NASU SHOZO CAFE
栃木県那須郡那須町高久乙2730-25
TEL 0287-78-3593 OPEN 10:00〜18:00
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那須街道に沿って快調に車を走らせ、那須分岐点の信号を過ぎると、急に高原の風景の中を進んでいることに気がつきました。葉を落とした林の向こうに、輝く青空と薄紫色の山なみ。窓を少し開けて朝の空気を吸い込むと、頬の皮膚と肺がきゅっとひきしまりました。
そのまま山に向かって走り続けるうちに、右手に小さな黒い看板を発見。背の高い木立ちごしにNASU SHOZO CAFEが見えています。シーズン中は緑と風をたっぷり楽しめそうなテラスが設けられていますが、今の季節は椅子を片づけ、すっきりした床が初冬の光を反射しています。
ガラスの扉を押して足を踏み入れた瞬間に、やわらかな空気と音楽に包まれました。解放感のある店内はこげ茶色のエリアと、陽光がふんだんに射し込む白いエリアに分かれています。外の景色を眺めたくて白いエリアの窓際のテーブルに座ると、スタッフがきびきびした動作で水を運んできました。
午前10時。朝食になりそうなメニューはありませんかとスタッフに訊ねて、挙げてもらったのがスコーン、トースト、サンドウィッチ。友人のおみやげのスコーンがとびきり美味しかったを思い出し、コーヒー「森のブレンド」といっしょに注文。ほんのり温められた素朴なスコーンとクロテッドクリーム+ジャムの完璧な組み合わせが、おなかをやさしく満たしてくれました。
ストーブの上には水をはった懐かしい洗面器。店内のそこかしこに配されたガラスの豊かな表情がほんとうに美しい。ブロックガラス、波ガラス、ステンドグラス。色つきの窓ガラスを通過した光は、白い床をイチゴシロップやラムネ瓶の色に染めています。
テーブルの上の小さな角砂糖を手にとり、包み紙の側面に書かれた文字を読んでみました。
冬→yuki→mori kaze→fukkake
夏→shigure→niji kitsuneno yomeiri
四季の変化がくっきりとしているこの土地ならではの言葉です。ふっかけ、とは栃木の言いかたで風花のことだそう。風が吹きつけて、山の積雪地から細かな雪片が飛ばされてくること。
真冬には窓が白くくもり、水滴がガラスをつたうのでしょう。外でふっかけが舞うのが見える日もあるでしょう。そんな日のカフェは想像するだに心地よさそうな空気。深いコクのあるコーヒーを飲みながら、湯気のなか、半日でもぬくぬくと本を読んでいたいような。
「NASU SHOZO CAFEは冬がいいですよ」
そう言われたことを思い出しました。書棚の上で思いにふける静かな面ざしの彫像たちも、壁に掛けられたモノクロームのデッサンも、漂わせている温度は冬のそれです。
東京の都心では味わえない、シーズンオフの高原ならではのゆったりした時間。あまりにも気持ちがよかったので、夕方暗くなってからもう一度訪れて、ほの甘いミルクティーと焼き菓子を楽しみながら過ごしました。
本当は熱いラムクラシックを試したかったのだけれど、迷っているとスタッフがすかさず「お車でいらっしゃいますよね」 …うーん、よく見ているのです。
(2004年12月)
夏のNASU SHOZO CAFE
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