カフェを作る人々 東京カフェマニア  

 PWJ(ピース ウィンズ・ジャパン) フェアトレード部 田中 優子さん

各国で活躍するNGO(国際協力に携わる民間団体)
のひとつ、PWJ(ピース ウィンズ・ジャパン)。

そのフェアトレード部門で活躍する田中さんに
ピースコーヒーのお話をうかがいました。
(2004/9/1)


Q. お気に入りのカフェと、その理由を教えてください。
ひとつだけ選ぶのは難しいのですが、しいてひとつに絞るとしたら、近所にあったら毎日行きたいと思うカフェは代官山の「ECRU」さん。初めて、お店に入った瞬間「ここだ!」と感じました。

もしかしたら、「こんな空間の中で暮らしたい」という自分の理想にぴったりのお店なのかもしれません。店内の壁の色、棚やテーブルなどの家具の形や色具合、そして選び抜かれたこだわりの食材や雑貨たち。出てくるご飯もとびきり美味しいので、カラダの中まで癒され、言うこと無いです。笑
このスペースに身を置くだけで、元気になる自分がいます。

Q. Peace Winds Japanの活動内容について教えてください。
ピース ウィンズ・ジャパンは、イラク、アフガニスタンをはじめ、紛争や社会システムの崩壊により困窮している人びとへ支援を行なうNGOです。
緊急支援から、復興支援までおこなっております。
難民キャンプの運営、医療支援、教育支援、農業支援など、現在、世界9カ国で活動をしています。

Q. 田中さんはなぜ、このお仕事にかかわっていらっしゃるのですか?
もともと商社のOLをやっていたのですが、学生時代から、グアテマラとメキシコが大好きで、しょっちゅう仕事を休んだり、転職の合間を利用したりして、バックパックを担いでグアテマラやメキシコに渡っていました。

その中で先住民の人びととの出会いを通していつか日本でも、彼らの国に、ビジネスを通して何か協力出来ることがないかなあ?と考えていました。それがフェアトレードなのかどうかは分かりませんが、こういったことを何年も考えていた割には、食べていけないんじゃないかとか、何かと言い訳をしてずっとボランティアベースでしか活動していなかったのですが。。。

ところが、ある日、NYの勤務先の会社が突然の閉鎖に追い込まれ、それを期に、今度こそ自分のやりたいことをやるんだ!と決意。一時帰国して就職活動をしていた時に出会ったのが、PWJのフェアトレードについて書かれていた雑誌の記事でした。その記事を辿ってPWJのホームページの求人案内に辿り着きました。

その時はPWJの他の部署の求人案内しかなかったのですが、まずはそこから潜り込んでやると、応募に必要な作文を書き始め、再度求人案内のページに戻ると、なんとフェアトレード部員の求人がありました。まさかとは思いましたが、この時はもう、「ここで絶対に働くんだ!」と勝手に心に決めてましたね。笑
グアテマラとのフェアトレード業務に関わる仕事なんて滅多に無いチャンスですから。。。。

それは、アメリカに戻る二日前の出来事で、そのことを明記すると、書類発送の翌日すぐに面接をしてもらいました。そして現在に至っています。

Q. グアテマラやメキシコがお好きとは、少し珍しいですね? それらの国に惹かれた理由を教えてください。
どうしてなんでしょう?笑 気が付いたら、メキシコとグアテマラばかり旅しているんですよね。 他にも世界には、魅力的な国は沢山あるはずなのに。。。
どちらも、一見明るく見えるラテンの国ですが、その裏にある 暗さとのコントラストな部分に魅了されているみたいです。

Q. 旅先で先住民の方々に出会って、どのようなことを感じましたか?
多くの先住民の方々が、物理的に貧しい生活を送っていますが、 自然と共に暮らし、とても心の温かい方々ばかりで、お会いする度に 「本当の豊かさとは何か?」と何度も自問自答させられます。 日頃忘れかけている大切な何かを、いつも教えられます。

Q. フェアトレードとは何でしょうか?
巷ではフェアトレードの定義が様々であるかと思いますが、ここではピース ウィンズのフェアトレードについてお話します。

貧困に苦しむ途上国の人々による生産物を、適正な価格で買い取り、先進国(主に日本)の消費者に販売することで、生産者の生活向上を目指すのがPWJのフェアトレードです。
その為には、消費者のニーズもきちんと生産者に伝え、技術向上まで支援します。同時に、消費者に生産者や生産過程を伝えることによって、支援地の持続可能な発展のためにも顔の見える信頼関係を築くことも大切だと考えています。

Q. ピースコーヒーとはどんなものですか?
グアテマラ産と東ティモール産の二種類あります。どちらも無農薬栽培で、生産者の生活向上にもつながるフェアトレードコーヒーです。

つくる人が希望を持って暮らせるように、みんなが安心して口に出来るように、地球をなるべく汚さないように、そんなメッセージが込められたのがピースコーヒー。
名前の通り、人びとがみんな「幸せになるコーヒー」になったら嬉しいですね。

それぞれの細かい特徴は・・・

【グアテマラピースコーヒー】

96年に内戦が終わったばかりのグアテマラで、今でも貧困に苦しんでいるのは、山間部で暮らすマヤ系先住民です。PWJでは、こうした地域の人びとの生活を改善することが、和平の進展にも役立てるのではないかと考え、特に内戦の被害が大きかった、ウエウエテナンゴ地方のマヤ系農民の多い小規模農園からコーヒーを買い付けています。

化学肥料、農薬を一切使わない伝統的なシェードグロウン(日陰樹)農法で作られたオーガニックコーヒーです。コーヒー栽培に適したグアテマラの中でも、高地で栽培され、スペシャリティコーヒーとよばれるS.H.B(Strictly Hard Beans)アラビカ ブルボン・ティピカ種を使用しています。
味は引き締まったコクとほどよい酸味が特徴のフルーティーなコーヒーです。

【東ティモールピースコーヒー】

PWJは1999年の独立をめぐる混乱状態の東ティモールで緊急支援を行いました。もともと、東ティモールは、ポルトガルの植民地時代にコーヒーが持ち込まれていたのですが、殆どの農民は、市場での一般価格や商品価値もわからないまま、業者の言い値で売ることしか出来ませんでした。
そこでPWJは農民たちの自立と地域安定化を目指し、農民へ、技術指導など、コーヒーの質の向上に協力し、農民から直接コーヒーを買い付けています。

Q. 苦労したエピソードを教えてください。
営業先で、「NGOみたいな素人がコーヒーを扱うなんて」と言われることも少なくありません。
この仕事に就き始めたばかりの頃は特にそうでしたね。笑
NGOがというより、わたくし個人がコーヒーはただ好きというだけで、何の知識もありませんでしたので、恥ずかしい発言を沢山してきたと思います。

大変ありがたいことに、営業先のお客様から色々とアドバイスをいただくことも多々ありました。
今でもお客様から教えていただくことが日々多くて、本当に皆さまに支えられています。

Q. 嬉しかったエピソードを教えてください。
1年ほど前に、フェアトレードのイベント会場で「これから長野県松本の山麗でコーヒーハウスを開きたい」と準備を進める70才を超えた男性のSさんに出会いました。ハウス自体をご自身で建てるという、物凄い挑戦です。

自然の厳しさや体調不良など、途中挫折しそうになりながらも、前向きに、楽しみながらオープンに向けて準備を進めるSさん。その準備の様子は、これまで毎月のように送ってくださった『ハガキつうしん ゆめへんろ』に綴られていました。

「その時はお豆ちゃん(ピースコーヒーの豆のこと)よろしく!」
「草の力に負けそうです」
「私、元気にツルハシを握っております!」
「庭で取れたウドをてんぷらにしたら美味しかった!」
「妻が一面のタンポポを見てはしゃいている」

などなど、とてもあたたかいメッセージを送り続けてくださった、Sさんのコーヒーハウスがついにこの夏開店しました!  このニュースを聞いた時は本当本当に、跳ね上がるほど、に嬉しかったです。。。。
こういう人間的なあたたかい人々とのふれあいが、この仕事をやっていて良かったなあと思う瞬間です。
○cafe Vients 850
 長野県松本市内田3230/Tel. 0263-57-4463

Q. 愛読書、お好きな音楽、お好きな映画を教えてください。
○愛読書
パウロ コエーリョ「アルケミスト」
10年ぐらい前に、友人からプレゼントされて以来、壁にぶつかると何度も読み返しているこの作品は、「魂にエネルギーを吹き込む」大切な一冊です。

村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」
主人公のひねくれ具合が結構自分と重なり、夢中になった作品。

○音楽
ラテンミュージックが大好きです。特に好きなのは、
メキシカンロックバンド「カフェ・タクバ」
ベネズエラのグループ「LOS AMIGOS INVISIBRES」
ラテンではありませんが、アメリカのDAVID BYRNEも大好きです。

○映画
「EL NORTE〜約束の地」アメリカ映画 グレゴリー・ナヴァ監督作
人生にとって本当に幸せなのは何かを考えさせられる一作です。

Q. 東京カフェマニアの読者にメッセージをお願いします。
ピースコーヒーは、オンラインショップなどによる通信販売や、 まだまだ少数ではありますが、全国の「カフェ」や「フェアトレードショップ」 、「オーガニック食材店」などの法人のお客様を通じてご紹介させて いただいています。 その他、ボランティアスタッフの皆さんのご協力を得て、 イベント会場などで、時折、カフェ出店をしたりしています。

今後も、「カフェ」とのコラボで行なう焙煎講座や、 東ティモール、グアテマラの文化紹介を交えたカフェイベントなども 企画中ですので、是非是非いらしていただけると嬉しいです。
(イベントのお知らせなどは、メルマガなどでお知らせしています。 詳しくはコチラ



PWJ東京事務所に届いた生豆
(写真提供:PWJ)


グアテマラピースコーヒーの
ふるさと、 ウエウエテナンゴ地方で
暮らす先住民の人びと。
(写真提供:PWJ)


メキシコ旅行時の田中さん


トウモロコシ畑でお手伝いをする
メキシコ・ミステコ族の子どもたち
photo by
Yuko Tanaka


旅で出会った子供。
お洗濯中の笑顔。


グアテマラの友人


グアテマラの子供たち


グアテマラ小学校


グアテマラのマヤ女性の
織物NGOでリサーチをしていた時に
お世話になった家庭の女性


機織りの光景


グアテマラの主食、
トウモロコシでできた
トルティーヤを焼くマヤ女性


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