未知の国・コロンビアからの便り(131)
コロンビアの竹・Guaduaを日本へ −1−

対日初輸出となったGuadua(長さ10m)の天日乾燥風景(2006年5月)
読者の皆さん、こんにちは。
2006年7月5日、通算三回目の出張としてリサラルダ県・ペレイラ市に降り立ちました。前の二回で行き慣れた場所
ですが、私にとりこの日は決して忘れる事の出来ない特別な一日となりました。
「コロンビアの竹・"Guadua"を日本へ輸出」
このプロジェクトの話が持ち上がってからおよそ一年六ヶ月の時が経過し、最終章としてこの日40フィートコンテナー
に400本のGuaduaが搬入され、ついに日本へ向けて出発しました。
これまでこのプロジェクト(自称・"プロジェクトG")については皆さんにその経過をご案内せず密かに進めていました。この原稿を投稿するにあたり、これまでの苦労を思い出し、一人で感慨に浸っています。


カルダス県マニサレス市郊外にある「パビリオン」(左)と、ボゴタ市西部にある「竹の橋」(右)いずれも推定自重100t前後
Guadua(学名:Guadua Angustifolia)はコロンビアを含め中南米地域で広く見られる極太・肉厚の竹です。日本で見られる「孟宗竹」や「真竹」とは太さや肉厚がまるで異なり、直径は最大で20cm前後にも及ぶものです。当地ではコーヒー生産地帯において住宅の柱等の「建材」として多用されます。
参考文献:米州開発銀行駐日事務所発信「型破りな都市」
そしてこのGuaduaは適切な処理をする事で日本の竹材がおよそ4〜5年で劣化するのに比して、30年近くもその強度を維持する事が出来ます。今回日本の購入側はこの"Guadua"の強度に早々と注目し、世界中にある様々な種類の竹から「コロンビアの竹・Guadua」を指定されたのがプロジェクトの経緯です。
上記左の画像はカルダス県・マニサレス市郊外にある全国コーヒー生産者連合(FNC)の研修施設・"Recinto
de pensamiento"の敷地内にある「パビリオン」です。建築関係・竹関係の方々でしたらこのデザインは、先年ドイツ・ハノーバーで開催された万博において「竹を使ったコロンビア館」として注目を浴びたものとしてご存知の筈です。
屋根の部分を支えているのはおびただしい数のGuaduaです。この屋根の部分には瓦の他に雨水の浸透を防ぐ為のモルタル材がたっぷりと埋め込まれている為、推定自重はおよそ100t前後と推測されます。Guaduaを束ねたものはこれだけの重さにも耐えうる事が可能なのです。
過去掲載ログ:マニサレス−2−
そして右の画像も過去にご案内しました首都ボゴタ西部にある「竹の橋」です。これもGuaduaを束ねたもので出来ています。竹で出来た橋としては世界最大級ではないかと思われます。これも自重は数十トンに及ぶと推測されます。
過去掲載ログ:ボゴタ市西部と大高原地帯

Guaduaの「竹の子」若いうちは一日に20cm前後も伸び、およそ2〜3年で極太となる
今までの私の投稿原稿中に"Guadua"という文字を度々見る事が出来ますが、実は私自身がこのGuaduaの輸出・
それも史上初めて日本へ上陸させるという使命を背負っていたとは気付かなかった方が多いと思います。
この原稿を書いている時点ではまだ輸送の途中であり、日本の港において通関を無事終えて最終目的地へ届くまで楽観視する事は出来ませんが、コーヒー・エメラルド・切花といった従来からの品目に加え、「コロンビアの竹・Guadua」が新たな対日輸出産品として加わる可能性と、その関係者となり得た事をとても誇りに思います。

支柱にGuaduaを用いた「東屋」これでも自重10t以上
今回のこの投稿はいわゆる「回顧録」ですが、この一年六ヶ月という間には実に様々な問題に直面し、それに対して当地では私一人だけで立ち向かっていたのがこれだけの時間を要した一因にもなりました。
私は貿易に関わる商社の関係者ではない為、当然の事ながら会社としてこのプロジェクトが進められた訳ではなく、協力してくれた人は誰一人いませんでした。また当地での貿易実務のノウハウなど全く持ち合わせていません。その為Guaduaのサンプル(およそ1m程度の長さ)を日本へ発送する、それだけで実に3ヵ月も要してしまいました。最初は簡単な気持ちでこのGuaduaを国際宅配便会社へ持ち込んだ所、「家具や民芸品等の加工品でない"原木"(Guaduaは"木"ではないのですが)を輸出するには所轄省の輸出許可証が必要」と却下され、これが最初の難題となりました。
と言っても素人が書類を揃えて「所轄」省へ申請など出来る訳もなく、また出荷元も普段は「海上輸送」ばかりでサン
プル品を航空便で送った前例がなく、この時点で危うく挫折する所でした。結局は航空貨物を取り扱う会社へ申請代行を依頼し、彼ら自身も初めてのケースでいろいろと奔走してくれましたがようやく輸出許可書の入手に至り、これもおそらく初めてだと思いますが、加工していない状態のGuaduaを日本へ空輸する事が出来ました。
そして次なる難題が「最終目的地への海上輸送手段」でした。
場所が東京・名古屋・大阪その他「国際港」から近い町でしたらこの話は簡単に解決していました。最終到着地から最も近い国際港が「福岡・長崎」しかしそこで上陸させた後、最終目的地までは更にトラックで半日はかかるという条件が付いていました。サンプル品は空輸でしたが、極太で肉厚のGuaduaは重さも相当なもので、今回は結局10mの長さのものを400本出荷しましたが、10mとなると一本の重さはおよそ40kg前後、それを400本ですからトータルでは16t近くにもなり莫大なコストがかかる為、とても空路で送る事は出来ません
とは言え当地から出港(ブエナベントゥーラ港)する定期貨物船で日本の国際港への輸送ルートを持つ会社は限られており、このルート及び取り扱い海運業者の選定だけで結局半年も要してしまいました。最終目的地から最も近い国際港である福岡・若しくは長崎港へのルートを持つ海運会社がなかなか見つからず、素人ゆえの無知が呼んだ失態でしたが、このタイムロスが今回これだけ時間がかかった最大の要因となりました。この二つの課題だけで実に九ヶ月も費やしたのは「何分初めての事」として今でも教訓として残しています。
(2006年7月8日)
次回につづく
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