| Q 古閑さんご自身はこれまでにどんな旅をなさったのでしょうか? |
| 27歳の頃、バックパッカーとして1年間あちこちを旅行して回りました。行った国ですか? ヨーロッパ、アフリカ、エジプト、トルコなどですね。 トルコでは人と人との交流が熱かったですよ。トルコには「旅人は自分の兄弟」という考え方があるから、旅行者に対して非常に親切なんです。イスタンブールという都市は昔から東と西とが出会う場所だったという誇りを持っていて、アジア人に対しても親しみを抱いていてね。 |
| Q じゃあ、ほとんど世界じゅうのカフェにいらしたことがあるんですね。 |
| そうですね。各国のカフェに行ってお茶を飲んできました。旅人の共通語は「塔」と「茶」なんですよ。 どの国でも、道を尋ねたときに「あれを目印にして行け」と教えられるのは、高い塔なんですよ。とう、タワー、語感も似てるでしょ? そして休息の時間を意味するお茶。チャイ、ティー、テ。世界共通です。 |
| Q 失礼ですが、1年間の旅費はどうやって? |
| 19歳の時からずっと飲食業をやったりライブハウス(インクスティック)で働いたりして、7年間ずっと貯めてきたんです。旅先で出会った人の家に招かれて泊まったりしていたら、結局は用意していった金額の3分の1も使わずにすんでしまいました。 |
| Q どんな飲食業に関わられたのですか? |
| バーです。僕らが何の気なしに「カフェ・バー」と呼んでいたら、あとから「カフェバー第一号」なんて言われたりもしてね。Mint
Barとかレッドシューズとか…。 |
| Q え〜! 両方とも行ったことがあります!(註:当時YMOファンだった人には有名なバーです) |
| おお(笑) 僕はよく「旅はライブだ」と言うんですが、体験って、他のことでは置き換えられないんですよ。バーもそうでしたね。「東京のバーはどうだ?」なんて言ってみたって、実際にバーに遊びに来ない限りは、夜の楽しさは決してわからない。その場にいる、自分の目で見るということが、いかにすごいかってことですよ。 |
| Q 古閑さんが飲食業をやめて、1年間の旅に出たきっかけは何だったのですか? |
| 僕は屈折した部分から旅を始めたんです。東京で5年間くらい同じ仕事をしていると、煮詰まってくる時期があってね。途方に暮れて、何もできないけど飛び出してみようと思ったんです。仕事を捨てて。 その頃に影響を受けたのが植村直巳に関する映画や本です。あの人はキリマンジャロに単独登頂したり、エベレストに登ったり、およそしなくてもいいようなことまでチャレンジしてたんだけど、本人はたぶん冒険家なんていう意識はなくて、あくまでも"自分"なんですよね。自分をどこまで追い込めるか、そのことだけ考えていたんじゃないかな。 彼は、周囲の人々が設立しようとした「冒険家でなければ教えられない学校」で、子供たちにロープの結び方やなんかを教える前に山で消息を絶ってしまったんです。それはひょっとしたら彼が、そういう技術を教える仕事が自分とは相容れないものだと感じたせいなのかもしれません。それでも周囲の人々に対して何かしら貢献しなければ、という責任感もあったでしょうしね。その軋轢で。 でも、僕自身は"旅の道具"としてそんな技術を人に伝えたいと思っています。たとえばロープを持っていれば、いざとなったら洗濯物だって干せる(笑) 旅の技術を知ることは、自分を守ってくれるおまもりを持つことですからね。 そうして、旅から帰ってきて、だんだんに旅の意味がわかってくる、それでいいんじゃないかと思うんです。 |
| Q そうですね…(心を動かされている)。カフェを始めてからは、なかなか旅にも出られないのでは? |
| 今は旅行よりも、人を楽しませることのほうが面白くなってね。自分はじゅうぶん楽しんだから、今度は若い子に旅を楽しんでほしいんです。BLISSのカウンターの前に若い子が座っていろいろ相談しながら、ドキドキしたりワクワクしたりしているのを見ているのが楽しくてね。旅から帰ってきた子が写真を見せに来てくれたりすると、行く前の100倍くらいいきいきとした顔つきでしゃべるんですよ。それを見ているだけで、自分もいっしょに旅してきた気分になりますね。 |
| Q それはもう、大人の楽しみ方ですね。 |
| 実は、知人の西本さんというおばあさんが、カンボジアに学校を作るために移住してゲストハウスを作ったんです。BLISSではその活動を支援するために、日本から薬を送ったりチョークを集めて送ったりしています。学校はすでに実現して、子供たちがそこで勉強しているんですよ。 BLISSではアンコールワットなどを観光する日程の中に、西本夫妻のゲストハウスに宿泊してカンボジアの人々の家庭や学校を訪ねたりする日を自由に組み込めるツアーも催しています。行った人は本気で感動して帰ってきますね。旅の感動って1ヶ月くらいしか続かないけれど、行った人がそれをまた誰かに伝えてくれればいいと思っています。 |
| Q ありがとうございました。東京カフェマニアの読者にメッセージをお願いします。 |
| とにかく安さ勝負のツアーから、本当に満足できる個人旅行の相談まで、お客さまとのやりとりを楽しみながら旅のリクエストにお応えしています。ここで旅行が申し込めるとは知らずに、カフェとしてだけ利用される人も多いんですが(笑)、大手旅行代理店がやらないような手配まで、小さい代理店ならではの方法で手配できたりしますので、どうぞ旅にもご利用ください。 |

| カフェを作る人々 東京カフェマニア |