狼の血族 Company of wolves 〜御伽話のエロティシズム

監督:ニール・ジョーダン

1985作品...竹中さん、ありがとうございます<(_ _)>

 「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」で一躍有名になったニール・ジョーダン監督の初期の傑作。ビデオ屋に行くとたいてい「ホラー」の棚に陳列されているのですが、これはホラーというよりむしろファンタジー、というか、おとぎ話。元ネタは皆さんよくご存じの「赤ずきんちゃん」です。おとぎ話の本質は、無垢な子供にとっては限りなくホラーに近いということを映像の美学で表現した、実にファンタスティックでこわ〜いお話です。

 「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」同様、この物語にも明確なストーリーはありません。人狼伝説にまつわる様々なエピソードを、ノスタルジックな美しい映像で淡々と語っていくだけの映画です。でも、そこで語られているのはおとぎ話「赤ずきんちゃん」に本来込められていたはずの深い意味、すなわち「狼=男には気を付けろ」という少女への性的警告なのです。赤ずきんは処女の象徴、森の中で道を外れることは貞女としての道を外れること・・・この映画の中にはベッドシーンなどのあからさまな性描写はいっさい登場しませんが、前編にどこかしらエロティックなムードが漂っています。特に、赤ずきんちゃんことロザリーンの、少女から女になる一歩手前の危うい色っぽさといいましょうか、あれはロリコン男じゃなくてもグッと来るものがありますね(笑)。

 この映画が「ホラー」に分類される所以は、たぶん狼男の変身シーンにあるんじゃないかと思います。SFX華やかなりし現在にあっては技術的にはどうということのないシーンですが、今見ても充分インパクトのある変身の仕方です。

 個人的に一番印象に残ったのが、おばあさんから「男は獣だよ」と教えられたロザリーンが母親に「お父さんもそうなのか」と訊ねるシーン。ロザリーンの母親の答えは「男の中の獣が、女は好きなときもあるのよ」。娘をちゃんと女として扱っているからこそ出る台詞ですね。いいなぁ、こういうの。

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