未知の国・コロンビアからの便り(91)
パスト便り−23− 山本 薫
◇パストゥーソ
「パスト出身のピアニストがニューヨークでソロコンサートを開いた。演奏が無事終わり、会場は拍手喝采。『ブラボーパストゥーソ!ブラボーパストゥーソ!』聴衆はなぜこのピアニストがパスト出身だと分かったか?なぜなら演奏前に椅子を引かずにピアノを手前に引こうとしたからだ。」
パストの人、或はパスト出身の人のことをコロンビア人はパストゥーソと呼びます。そしてそれに加え、このジョークに出てくるパストゥーソのようにちょいとばかり「・・・?」な人、愚直な人、まっすぐな田舎者のことも指します。要するに
パストゥーソに対するステレオタイプ。パストゥーソをネタにしたこの種のジョークはコロンビアに数多くあります。

地元紙ディアリオ・デル・スルの「ファミリア・タラプエス」より。
タラプエス氏のセリフにはパスト固有の言葉も入っているので、読むのには
パストゥーソの辞書が必要。
ではいくつかを紹介しましょう。アメリカでも数多くのバージョンがある「電球ジョーク」。私がアメリカで初めて聞いたのはポーランド人をネタにしたものでした。
コロンビアでは「電球を取り替えるのに何人のパストゥーソが要るか?答えは5人。一人は電球を持ち、残りの4人はその人が乗ったテーブルを回転させるから。」「パストゥーソが靴紐を締めるとき、どうするか?片足を高い所に置き、もう片方の足の靴紐を締める。」「マッチが残っているか確認するために、パストゥーソはどうするか?マッチ箱を耳の横に持って頭を上下に振る。」などなどきりがありません。
かといって、パストの人が彼らをネタにしたジョークを聞いて気分を害するかと言えば全くそうではなく、酒の席やパーティーでパストゥーソのジョークを次々に出し合い、ゲラゲラ笑っています。涙を流しながら笑っていたパストゥーソに
同席したこともあります。

地元の新聞「ディアリオ・デル・スル」にはパストゥーソが主人公の漫画「ファミリア・タラプエス」(タラプエスはパストにある局地的な名字)が毎日連載されており、パストゥーソの活躍ぶりに毎日触れることができます。その土地の人の
ことを知るのに、その人達の喜怒哀楽の対象が何かを知ることが役立つと信じている私にとって、パストゥーソのジョークを知る事もその一部になります。
では最後に、最近夫が聞いて帰ったのを一つ。
「モンセラテ(ボゴタを見下ろせる山のてっぺんの眺めのよい場所)のケーブルカーにパストゥーソの誘拐犯が乗り
込んできた。乗客に向かって『いいか!今からハイジャックするぞ!』。間もなく頂上に到着した。」
カフェテリアのラジオで流れていたもので、居合わせていた人たちとゲラゲラ笑ったとか。
次回につづく
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