未知の国・コロンビアからの便り(97)
パスト便り−25− 山本 薫
ピアングァ(Piangua)とは赤貝を一回り大きくしたような貝の一種で、ナリニョ県の太平洋沿いにあるマングローブの林の中に生息します。金曜の夕方、カリのWWF(世界野生生物基金)に勤務する友人から誘いの電話があり、この貝のプロモーションのためのイベントに出かけました。
このイベントはナリニョ県とWWFコロンビアの主催で、カリや隣接するエクアドルに比べこの貝を食す機会の少ない
パストでピアングァのことをもっと知ってもらおうというのがコンセプトです。そして将来的にこの貝の漁に携わる地元住民の就業数を増やし支援することがさらなる目標のひとつです。

会場入り口。
イベントのサブタイトルは"Desde el mar hasta el Galeras"
「海からガレラス火山まで」。ナリニョの豊かな地形のこと。
県歌の歌い出しでもある。
◇ピアングァの夜

パストが位置する山岳地帯の音楽と異なり、
主に女性が大きな声で歌う。
会場はセントロにあるナリニョ大学のキャンパスの一つで、県の太平洋沿いの自治体から地元住民の代表が集まり、ピアングァを使った料理、住民の手によって作られた物産の販売、伝統音楽や踊りの披露をしました。ナリニョ県の太平洋沿いに暮らす住民はアフリカ系の人々が大半を占めます。
私は日本で主に公的機関が主催するイベントの企画・運営の仕事に携わっていたため、イベント会場に足を運ぶと
どのようにそれが運営されているのか、来場者がどのような反応をしているのかつい見ようとしてしまいます。今まで数々のイベントを見てきたのですが、このピアングァのイベントは私のお気に入りの一つでした。
まず、運営する人達のホスピタリティが素晴らしかったことです。持ってきた物産、紹介する料理などそれをどのようにして作ったのか、丁寧に説明をします。
そして、料理を食べ終わった皿を片手に歩き回っている来場者にはゴミを回収する担当の人がサッと近寄り皿を受け取ります。そして来場者が、運営する地元住民の文化を学び、音楽や踊りを心底楽しみ、敬意を払っている姿勢を感じ取れたことです。

たぶん会場で一番の高齢だと思われるおばあちゃん。
新聞記者の取材対応に、踊りに忙しそうだった。
日本で私が関わったイベントのように、ステージから司会者なる人物が大きな声を張り上げ「これはこのようにして、
こういう手順で楽しんでいただくものであります。さあみなさんご一緒に」なんて親切のつもりが結局のところ来場者の自発性・自主性を奪ってしまっているようなことは一切なし。地元住民にその場で自ら学べばよい、まねて楽しめば
よいのです。
二夜連続しての、形としてはシンプルで小さなイベントでしたが、主役である地元住民のやる気が伝わった中身の
濃い物に感じられました。
主催者のコンセプトが少しでも実現へと向かう良いきっかけとなればと、私は単なる来場者の一人なのですが、感じたのでありました。
次回につづく
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