「映画ビジネス最前線 新たな挑戦!GAGA」

 発行・B!インターナショナル・ブックス
 発売・愛育社
著者・大高宏雄
 定価・1300円+税

松村清志
 


 

 アカデミー賞6部門受賞の「シカゴ」を始め「ボウリング・フォー・コロンバイン」「アバウト・シュミット」「トーク・トゥ・ハー」
などノミネートに関するならば7作品24部門の候補に上がる作品を手がけ、創立17年にして今や大手配給会社へと急成長を遂げたギャガ・
コミュニケーションズ。本書は、その発足から現在までを主に“配給会社”としての側面から論じた“企業本”である。
 観客としての僕がギャガの名前を意識したのは90年9月にみゆき座で公開された「恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」
あたりからであったが、そのほんの数年前までは「死霊の盆踊り」「ベルリン忠臣蔵」といった“Z級”の珍品・カルト作を配給していた
会社であり、社長は映画には素人で、初期社員であった江戸木純によれば「死霊の盆踊り」を本当にいい映画だと思って(?!)買った
らしい。
 そんな会社が何故、どのようにして映画界という排他的な<ムラ社会>でわずかの間に急成長を遂げる事が出来たのか。80年代以降、
映画界はどのように変化してきたのか。色々と興味深く読める本である。
 特に、設立者であり現代表取締役最高経営責任者(CEO)の藤村哲哉が、2000年に公開した「グリーン・マイル」「キャラバン」に
よって映画というものの本当の素晴らしさに気づいていくあたりは感動的だ。単館系作品部門Gシネマの2人の女性、星野有香と永田愛の
姿は、この業界で働く、あるいは志す多くの女性達にとっての良き刺激となり勇気づけてもくれる事だろう。
 2002年12月、ギャガは映画雑誌の老舗「キネマ旬報」社を角川書店から買収した。部数的には一般誌には及ばないが、映画を愛する人
たちにとっては並々ならぬ影響力を持つ「キネマ旬報」を配給会社が傘下に収めた事に対して業界内では反発の声も上っているようだ。
「パブリック・カンパニー」ともいわれる「キネマ旬報」が今後どのように変化し発展していくのか。親会社のギャガ共々、その動向
からは片時も目が離せない。
 最後に、本書は単なる“映画本”を越えて、広く起業家、経営者にも読まれるべき“ビジネス本”としても価値ある1冊である事を付記
しておきたい。

                            


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