未知の国・コロンビアからの便り(154)

コロンビアアマゾン・レティシア(Leticia)−1−

アマゾン川の流れと離陸直後に見たレティシアの町並み

読者の皆さん、こんにちは。今回から数回、アマゾナス県・レティシアを中心とした「コロンビアアマゾン」をご紹介します。もしかするとコロンビアアマゾンをここまでご案内するのは私が初めてかもしれません。

アマゾナス県都・レティシアは国内最南東部にあり、コロンビアの南部国境の殆どは「プトゥマヨ川」(Rio Putumayo)に沿っているのですが、長さにしてほんの50km強のみそこから更に南にあるアマゾン川沿いに掛かっており、レティシアはそのアマゾン川流域の町です。元々はペルー領だったものを、アマゾン川流域の重要性を感じたコロンビア政府が、プトゥマヨ川以南の一部地域を放棄する代わりにこの地域を自国領にする事で一旦はペルー政府と合意しましたが、その後領土戦争が勃発し、1934年に国連の仲介もあって正式にコロンビア領となりました。ですのでレティシアは駐屯地を含め軍関係者が多く、極めて政治色の強い町です。

そのレティシアですが、ブラジルとは地続きで繋がっており、ペルーとはアマゾン川を挟んで向かい合っています。すなわち「三国国境地点」であり、アマゾン川流域の町で三国に接しているのはこのレティシアとブラジル側の隣町・タバティンガ位です。

こちらはレティシア着陸直前のアマゾンジャングル地帯です。レティシアは政治的思惑により近年コロンビア領となった為、他の町との接点がなく、例えば首都ボゴタを含めて他の町から陸路でレティシアへ行く事は不可能です。首都ボゴタからは空路が唯一の手段で、エンルート(航空路)はまず離陸後右旋回し、その後すぐに左(東側)へ向きを変えるとそれまでのアンデス山脈が途切れてあたり一面が大平原となり、しばらくすると眼下は道路の一本すら見当たらない熱帯雨林地帯となります。昨今アマゾンジャングルが不法伐採によりその面積を大幅に減らしているという報道が相次いでいますが、少なくともコロンビアアマゾン地帯は道すらない未開の地がまだ相当ある事が、上空から見ると分かります。

そうしておよそ2時間弱の飛行の後、「アマゾン観光」の拠点・レティシアへ着陸となります。ちなみにアマゾン地帯上空は年間を通じて雨が多い事にも象徴される通り積乱雲等が多発し、時に時刻の遅延や悪天候の中で機体が揺れ続ける事もよくあります。

この日は終日とても良い天気に恵まれ、ボゴタからのフライト時間は1時間40分、とにかく素晴らしい天候の中でレティシア空港へ定刻に着陸しました。尚、首都ボゴタからは"AeroRepublica"航空と空軍経営の"Satena"がそれぞれ毎日1往復しています(2007年12月現在)

そして旅客は到着後に空港施設の向かって左側へ入る事になりますが、その際「レティシア地区居住者」と「非居住者」とに分けられます。我々外国人や他地域からの観光客は最左の扉から入り、上記画像に見られるいわゆるツーリストカード14,500コロンビアペソ(2007年12月現在・およそ870円程度)を支払う事で、コロンビアアマゾン地域へ入る事を許可されます。その際にパスポートやコロンビアにおける身分証明書等の提示を求められます。

レティシアエリアは免税特区の為、航空券やホテル宿泊等には税金が掛かりません。それに代わる収税手段の一つがこのツーリストカード購入です。ちなみに我々外国人については、レティシアから出発する際に航空会社カウンターでのチェックインの後、発行されたボーディングパスとパスポート及び身分証明書を持ってすぐ左隣にある"DAS"出入国管理局へ出頭する必要があります。日本等からの観光客であればパスポートに押されたコロンビア入国日付欄をチェックし、コロンビアに居住している場合は身分証明書をもって「国内旅行」である事が証明され、ボーディングパスにスタンプが押され、それで搭乗エリアへ立ち入る事が許されます。この手続きを行わないと飛行機に乗り込めませんのでご注意下さい。

この手続きの必要性は、レティシアという町がブラジル側の隣町・タバティンガと地続きで両町の間には国境管理事務所や国境ゲートというものが一切存在しない為、レティシア空港がコロンビアへの入国手続きを管轄している為です。国境エリアについてはまた改めて御案内します。

こちらはレティシア空港前の様子です。のどかなもので、空港ターミナル付近には店の一軒すらありません。市内中心部へはタクシーでおよそ5分、相場はおよそ5,000コロンビアペソ(2007年12月現在・およそ300円)程度です。首都ボゴタ等から航空券+ホテル+観光をセットしたパッケージご利用であれば宿泊先のホテルが所有するバンなどが迎えに来てくれます。それ以外の場合には市内への移動はもっぱらタクシーか、空港から続く道をひたすら30分位歩くのが唯一の手段です。レティシア市内ではついに「公共バス」というものを一度も見かけませんでした。

そうしてタクシーに乗り込むとまず目に付くのが空港に隣接する広大な「軍駐屯地」です。道筋には兵士の姿も見られます。市内はまでは一本道ですが、何となく集落らしきものが見えてきたなと思ったら、それが"県都"レティシアです。市内はとても小さく、正直に言えば"田舎の町"です。

ふと気が付きましたが、レティシアの町で圧倒的に多いのが「バイク」です。タクシーも含めた車の数が少ないのは、
コロンビア国内では「陸の孤島」となっており、ブラジル側から"輸入"すると、どうもブラジル側の物価そのものが高い為、車を所有できる社会的階層が限定されている為のようです。それにしても市内の道路を走るバイクの数がやたら多い事に気が付きます。その中にはどうやら「バイクタクシー」を営んでいる人も多いようで、「二つ目の角まで」といった具合で短距離を乗せているのを何度も見かけました。

レティシアの老舗ホテル・Anaconda

市内のご案内の前に、レティシアにおける主要ホテルをご紹介します。
まずは上記画像にあります"Hotel Anaconda"です。このAnacondaはついこの間までコロンビアアマゾン観光の元締め的存在として長く君臨していました。レティシアにおける「高級ホテル」と言えばこのAnacondaしか選択肢がなかった程です。左画像に見られますが、入口には灰色のバンの姿があり、宿泊客の送迎も行っています。

一階部分には"Anaconda Tours"というツアー会社カウンターがあります。つまりホテルが自前でツアーを催行しており、つい最近に至って「宿泊のみ」という客も受け入れるようになりましたが、長年にわたって「自社ツアー付き」の完全プログラムが唯一の宿泊手段でした。完全プログラム制の場合宿泊日数により催行されるツアーが予め決まっており、原則として5人集まらなければツアーを組んでもらえず、以前はよく直前になってキャンセルを喰らった事が度々
ありました。現在では競合相手を意識してか、そのような強気な経営は止めたようです。

中画像はホテル内のレストラン、そして右画像はプールとホテルの建物です。いずれも簡素な造りです。レストランのメニューに凝ったものはなく、朝食はパンと卵とコーヒー・ジュースと言ったアメリカンスタイルのものです。

そしてこちらが客室です。今回私はこちらのホテルに宿泊しました。暑い場所ですのでクーラーがありますが、旧式のものでウイーンと凄い音を立てます。私は冷房の風が直接体に当たると必ず体調を崩すので、夜は電源を切っていました。何分旧式なので風向きの調整が出来ないのが難点です。

そして浴室には電気発電式の温熱シャワーがあります。そして洗面所には小さな固形石けんが2個あるのみです。
シャンプーやドライヤーなどは一切ありませんので、予め用意しておく必要があります。部屋全体に長年の歳月を感じ、老朽化が目立ちます。

総括ですが、Hotel Anacondaは長年アマゾン観光の元締役として君臨してきただけあり、自社ツアーは他社に比して充実しているようです。ホテルそのものは二つ星くらいです。

そしてこちらが最近オープンしました"Hotel Decalodge Ticuna"です。ここはコロンビア国内の主要リゾート地及びパナマ・ジャマイカ・メキシコ等にホテルを展開しているコロンビア最大のホテルグループ"Decameron"系列のホテルです。

オープニングセレモニーには大統領も出席したそうで、このホテルの出現によりそれまでコロンビア人にとってもマイナーイメージだった「コロンビアアマゾン観光」が脚光を浴びるようになりました。このような表現が適当なのか分かりませんが、まるで「アマゾンの中のオアシス」そのものと言った、豪華なホテルです。

左から順に客室棟、快適なレストラン、ミニカヌーも展示しているバー

客室の中は残念ながら見る事が出来ませんでしたが、全28室の全てが独立した一つの家のような造りをしています。ベッドルームとは別に、リビング部分にはハンモックも掛かっていました。チラッと見えた洗面所部分も含めて快適さを約束されたような豪華な内装でした。

レストランはオープンテラス形式で、メニューを見ましたが内容豊富でした。宿泊客でなくとも食事は出来るとの事で、私も是非ここでディナーと思ったのですが、到着した日曜日の夜だけは何故か宿泊客のみに提供するとの話でした。残念です。
バーの部分も快適さを感じるもので、アマゾン先住民族を意識した内装は違和感なく、ここで「アマゾンの夜に乾杯」とやりたかったです。

Decalodge Ticunaお抱えのツアー会社"Decameron Explorer"と毎日催行されているツアー

このホテルも自前のツアー会社"Decameeon Explorer"を持っており、場所はフロントのすぐ横にあります。宿泊客を対象にツアー受付をしています。このホテルは前述のAnacondaとは異なり、宿泊はツアー込みのスタイルは取っておらず、基本は宿泊のみで航空会社が提携しているパッケージには送迎サービスが追加されるのみです。全ての宿泊客はこのツアー会社で直接希望するツアーを申し込む事になります。このホテルがオープンするまでは前述のAnacondaがレティシア観光の利権をほぼ独占していた為、例えば首都ボゴタから宿泊込みのアマゾン観光を希望した場合、宿泊客がツアーを選択するという事が許されませんでした。そういう状況からすると画期的です。

総括ですが、Hotel Decalodge Ticunaは豪華だけあって宿泊料金もそれなりの高さですが、確かに快適です。アマゾンツアーに関してはAnaconda側程の充実さを目指していると言った感じのようです。

コロンビアアマゾンですが、その最大の魅力は「コロンビア・ペルー・ブラジル」の三国領を一度に観光できる地の利
です。この地域は国境管理に関して厳戒さはなく、人々はパスポートなしで自由に往来できます。例えばマナウスを
拠点とするブラジルアマゾンに行く場合、我々日本人はブラジルへの入国ビザ取得を必要としますが、レティシアを
拠点とするコロンビアアマゾンとその周辺ではツアー参加で他国領に立ち入る場合でもパスポートやビザは不要です。ブラジル側へパスポートなしで立ち入っても何らの問題も生じません。このような特殊性を持ったアマゾン観光地はコロンビアのレティシアのみです。

ここでレティシアから催行されているアマゾン観光ツアーの一部をいくつかご紹介します。

Isla de los Micos (Monkey Island) コロンビア・ペルー国境エリア
手のひらに乗るほど小さなサルの一群が生息する島を訪問します。

Lagos de Yahuarcaca (Yahuarcaca Lakes) コロンビア領
アマゾンジャングル地帯にある湖を訪問し、カヤックを使って観光します。アマゾン大ハスも見られます。

Benjamin Constant ブラジル領
アマゾン川を横切り、対岸のブラジル領を観光します。

Parque Amacayacu / Puerto narin~o (Amacayacu park / Narin~o Port) コロンビア・ペルー国境
レティシアから最も離れた国立自然公園地域です。付近にはピンク色の「アマゾン川イルカ」生息地があります。

Tres Fronteras (Three Fronties)
文字通り、コロンビア・ブラジル・ペルー国境地域を一日で巡るものです。

Safari Nocturno (Night Safari)
夜のツアーです。主に「ワニ狩り」を行います。ワニに遭遇するかはその日の運次第です。


この他にもアマゾン川流域の複数の先住民居留区を訪問するツアーなどもあります。アマゾン川の周辺には未だに
多くの先住民部落があり、他の地域との間に道路というものがありませんので、移動はもっぱらカヌー等の水路に
限定されています。

先日このレティシアは日本外務省の渡航基準でいわゆる「注意喚起」にレベルダウンとなりました。それに象徴されるように、レティシアには軍の駐屯地があり、市内には必要以上と思われる程警察関係者が見られ、治安は安定しています。近年に国策で得た領土という特殊性もあります。

一般市民の私からすれば、コロンビアアマゾン・レティシアは「一生に一度は行ってみたい場所」の一つとして是非ともお勧めしたい地域です。後日改めて紹介しますが、アマゾン川を中心とした三国国境を一望にした時、心から「ここに来て良かった」と思った程、私の一生の思い出に残った地です。
(2007年12月9日)

 次回につづく

Copyright (C): Kenichi Arai

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