あればいいので、それなら喫茶店はどうかと思ったんです。 喫茶店の背景をお話しますと、戦後すぐの時期は住宅事情が悪かったから、喫茶店は応接間がわりに使われていて、コーヒーはまずくても別にかまわなかったんですね。それから次第に文化水準が上がっていって、昭和30年から40年代になると「コーヒー専門店ブーム」が起きました。コーヒーの味で勝負するようになって、内装は落ち着いた茶色で統一してね。そうなると今度は、コーヒーの味がわからない人たちが喫茶店に入りづらくなってしまったんです。 それで七つ森では原点に返って、美味しいのはもちろんだけれど、お客さまに店の雰囲気を味わい、気持ちよく休んでいっていただく場所にしようと思ったんです。 |
| Q. なるほど。この空間にはなんともいえない独特の雰囲気がありますね。このレトロ情緒たっぷりのマッチといい。(写真左のフクロウの絵) |
| マッチのラベルは姪が中学生の時に描いたものなんです。絵を描くのが好きだったようで、大きくなってから美大に入りました(笑) この場所は、もとは長屋だったんですよ。ここはお茶屋さんのお店、兼、住まいでね、このへんがたたき。両隣は花屋と本屋でした。 |
| Q. え…ということは、1軒の長屋の中に、花屋、本屋、お茶の販売店が並んで入っていたのですか? |
| そうです。建物が古くなって立ち退き問題が起きると、両隣は店を閉めて取り壊してしまった。だから、この店の壁は外から見ると中途半端に切られたような感じになってるでしょう? そうそう、七つ森は吉祥寺にもあったんですが、やはり建て替えなければならなくなって5,6年前に閉店しました。住所ですか、えーと、吉祥寺南1-35-5でした。 |
| Q. そうでしたか。この建物はあとどれくらい保存できるんでしょうね? |
| 次に大地震が来たらダメだね(笑) そういえば10年ほど前に突然「杉並の古い街並を残そう」という運動が起きて、「ずっと残してほしい場所」として表彰されたことがありました。 |
| Q. それで補助金などは…え、出ない。そうですか(笑) インテリアはどなたが考えられたのですか? |
| 私が考えました。昭和30年代の雰囲気にしたくて、ジャズ喫茶から椅子をゆずってもらったり、神戸の骨董品屋でイタリア製のランプを探してきたりね。白壁もずっときれいに保とうとするのではなくて、古くなったらその味わいをよしとしようと。 |
| Q. 天井に通っている電線がいかにも宮沢賢治の世界のようですね? (註:「七つ森」の由来は宮沢賢治の『春と修羅』) |
| ええ、あれは碍子(がいし)というんですが、実際に電気が通っています。あかり取りの天井が面白かったので、そのまま活かしました。イメージに近いのはスピリッツに連載された『三丁目の夕日』とかね…ご存知ですか? |
| Q. ごめんなさい、読んだことがありません…。他に愛読書はおありですか? |
| 『三丁目の夕日』はオート三輪が出てくる世界なんですよ。愛読書といえば、若い頃はいわゆる純文学に熱中しました。あなたはどんな本を読むの? ホサカ・カズシ? 聞いたことはあるなあ。最近私は「純文学は肩がこって疲れる」という結論にいたって推理小説ばかりになりました。休日には推理小説の読者仲間で集まって、小説に登場した土地をのんびり散歩したりしてますよ。だけど、学生の頃はみんな高橋和己を読んでいた時代だったから、「俺が一番最初に高橋和己の評論を書く」なんてイキがっていたなあ。 |
| Q. 学園紛争の頃ですね? |
| そうそう。高橋和己がまだ生きていたら、この世界をどう評するかと思うことがありますよ。我々の世代には優秀な人間も多かったんだけど、早世してしまったり、途中で人生の道が曲がって、おかしなことになっている人々も多くてね。たとえば喫茶店をしたり(笑) |
| Q. お店の雰囲気の他に、七つ森で心がけていらっしゃることはありますか? |
| 駅から離れているから、お客さまにここまで足を運んでいただくには魅力あるメニューがなくちゃいけないと、当時、喫茶店といったらごはんものがほとんどなかったのですが、手作りの食事をお出しするようにしました。スパゲティといったらナポリタンかミートソースだった時代にホワイトソースを出したり、ロールサンドを出したり。今でも商品構成は当時と同じなんですが、スタッフの子たちが一生懸命考えて新しいメニューを加えています。もちろん今でもすべて手作りですから、仕込みは大変なんですが、昔ながらの喫茶店が残っていくためには、よそにないものを気分よく食べたり飲んだりしていただかなければね。 |
| Q. オリジナルのオムごはんも美味しいですよね。ところで、メニューの端数がすべて5円ですね。以前訪れたとき、おつりにリボンのついた5円玉をいただきましたが、どういう意味でしょうか? |
| 七つ森のことを覚えていていただきたいというのと、まあ、感謝の気持ちで。財布の中にリボンつきの5円玉が入っていたら、見るたびに思い出すでしょう? |
| ああ、そうですね! よく考えて工夫していらして、とても驚きました。今日は本当にどうもありがとうございました。 |

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