未知の国・コロンビアからの便り (47)
読者の皆さん、こんにちは。
パナマと言えば「パナマ運河」と誰もが想像するほど有名なパナマ運河ですが、今回の旅行では「観光地視察」の一環として運河クルーズ船に乗船し、3つの水門を見学してきました。
パナマ運河クルーズは毎週土曜日のみ、午前の部・午後の部の2回で往復するものです。午前の部はパナマ市内の外れにある「バルボア港」を出航し、カリブ海側への上流を遡っていくもので、水門を通過した後、午後の部ではリゾート地として近年開発が進んでいる「ガンボア」からパナマ市内に向け折り返すというものです。私は午後の部に乗船しました。
運河を悠然と航行する大型貨物船と、待ち時間中に通過したコロン行き観光列車
私は午後の部に乗船しましたのでクルーズ船の出発地は内陸側のGAMBOAからでしたが、出発時間の間に運河を通過した大型船の姿には圧倒されました。目の前に見えるのはどうみても「ただの川」なのですが、私の目の前をあらゆる国籍の様々な形をした大型船が悠然と航行する姿は、ある種異様な光景でした。
目の前が「海」なら何とも思いませんが、面前にあるのは密林地帯を切り開いた「川」そのものなのです。
幸運にも、待ち時間中に商業都市・コロンを往復する観光列車が私の前を通り過ぎました。この路線が整備されたのはつい近年の事らしいですが、客車も含めて車両は比較的新しく、何より線路が整備されている為高速走行が可能で、結構なスピードを出していました。この光景はコロンビアではメデジン市内を走る「メトロ」でしか見られないものです。
ミラフローレス水門のモニュメントと、水門に到着した大型貨物船
クルーズの出航及び乗船時間は水門の開閉時間に左右されるというクルーズ主催会社からの説明を受けた後に、痺れを切らすほど待たされた挙句相当遅れての出航となりました。
ちなみに、このクルーズには私以外になんと!日本からパナマへ「バードウオッチング」を目的として国内を2週間ほど旅行していた12名のグループが乗船しました。
私自身、全くそのような事は知りませんでしたが、未開の地が多いパナマでは「エコ・ツアー」が近年流行の兆しを見せているらしく、バードウオッチングにしてもその隣の「コスタリカ」よりも、今やパナマの方がより自然な状態で観測できるのだそうです。私はまさかパナマでこれほどの日本人に遭遇するとは思ってもいませんでしたので驚きました。ちなみに、クルーズ船の全乗客の半分近くは我々日本人乗客でした。
出航してすぐに目に付きましたが、運河の周囲には、つい最近までこの運河の利権を独占していたアメリカの軍施設跡があちこちに見られました。昔コロンビアは自国領であったこの地を、アメリカ軍の圧力により戦わずして失った歴史がありますが、その後長年にわたりこの地に君臨し続けたアメリカの存在感を否応なく感じました。
なちみに、昨年はパナマにとり「コロンビアからの独立100周年」の年でした。
クルーズ中の説明は割愛し、いよいよ最初の水門に到着しました。着いてみて初めて知りましたが、運河の水門と言うのは実は1箇所につき「二つ」あるのです。右側の画像中央部にあるのは「岸壁」で、これにより通過する水門が二つに分かれています。この水門が全部で3箇所存在しているのです。
水が引いていく水門と、水位調整後水門が開き航行を開始するクルーズ船
実際に水門へ差し掛かり、水位がどんどん下がっていくのを実感すると、この運河事業がいかに難関を極めたかがはっきりと分かります。水門にかかる水圧と言うのは半端な力ではない筈です。
船の前後の水門を閉めた後、位置的に下側(画像では向こう側)になる下流側の水門を開ければ船の水位がどんどん下がり下流側の水位と合い、逆に水位が低い下流側から上流(画像では手前側)に行く場合には、上流側の水門を開けると水が流れ込み、船の位置がどんどん上昇して航行が可能となる仕組みです。
単純に考えても、この水門を境とした上流側と下流側の高低差はかなりある訳です。
画像左側にあるごっつい3つの物体ですが、これは日本の「三菱重工」製の「牽引車」です。画面では3台繋がっているように見えますが、実際には1台ごとの運用です。
上部画像の岸壁に沿ってレールが走っていて、大型船とこの車両を鋼鉄製のロープで繋いで、牽引車は船の左右を船の速度に合わせて走り、船体が左右の岸壁にぶつからない様船の左右を走る牽引車がお互いに引っ張り合っているのです。
クルーズ船のガイドはしきりに「日本の三菱製」を連呼していましたが、確かにこの技術は優れたものです。
そして右側の画像は通過完了後の水門です。
世界的難事業だったパナマ運河を実際に通過してみると、我々人間が敢然と立ち向かった苦労が身に染みて分かりました。莫大な力がかかる水門をほぼ完璧に閉め切り、水位の高低差を調節する事は文面に表せない程の難関な事です。この運河の利権がその国の国益に大きく影響するという事実をまざまざと感じました。
まさか社会科見学でパナマ運河を訪れる事は出来ないでしょうが、これはやはり本で勉強するよりも実体験して頂きたいものです。
私自身の収穫としては、パナマは見所が少なく訪れる日本人観光客が少ないという思い込みは間違いだったという事実でした。日本からのツアーガイドさん以外は、全てリタイヤされて優雅に旅行されている方々でした。
次回につづく
Copyright (C): Kenichi Arai








中米の至宝・パナマ3